2017年12月議会 おおたけ貴恵 一般質問報告 ②地域の社会課題解決にあきしまらしさを活かし、市民が主体的に参画し、協働していくまちづくりをすすめよう  

【おおたけ質問】

大綱2 地域の社会課題解決にあきしまらしさを活かし、市民が主体的に参画し、協働していくまちづくりをすすめようについてお聞きします。

細目(1) 民間資金・ノウハウの活用等と連携した社会課題解決について、イギリスでは、2010年に大規模な行政コストの削減とそれに伴う行政サービスの見直しを迫られ、世界で初めてのSocial Impact Bondが導入されました。日本においてもイギリスと同様に「少子高齢化の進展」、 「財政赤字の拡大」、「イノベーションの必要性」などの課題があり、Social Impact Bondの導入が期待されています。私は先月11月にイギリス ブリストル市の元市長から民間資金活用、ノウハウ活用の事例を聞く機会もありました。

また八王子市では、「通常の行政サービスの民間委託事業」とは違い、「民間資金を活用した成果連動型業務委託(ソーシャルインパクトボンド)」の導入をし、大腸がん検診受診率向上事業で成果を上げました。 さて昭島市においても、民間資金・ノウハウの活用等と連携した社会課題解決について、例えば近隣市でも成果のある大腸がん検診受診率向上事業に取組んではいかがでしょうか。

昭島市においても、多様な社会課題解決にむけて、導入について検討してはいかがでしょうか。

細目(2)昭島の地域資源(中小企業等)との連携で若者の就労支援の取り組みについて、お聞きします。

厚生文教委員会では豊中市の切れ目のない生きづらさを抱える若者就労支援施策の視察をしてきました。残念ながら大阪の豊中市が議会中のため市の担当者から話は伺えませんでしたが、豊中市の特徴は、若者らを対象に独自に行なっている就労支援事業で、その最大の特徴は、ハローワークを中心にした従来の仕組みでは就職が困難な人を対象に、入口(相談)から出口(職業紹介)までの一貫した支援を行なっている点です。市職員である専属“企業開拓員”が、民間企業の営業マンさながら新規求人などを獲得するために、地域の企業に営業をかけています。視察においても事業委託を受けている一般社団キャリアブリッジから具体的な事例をお聞きすることができました。

昭島市でも生活困窮者の相談事業だけでなく、家計相談にも取り組み始めたことは評価しますが、今後出口への支援施策が重要ではないでしょうか。そのことは昭島市の特長でもある地域の3803事業所もある中小企業事業者等と連携することで、お互いメリットがあるのではないでしょうか。市の考えをお聞かせ下さい。

細目 (3) ごみ減量への取り組みについて お聞かせください。

先月故繊維業者の輸出相手国の一つであるパキスタンで日本の古着の行方を探ってきました。パキスタン・カラチの選別工場には日本からの中古衣料を扱う業者もきており、パキスタンへ運ばれた中古衣料をまた日本へ再輸入する光景もみてきました。また現地ではごみ焼却施設がないため、ごみの山であるカチラ・クンディの中で生活するスラム街の子どもたちの様子は非常に衝撃的でした。 日本のリユースが進むことで、現地の縫製技術も奪ってしましっている現状も見てきました。 そもそも私たちは、リユースの前に、不要なものは買わないリフューズ、発生抑制であるリデュースに取り組む姿勢が重要であることを目の当たりにしました。

さて昭島市は西多摩衛生組合への加入を考えるにあたり、ごみ減量を喫緊の課題として取り組んでいます。そのことを一歩さらに突き進め、ごみ減量をごみの回収後の行方にも目を向けた施策について、昭島市がごみ減量先進の自治体になるように取り組んではいかがでしょうか。

そこでお聞きします。

  1. 古着の回収等のごみ処理の行方から昭島市が取り組むごみ減量施策の基本的な考え方について、お聞きします。昭島市が取り組み始めた古着の回収後について、どのような処理がされているのでしょうか。そのことを含めてお答えください。昭島市が取り組むごみ減量施策は、ごみ処理後の行方も含め考えるべきではないでしょうか。市の考え方をお聞かせください。
  2. 私は、西東京市で市民団体の集会に参加しました。そこでは市の出前講座として職員がごみ減量対策の市の現状の話、多摩26市における西東京市の事例、とくにそこでは古着の回収を含め、回収後の故繊維業者における処理の行方からわかる課題も説明をしていました。西東京市では、積極的な情報提供の新たな手法としてこのような出前講座を実施しています。出前講座は、講座メニューの中から市民が希望するものについて、市職員が出向いてお話をするものです。市の業務や制度など、市政についての理解を深めていただくとともに、団体・グループの学習の場としてご利用いただいているそうです。

さて昭島市の喫緊の課題であるごみ減量のために市民との協働なくしては取り組めません。昭島市の職員がごみ減量を市民とともに実践するために、ごみ減量のための出前講座を積極的に取り組んではいかがでしょうか。

次に 廃棄物減量等推進員の活用について、お聞きします。

何度も指摘しています。ごみの減量にはやはり人材の育成ではないでしょうか。昭島市の建設環境委員会では名古屋で取り組むごみ減量施策では徹底したごみ分別とその指導には市民の協力なくしては、成しえなかったと聞いています。

改めてお聞きします。昭島市には自治会から選出された廃棄物減量等推進員がいます。例えば国分寺市では地域の廃棄物減量等推進員との連携でごみ減量施策が進んでいます。 昭島市では、どのように廃棄物減量等推進員とごみ減量施策に取り組んでいますか。現状をお聞かせ下さい。

次に 海洋プラスチック汚染問題(マイクロプラスチック、マイクロビーズ等)について、市民とともに考える取り組みについて、お聞きします。

年間3億トンのプラスチックが生産されています。石油輸出量の8%がプラスチックとして生産され、そのうち半分が容器包装に使われています。

ここにある演台のうえのボードもプラスチックです。

一つひとつの場面にプラスチックが生活の場面にあります。テレビのリモコン、スマホ、眼鏡ケース、ドライヤー、歯ブラシ、歯磨き粉のチューブ、コップ、スリッパ・・・・

私たちの周りには便利になればなるほどプラスチック製品が使われ、当然ワンユース容器であれば、プラスチックごみも溢れています。 先ほど話した衣料にはフリース等の化学繊維もごみとなればプラスチック廃棄物となります。現在環境中に存在する5mm以下プラスチック粒子であるマイクロプラスチックや洗顔料・歯磨き粉・化粧品などに使用されるマイクロビーズの海洋汚染問題が深刻化しています。マイクロプラスチック問題は、日頃より私が訴えている上流で絶つことが大事ではないでしょうか。 海のプラごみ汚染問題の第一人者である東京農工大の高田先生講師のもと、今年9月10月と全国のNPOやNGOのステークホルダーとともにワークショップに参加してきました。とくに高田先生が調査された東京湾の64匹中の49匹のイワシの内臓から、プラスチック破片が検出された報告は衝撃的でした。人間が魚貝類を通してプラスチックを食べても、プラスチック自体は排泄されるとはいえ、そこに吸着していた化学物質は人体に移行・蓄積する可能性があるそうです。

今年6月に各国閣僚らがアメリカのニューヨークの国連本部で海の持続的利用や資源保全について話し合うハイレベル会合「海洋会議」の宣言案が明らかになりました。深刻化するプラスチックごみによる海洋汚染を防ぐため、レジ袋や使い捨てプラスチックの廃絶を各国に求めました。再利用できる製品の普及や、環境中で分解されやすい生分解性プラスチックを使った代替品の開発を促す。生態系影響が懸念される微粒子状のマイクロプラスチック、マイクロビーズを歯磨きや洗顔料などに使わないようにすることも呼びかけました。海のプラスチック汚染対策に国際社会が協力して取り組む姿勢が示されました。

さてこの昭島においてもレジ袋の使用削減やペットボトルの削減等、事業者や消費者が意識することでこの問題に取り組めるのではないでしょうか。

海洋プラスチック汚染問題は、地域のステークホルダーとともに考えねばならない取り組みです。市民とともに啓発事業に取組んではいかがでしょうか。その姿勢がごみ減量で「オール昭島」で取り組む昭島市につながるのではないでしょうか。

次に ディッシュ・リユースの地域展開についてお聞きします。 11月20日、自治体とともに進めてきた先駆的な活動展開をしている認定NPO法人スペースふうの永井寛子理事長、地方自治法施行70周年記念総務大臣賞(個人)受賞しました。それはごみを出さないイベントをサポートするために、リユース食器の貸し出しを行っていることを、地方行政の分野において、自ら進んで献身的な努力をはらい、地方公共の利益のため多大の貢献をした民間人として注目をされているからです。さて昭島市の事業では、産業まつりのフードグランプリや青少年フェスティバルの一部においてリユース食器の導入がされていました。ごみを出さないイベントをサポートするために、今後地域のイベント等、市民へ積極的に利用展開をしていただくために、利用啓発に取り組んではいかがでしょうか。お聞かせください。

細目 (4) 複雑化・多様化する社会課題解決に向けて、市民との協働を昭島市はどのように取り組んでいくのでしょうか。産業まつりや青少年フェスティバル等から見えてくる庁内連携についてお聞きします。

11月は昭島市が主催のイベントが多数ありました。その中の産業まつりや青少年フェスティバルで感じたことがあります。例えば産業まつりでは、11月12日は9時スタートです。準備をする出店者の方々は8時には会場で準備をしていました。しかし市民会館公民館は準備と同時に開かない状況でした。一週間後の11月19日開催の青少年フェスティバルも同様のことが起こっていました。準備に関わる市民の皆さんは手弁当で参加される方々もいます。昭島市が積極的に開催に関わる一大イベントです。せめて会館の時間について、庁内連携をとるべきではないでしょうか。お考えをお聞かせ下さい。

公民館はおおぜいの市民が集まる生涯学習の場です。そして今後市の多様な社会問題解決に動く市民の人材育成にもなりえます。例えば昭島市役所の社会教育の窓口に市民に見えるように市民企画のチラシが置かれています。しかし公民館では公民館事業でない企画は掲示については断っているのが現状です。複雑化・多様化する社会課題解決に向けて、市民は多様な取り組みをしています。情報を共有する場も含め、市民との協働を積極的に進めてはどうでしょうか。

複雑化・多様化する社会課題解決に向けて、市民との協働を昭島市はどのように取り組んでいくのでしょうか。お考えをお聞かせください。

【答弁者:保健福祉部長】

ご質問の2点目の(1)民間資金・ノウハウの活用等と連携した社会課題解決についてご答弁申し上げます。

厚生労働省では、ヘルスケアの分野において、ソーシャル・インパクト・ボンドの活用を試行的に実施いたしております。この取組は、民間資金を活用して、革新的な 社会課題 解決型の事業を展開し、行政が支払う成果報酬を事業者への支払いの原資とするもので、平成27年に閣議決定されました、「日本再興戦略」の具体的施策に位置付けられたものであります。

ご質問にございました八王子市の事業は、こうした取組の一環として実施をされたものであり、がんの早期発見による 健康寿命の延伸、生活の質の向上、医療費の適正化を目的として、ソーシャル・インパクト・ボンドの導入が図られたものであります。

本制度では、民間の資金やノウハウを活用することにより、初期投資を民間資金でまかなうとともに、成果報酬制のため行政の財政的リスクを抑えることが可能となります。また、事業成果が市民に明らかになるとともに、複数年による効果検証が前提とされ、単年度主義に拘束されないというメリットもあります。

本市のがん検診におきましては、現状、定員を超える申し込みがあり、定員枠の拡大が図られれば、受診率の向上につながることとなります。このため、成果報酬制の導入には、なじまない側面もございます。

いずれにいたしましても、ソーシャル・インパクト・ボンドは試行導入の段階であります。各市の取組やその効果などを踏まえ、費用対効果や、ヘルスケア分野以外への導入の可能性などにについて、多角的に研究いたしてまいります。

【答弁者:市民部長】

ご質問の2点目、地域の社会課題解決にあきしまらしさを活かし、市民が主体的に参画し、協働していくまちづくりをすすめようのうち、2点目の昭島の地域資源(中小企業等)との連携で、若者の就労支援の取り組みについてご答弁申し上げます。

昭島市内の事業所数につきましては、平成26年の経済センサスにより約3800カ所の事業所が存在し、中小企業の課題といたしましては、人材確保、人材育成や後継者問題、技術継承等が挙げられます。

現在の若者の就労支援の取り組みにつきましては、市単独の事業ではなく、東京しごとセンター多摩において、若者と中小企業との交流会を、平成27年度から多摩各地において、年20回程度開催しております。

本市におきましては、生活困窮者自立支援事業の枠組みの中で、相談支援を中心とした取組を進めております。

本市においても、豊中市の就労支援事業を行ってみてはどうかとのご提言でございますが、専従の職員による就職先の開拓につきましては、財源やスキルのある人材の確保など、いくつかの課題がございます。

こうしたことから、現時点におきましては、個別の就労支援事業を行うことにつきましては、困難性がありますが、生活困窮者自立支援事業の枠組みや、ハローワーク等の専門機関との連携の中で、可能な限り引き続き支援に努めてまいります。

【答弁者:環境部長】

ご質問の2点目「地域の社会課題解決にあきしまらしさを活かし、市民が主体的に参画し、協働していくまちづくりをすすめよう」のうち、3点目の「ごみ減量への取組み」について、ご答弁申し上げます。

初めに、古着の回収等ごみの行方から昭島が取り組むごみ減量施策の基本的な考え方についてであります。回収した古着につきましては、市から古紙問屋に売却しております。その後、古紙問屋から故繊維業者に搬入し、選別が行われ、古着としてリユースされるほか、リユースに適さないものについてはウエスや反毛の原料として利用されております。

これまで可燃ごみとして収集していた古着につきましては、西多摩衛生組合への加入に向け、今年度からイベントでの回収や拠点回収を開始したところであり、今後は、回収後に売却した古着の行方やリユース、リサイクル等の状況について、トレーサビリティの観点から回収業者等を通じて確認して参ります。

また、今般のごみの減量化につきましては、市全体で取り組んでいけるよう、これまで、自治会、小・中学校、環境配慮事業者ネットワーク、商工会、及び国際法務総合センター各施設の皆様に対して、直接、お願いをしているところであります。その補完を図る意味におきましても、職員等による出前講座につきましては、ご要望があれば、可能な限り対応して参ります。

次に、廃棄物減量等推進員の活用についてであります。廃棄物減量等推進員につきましては、環境コミュニケーションセンターでのフリーマーケットを始め、環境緑花フェスティバル、昭島ブランド・フードグランプリ、冬の原っぱ大会等のイベントにおいて、啓発活動等を行っていただいているところであります。

市におきましては、現在、各自治会から選出していただき委嘱をしているところでありますが、他市の事例による効果について確認しながら、どのような活用が良いかを研究して参ります。

次に、海洋プラスチック汚染問題について市民とともに考える取組みについてであります。海洋プラスチック汚染につきましては、平成28年1月開催の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において報告がなされ、生態系に与える影響等が世界的な問題となっているところであります。

この問題は、他の環境問題同様、地球規模の視点をもって考え、世界各国が国を挙げて取り組んでいかなければ解決に向かっていくことのない、私たち人類にとってたいへん重要かつ困難な課題であります。

一国の一自治体といたしましては、レジ袋等の使用を必要最小限に留めプラスチックごみを減らしていくこと、プラスチック製品のリサイクルを進めていくこと、また、研磨剤等含有製品の特性などについて、正確な情報提供、啓発に努めながら、一人ひとりの環境にやさしい行動を促していくことが肝要であると考えております。

次に、ディッシュ・リユースの地域展開についてであります。ごみの減量化及び温室効果ガス排出量の削減に向け、継続的に、使い捨てパックに替えてリユース食器を使用していくことは、大きな効果があるものと認識いたしております。

市におきましては、今年度、総合防災訓練、いきいき健康フェスティバル、青少年フェスティバル等、新たにリユース食器を使用する事業を拡大してきたところであり、今後も、より多くの市主催事業及び共催事業における使用について、積極的に検討しているところであります。

課題といたしましては、汁物等を提供する場合において必要数の正確な把握が難しく、食器の過不足が発生し易いこと、食品の持ち帰りを希望する方も多く、使い捨てパックのみで提供した方が都合が良いことなどがございます。

こうした課題を十分に認識した上で、第3回市議会定例会において一般質問に対しご答弁申し上げましたとおり、リユース食器については、自治会のお祭りを始め地域イベント等に対する貸出しを検討いたしますとともに、イベント主催者等が自ら使用していただくよう啓発に努めて参ります。

【答弁者:生涯学習部長】

ご質問の2点目のうち、4点目の複雑化・多様化する社会課題解決に向けて、市民との協働を昭島市はどのように取り組んでいくかについてご答弁申し上げます。

市民会館・公民館では、1年を通じて、さまざまな市の主催・関連事業が開催され、その都度担当部署と調整をしながら、事業を進めております。

ご指摘をいただきました、今回の施設の開館時間につきましても、担当課と市民会館・公民館が事前の調整をしておりましたが、ご参加いただいた市民や団体の方へのご案内が行き届かず、ご不便をお掛けしてしまいました。

今後につきましても担当課と充分に調整し、ご利用いただく市民や団体の方の活動が円滑に進むよう、より一層の庁内連携に努めてまいります。

次に、公民館の掲示板への市民企画事業のチラシの掲示についてでございますが、市民グループがさまざまな活動を行っている中で、掲示板が市民活動の情報共有の場であることは十分理解しております。

ご指摘の公民館の掲示板につきましては、公民館では現在400を超える団体が公民館利用団体登録をしており、スペース等の関係から、基本的には、公民館登録団体が行う事業等のチラシを掲示しております。

しかしながら、市民グループの多様な取組みが、今後も増えていく中で、さまざまな場において情報提供・共有をしていくことは、多様化する市民活動を推進するためには、欠かせないことであると認識しております。

今までも、基本を踏まえながらも出来る限り市民活動の情報提供に努めさせていただいておりましたが、より多くの情報提供ができるよう創意工夫し、さまざまな市民の自主的な活動を後押ししてまいりたいと存じます。

今後も市民の多様なニーズに応じた学習の機会と場の提供に努め、市民相互と地域のつながりを育てることを目標として事業を推進してまいります。