2016年9月議会 篠原ゆか 一般質問報告 ②若者とともにすすめる地域づくりについて

【篠原質問】

大綱2、若者とともにすすめる地域づくりについて質問いたします。

昨今、自発的に地域で生きていくという目的をもった若者が増えてきています。そのための仲間作り、自分たちの居場所づくりが進んでいます。若者自身が大人になるためにどのような事が必要なのか、模索をしている現状が有ります。その中で若者たちが若者、行政、地域をつなげて若者が若者を支援する組織が立ち上がったりもしています。

若者支援を考える時、子どもが若者になり、若者が大人になるときの、人間形成の土壌が昔と大きく変化をしてきていることを認識しなくてはなりません。今の時代は情報消費の社会、グローバル化の社会、機能主義、この三つがセットになって日本各地の地域コミュニティが変わり、若い人たちの暮らしが大きく変わっています。1970年代後半から、それまであった工業型社会いわば物づくりの時代、みんなが一致団結でものづくりを行い、経済大国の社会を目指したという時代から情報社会、消費社会に変わりました。若い人たちの育ち、若い人たちの意識にこの社会の変容がかかわってくるのです。情報を中心とした、人と話をしなくとも生きて行けるような社会、自分で何かを生み出すことが無くなり、パッケージ化された商品を選択していく社会。選択をし、それが失敗しても、自分が選択したから自分が悪いのだというような自己責任論。これは社会の仕組みそのものとも言えると思います。今や国境を越えて人、もの、情報が流れる様になってきました。それにより、今まで存在をしていた強固な地縁、血縁、地域社会、家庭、学校といったコミュニティが大きく変容してきているのです。若者の生きづらさ、という表現を良くしますが、これは、本当は若者だけの生きづらい問題なのでしょうか。若者だけではなく大人にも根底にこの社会の変容による生きづらさというものが有るはずです。暮らしの根本で地殻ちかく変動が起きている中で大人よりも子供や若者の方が敏感にその変動をキャッチしているのではないでしょうか。そして現代社会においては徹底した機能主義、効率、成果を求めると言った社会状況になってきています。社会が成熟するにつれ効率化が進み、人間は交換可能な部品として存在しているかのようになっていきます。世代を貫いて増大する存在不安、生きる意欲の低下を内に抱え込むようになっています。このような社会変容の中で生きている若者たちには複合的なリスクが存在し、自立をより困難にしています。

小学校単位で支援をしたいと考える大人たちを集めて若者支援ができる仕組みを進めるべきです。むしろ支援という言葉より子ども、若者と大人がともにつながりながら生きるためにどのような地域にするか一緒に考えることが必要です。市は財源の問題を理由に若者支援に取り組んでおりません。お金がかからず支援できる仕組みを作るために、地域の人たちの力を借りなければなりません。本人や家族の頑張りが難しいならば地域で支えるべきなのです。

そこで質問です。

細目1若者の実態調査について質問いたします。

府中市では面接聴取で引きこもりの実態調査が行われた。
府中市の市政世論調査の結果では引きこもりの人を知っているが4.2%知り合いに引きこもりの人がいるが14.2%となった。
府中市世論調査の結果から、対象年齢を15歳から39歳にひろげた引きこもり推計値は2360人にも及びます。エリアを狭めて丁寧に調査を行うことで支援が必要な人がより見えてくることがわかりました。立川市では地域福祉アンケートを行いました。面接調査はお金がかかります。そこで地域福祉アンケートなどに質問項目を盛り込むのならばお金がかからないということで、アンケート項目を増やすことにしました。
そのアンケートの結果、立川では引きこもりが3.4%でありました。地域福祉計画に若者を入れていくことが必要であるとの結果がでています。

そこで質問です。昭島市でも市民意識調査にて、働き方の質問、引きこもりについての質問、困っている事の自由記述などの項目を増やし調査することを行うことが必要と考えますが市はどのように考えますか。

細目2子ども若者を支える協議体について
子ども若者育成支援法の趣旨、目的は社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども若者を支援するネットワーク整備です。社会生活を営む上で困難を有する子どもがいるのだとこの法律できちんと認定されました。しかしネットワーク整備は努力義務にとどまっている所は課題です。支援をおこなうにあたり、ネットワーク整備は必須です。雇用、矯正更生保護、福祉、教育、保健医療とありますがそれぞれが従来の個別分野における縦割りで業務を行うには限界があります。この五項目の上にさらにネットワークを作り支えることが出来ないのか、みんなで若者支援について考える機会を持つことが重要になって来ます。それぞれの所が、それぞれで頑張っているのですがみんなある一定期間までになってしまいます。そこまでで支援が切られ、その後のフォローが何もないという事で、問題を抱える子が学校を卒業してしまったら放置状態になることがあります。

立川市ではネットワークを作っていくことでだんだんつながりが増えてきて、地域でその子を支える仕組み、まちのひとり一人が子どもの未来を考える事で困難を支える仕組みが出来ています。推進法を根拠として昭島市でもこのような事が行われていくことが望まれます。子ども若者を支える協議会設置についてどのように考えますか。

細目3たまり場から広げる地域づくりについて

立川市のある団地で引きこもりの方がおり、その方が働きたいと支援団体に相談があったそうです。カウンセリングを行った時に市民の方もそのカウンセリング内容を聞いていた際、市民の方が大変驚かれていたそうです。なぜなら、そこで質問をした事は決まった時間に起きられるか、電車、バスなど人が多い乗り物に乗れるかなどの質問だったためです。引きこもり状態にある人たちはいきなり仕事となると、本人が傷ついてしまう恐れもあるためスモールステップでの支援が必要になるのです。こういった若者の実態や引きこもりの現状を知らない市民の方はたくさんいます。しかしながら若者支援は地域の理解がないと進みません。そのカウンセリングがきっかけとなり、団地地域の引きこもりに関する公開相談会、アンケート調査を行ったそうです。30名定員のところ30名集まり、地域の単位なら引きこもり当事者の人や悩んでいる人が顔を出すということが分かりました。そして「子供の自立が気になる方のための相談会」という題名にし、だれでも来やすい土壌を作りました。支援をしたい人、当事者の人と分けるような呼びかけ方ではなく市民みんなが同じ目線で話を聞くことができるような仕掛けが重要になります。そこにはコーディネーターとして専門家を入れることが必要です。地域包括のブロック単位で、おせっかいなひとや、地域を動かせる人で勉強会を開き課題解決の仕組みを作っていくことが必要です。各ブロックに分かれるのは地域特性がある為です。地域で課題解決の力をつけること、お金をかけず、地域で支える仕組みを作らなければなりません。そこでまず、第一に、自治会などの小さい単位で子ども、若者のたまり場を作り、地域のつながりを取り戻す施策を行ってみてはいかかでしょうか。基本、誰でも参加できる居場所にして、老若男女一緒にご飯を食べたり、そのためのフードドライブを行ったり、様々な地域の人たちのできる事を持ち寄り、できる事から面白いイベントを開催していくという内容です。このたまり場を作るために、地域のリーダーになる人材確保、人材育成をすることが必要です。人材育成、人材確保、地域の若者支援に理解をしてもらうために講演会、勉強会を行っていくことが必要と考えますが市ではどのように考えますでしょうか。

細目4企業インターンシップの取り組みについて

若者雇用促進法でありますが去年10月にできたばかりの法律です。順次施工されていっていますその法律の1の(2)には企業努力義務化、(3)②には自立支援のための施設の整備等必要な措置を講ずるという文言が入ったことは大きいことであると感じています。職場体験やインターンシップ(就業体験)は,子供や若者が教員や保護者以外の大人と接する貴重な機会となる。異世代とのコミュニケーション能力の向上が期待されること,子供や若者が自己の職業適性や将来設計について考える機会となり主体的な職業選択の能力や高い職業意識の育成が促進されること,学校における学習と職業との関係について子供や若者の理解を促進し学習意欲を喚起すること,職業の現場における実際的な知識や技術・技能に触れることが可能となることから,極めて高い教育効果が期待されています。文部科学省,厚生労働省,経済産業省では,「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(平成9年文部省,通商産業省,労働省)を平成26(2014)年4月に一部改正し,各大学・産業界に周知を行い,インターンシップの普及・促進に努めている。また,文部科学省では,前述の「子どもと社会の架け橋となるポータルサイト」などにより,キャリア教育の中核的な取組の一つとして,学校における職場体験やインターンシップの普及・促進や「地域キャリア教育支援協議会」によるインターン受入先の開拓とマッチングの促進も行っています。経済産業省は,地域における起業や中堅中小企業の中核的な人材の育成に教育的な効果が高い長期インターンシップを推進するため,受入促進に向けたツール・メソッドの整備や産学をつなぐ専門人材のための活用ガイドを策定してホームページで公開している51。また,地域において,産学官が協働して構築している連携組織の実態を調査し,シンポジウムを開催するなど,普及に取り組んでいます。昭島市でも産学官金検討委員会が立ち上がっている訳ですけども、その中で若者雇用促進法にもあります、法律の1の(2)には企業努力義務化ということから、若者を積極的にインターンシップで受け入れていく事が必要ではないかと考えます。就労支援と一緒に行うべきだと考えますが市ではどのようにお考えでしょうか。

【答弁者:市民部長】

ご質問の2点目若者とともに進める地域づくりについてのうち、4点目の就労支援での企業インターンシップの取組みについてご答弁申し上げます。

市内ものづくり中小企業においては、東京都中小企業振興公社における「ものづくり中小企業魅力体験受入(インターシップ)支援事業」の活用、東京都立多摩工業高等学校で導入している教育システム「デュアルシステム」の派遣先となる受入企業として、また、国立東京工業高等専門学校と連携したインターシップを実施し、若者の雇用に努めております。ご質問の2点目若者とともに進める地域づくりについてのうち、4点目の就労支援での企業インターンシップの取組みについてご答弁申し上げます。

なかでも、東京都中小企業振興公社で実施している「ものづくり中小企業魅力体験受入支援事業」では、受入企業のサポートやインターシップを希望する都内工業系高校や産業高校、高専との橋渡しを行う魅力コーディネターを設置し、インターシップの活用を推進しております。また、奨励金を支給することで、実習生を受け入れた企業の軽減負担に取り組んでおります。

このように現在では、工業系、技術系の学校に限りましたインターシップ実施の状況ですので、ほかにどのような受け入れが可能なのか関係機関と協議し、研究してまいります。

【答弁者:子ども家庭部長】

ご質問の2点目、若者とともにすすめる地域づくりについて、ご答弁申し上げます。

はじめに、若者の実態調査についてであります。ご質問の市民意識調査は、満16歳以上の市民を対象に隔年で実施しております。市民意識調査の調査項目を増やし若者の実態を把握することにつきましては、どの程度の項目を増やすことが可能か、内容等を精査する中で研究してまいります。

次に、子ども・若者を支える協議会についてであります。困難を有する子ども・若者への対応につきましては、教育、福祉、雇用、保健・医療、矯正・保護等の関係機関の横の連携が重要であると認識しております。子ども・若者育成支援推進法には、この地域協議会の設置について定められており、地域における子ども・若者育成支援のネットワークづくりにおきましても、子ども若者の育成支援を支える共助の取り組みが必要とされております。

本市におきましても、国の『子ども・若者の育成支援推進大綱』及び東京都子供・若者計画等、また先進自治体の事例等を研究する中で、昭島市としての子ども・若者の育成支援計画について、協議会の設置を含めて研究してまいりたいと存じます。

次に、たまり場から広げる地域づくりについてであります。

ご質問の子ども・若者の地域の居場所として、地域との交流の場としてのたまり場については、大変、有意義であり、また、フードドライブは、食品ロスを削減するためにも有効であると考えます。

社会福祉協議会では、地域のつながりが生まれる場として、ふれあいほっとサロンを開設しており、高齢者向け、児童向け、異世代交流向けなど約64の団体が多岐にわたって活動しています。

地域の若者の居場所としてのたまり場を設置することについては、このサロンの活用も考えられます。その運営には、地域の方々の共通理解とそれを支える人材の確保が進めば、可能とは考えますが、現状はサロンの対象が高齢者と子どもの親となっており、サロンを支える人材の確保に苦慮している状況から困難と考えます。

今後においては、市主催の講座あるいは研修会において、情報提供するほか、地域連携に関することなども行っております社会福祉協議会と連携を図る中で、子ども、若者の居場所について研究してまいります。