2017年12月議会 篠原ゆか 一般質問報告 ①介護保険制度改正へ向けて市の考え方を問う

篠原ゆかの12月議会の一般質問とその答弁を報告します。

【篠原質問】

議長の指名を受けましたのでただいまより一般質問を行わせていただきます。

今回質問したいのは介護保険制度改正へ向けて市の考えを問う、投票率アップの取り組みについて、学校教育における保護者負担の軽減についての三点です。趣旨をお汲み取りいただき、明確な答弁をお願いいたします。2017年第193回通常国会、5月26日の参議院本会議で地域包括ケアシステムの強化のための介護保険等の一部を改正する法律案を可決成立いたしました。これにより、原則1割であった介護サービスの自己負担額に来年8月から3割負担が導入されることとなりました。引き上げに伴う対象人数は単身世帯なら年収が340万円以上の「現役並みの所得がある人」で利用者の約3%、12万人程度だとしています。

しかし、「一定所得のある人」は2015年8月から2割負担に引き上げられたばかりで、利用者にどのような影響があるかなど詳しい検証をしないまま負担が拡大されてしまうことに非常に危機感を覚えます。

また、要支援1.2の受け皿である地域支援事業についても新聞などでは担い手の不足、そして活用に四苦八苦しているとあります。

また、生活援助サービスの見直しについても利用回数を制限する方向など、これから介護保険がどうなっていくのか、高齢者の方々は不安に思われていると感じています。

また、第七期に至っては我が事丸ごと地域共生社会の実現や、今までよりもはるかに多くの人たちを支える仕組みへと変化していくことが予想されます。

障害のある方、生活困窮に陥っている方、精神障害がありながら介護をしている方、若年層の介護問題など、様々な家族の問題についても支援の手を広げていくようになります。国の考えるビジョンが完成すれば素晴らしいことですが、そこにはたくさんの市民のマンパワーや介護職に従事する働く人たちの増員、市民と市との連携、市では各部署との連携など、まちづくり根本にかかわる一大事業となるわけです。このことを踏まえ、市ではどのように考えるのかを問うものです。国から降りてきたことに従うだけではなく、この昭島市で安心して自分らしく暮らしていくために何ができるのか、市民とともに考え抜き、行動に移していく昭島市の力が問われているといっても過言ではないと考えます。

そこで質問いたします。

第六期の検証についてお聞きします。昭島市高齢者保健福祉計画・第6期介護保険事業計画ではサービスの効率化、重点化、負担の公平化が主な改正点でした。そして計画の課題として、2025年を見据えた取り組みとし、「認知症支援策の充実」「医療との連携」の取り組みを推進、地域包括ケアシステムの構築においては介護給付等対象サービスの充実・強化、在宅医療充実、在宅医療と介護の連携による継続的な支援体制の整備、定期巡回随時対応型訪問介護、小規模多機能居宅介護のそれぞれ1事業所の導入、また認知症ケアパスを確立すること、介護を担う人材の確保、育成などが課題として挙げられています。それを踏まえ、第6機の検証をどのようにしたのでしょうか、市の検証結果についてお聞かせください。また、要支援1・2が昭島市では、平成29年に4月から総合事業へ移行となっています。前後での変化を市ではどのように把握しているのでしょうか。

次に、第七期の制度改正についてお聞きします。先ほども申しましたように第7期の制度改正についてはかなり大きな制度改正であると考えられます。自立支援、重度化防止に向けた取り組みの強化、医療、介護の推進により、医療計画と介護保険事業計画の整合性確保が必要であることや地域共生社会の実現に向けた社会福祉法、介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法の共通事項を記載した地域福祉計画の策定、地域住民と行政等の協働による包括的支援体制づくり、高齢者と障害児者が同一事業所でサービスを受けやすくするための介護保険と障害福祉制度に新たに共生型サービスを位置付けるなどの項目が記されています。このことを踏まえ、市では今後の介護保険の方向性についてどのように考えるのか、お聞かせください。

想定される諸問題についてお聞きします。

国は生活支援を自治体の裁量に任せる(削減)方向としています。つまり、介護予防をNPO団体やボランティア団体などの介護専門家以外に積極的にサービス提供をしてもらうという意味合いだと理解しています。それを踏まえて市としてはどのように対応するのでしょうか。お聞かせください。

【答弁者:市長】

介護保険制度を強化・充実することは、高齢者が安心して暮らすために、大変重要な施策であります。

介護保険制度は、創設から17年が経過をし、介護が必要な高齢者の暮らしを支える制度として、市民生活に広く定着をいたしております。この間、数多くの制度改正が行われてまいりましたが、高齢化の進展を踏まえ、より良い介護サービスの提供を図るとともに、制度の安定的な運営を確保するためのものであると理解をいたしております。

現在、介護保険推進協議会に諮問をいたし、第7期となる介護保険事業計画の策定を進めておりますが、協議会では、第6期の検証やニーズ調査の分析を踏まえ、慎重かつ闊達なご審議をちょうだいしているところであります。今後、パブリックコメントの実施や、介護保険料の算定を経まして、計画が完成することとなります。

新たな計画は、今後の高齢者福祉の確かな道筋となるものであります。この計画の推進を基本といたしまして、「高齢者が生き生きと暮らすまち 昭島」の実現に向け、引き続き、全力で取り組んでまいります。

【答弁者:保健福祉部長】

ご質問の大綱1、介護保険制度改正へ向けて市の考え方を問うについてご答弁申し上げます。

はじめに、細目の1、第6期の検証についてであります。

市の検証結果につきましては、現在、介護保険推進協議会におきまして、第7期介護保険事業計画の策定を進めておりますが、その審議過程において、第6期介護保険事業計画の検証を行っております。具体的には、指標として掲げていた87項目のうち、86項目が達成または達成見込みとなっております。

次に、総合事業への移行後の変化についてであります。

4月にスタートいたしました総合事業につきましては、制度の枠組みの変更であり、要支援者に対するサービス内容が大きく変化したわけではありません。混乱もなく、問い合わせや、苦情もほとんど受けておらず、円滑な移行が図られたものと理解をいたしております。

次に、実際の移行人数、移行方法、サービス内容についてであります。

移行人数といたしましては、10月1日現在329人となっております。移行方法といたしましては、認定の更新時期を迎えた方から、順次、総合事業への移行が行われております。なお、現時点では、ほとんどの方が、従来のサービス内容を変えることなく、総合事業へ移行いたしております。

次に、6市の意見交換及び利用者実態調査の結果についてであります。

総合事業への移行を検討する際に、近隣6市において意見交換会を実施いたしました。情報の共有を図るとともに、他市の対応を参考とさせていただくなど、大変大きな効果がございました。

また、利用者の実態調査におきましては、訪問型のサービスを受けている要支援者のうち、9割以上の方が、生活援助のみを受けていることが明らかとなりました。

こうした取組の結果を踏まえ、制度設計ができたことが、混乱や苦情が少なく移行ができている要因のひとつであると考えております。

次に、生活支援員養成研修についてであります。

生活支援員の養成研修会につきましては、昨年度に2回実施し、80名の参加、本年度は、これまでに1回実施し28名の参加となっております。昨年度の参加者のうちシルバー人材センターからの受講者が60名を占め、現在、住民主体型サービスの担い手としてご活躍をいただいております。また、今年度の研修会におきましては、生活支援員の募集を行っている市内事業所のチラシを配付することで、受講者の就労の場が広がるように、情報提供に努めたところであります。住民主体型サービスの利用状況は、増加傾向にあり、10月の利用人数は14名、利用回数は延べ64回となっております。

次に、細目の2、第7期の制度改正についてであります。

はじめに、今後の方向性についてであります。

今後の取組におきましては、地域包括ケアシステムの深化が最大のテーマであると認識をいたしております。その他、高齢者の自立支援や要介護状態の重度化防止を推進し、地域共生社会の実現を図るとともに、制度の持続可能性を確保することが、第7期の大きな柱となるものと考えております。

次に、介護の担い手の増加についてであります。

介護の担い手不足は、安定した介護サービスの提供にとって喫緊の課題であると認識をいたしております。ハローワークとの連携による取組を推進いたすとともに、「TOKYO働きやすい福祉の職場宣言事業」の普及・啓発に努めてまいります。

次に、市民との協働についてであります。

第7期介護保険事業計画におきましても、市民との協働は、重要なファクターの一つであると認識をいたしております。そもそも、地域包括ケアシステムの構築は、市民との協働なしに実現することは困難であります。引き続き、地域で活動する人材の育成やコーディネートの仕組みづくりに取組んでまいります。

次に、介護者への支援についてであります。

介護を担う家族の方々は、精神的、身体的、経済的な負担をかかえることとなります。こうした負担を軽減し、安心して介護ができる環境を整備することも、介護保険事業の大切な取組であります。引き続き、介護サービスの適切な提供を図るとともに、介護慰労や相談支援の取組を進めてまいります。

次に、障害者のスムーズな介護保険への移行についてであります。

平成30年4月から、65歳に至るまでの長期間にわたり障害福祉サービスを利用されている方が、65歳から介護保険サービスを利用する場合には、介護保険の利用者負担が軽減される仕組みが導入されることとなっております。これまで、障害福祉サービスと介護福祉サービスの制度の違いから、65歳到達により、なかなか円滑な移行につながらないとの指摘もございましたが、新たな制度の開始により、こうしたことも、一定程度は解消されるものと考えております。

次に、細目の3、想定される諸問題についてであります。

はじめに、生活支援を削減する方向性についてであります。

社会保障審議会介護保険部会における審議状況などからは、現時点では、そうした方向性はないものと考えております。また、そうした制度改正に関する国や東京都の通知も届いてはおりません。

次に、認知症サポーターについてであります。

平成19年度よりスタートいたしましたサポーター養成研修は9月末現在、5,555人の方に受講していただいております。認知症サポーターには、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、職場や地域で 認知症の人や御家族を見守る「応援者」になっていただくとともに、できる範囲で認知症の人やその家族の支援をお願いしております。引き続き、サポーターの育成を進め、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりの実現を図ってまいります。

次に、将来、福祉の職に就く夢を持つような小中学生の育成についてであります。

各学校では、将来の職業について考える取組としてキャリア教育を推進しております。その中で、中学校では職場体験を実施し、市内の福祉事業所に多くの生徒を受け入れていただき、福祉の職場を体験させていただいております。また、各小・中学校では、総合的な学習の時間において、福祉について学ぶ機会を設け、介護老人福祉施設などを訪問して、交流活動を

行ったり、高齢者体験を行ったりして、理解を深めております。学校教育では、高齢社会の中で、次代を担う子どもたちに期待される役割について、今後も体験活動を通して、考えたり行動したりする機会を、計画的に設けてまいります。

次に、サロン事業の今後の展開についてであります。

サロン活動は、「地域のつながりが生まれる場」として、地域づくりにおいて、重要な役割を担っているものと認識をいたしております。そのため、サロン事業の推進役である社会福祉協議会と連携し、活動の自主性を尊重した支援に努めております。現在68のサロンが様々な活動を進めており、その一つ一つが、まちづくりの拠点となるものと考えております。

次に、子ども、若者、高齢者等が自由に集える場所についてであります。

どのような目的で集うのかにより、対応も異なるものと考えますが、現時点におきましては、新たな施設を整備することなど、ハード面の取組は考えておりません。費用対効果や必要性、その効果などを含め、調査研究いたしてまいります。

次に、認知症カフェについてであります。

認知症カフェは、認知症の人がみずから活動し、楽しめる場所として、また、その家族が気軽に情報交換や相談のできる場所として、認知症施策の一翼を担う重要な存在であります。引き続き、市内の精神科クリニックや認知症グループホームなどと連携し、活動の幅が更に広がるよう、支援に努めてまいります。