昭島市の公立保育園がゼロに!? ~ おおたけ貴恵の12月議会報告~
基幹型保育園として残すべき
大きい公立保育園の役割
平成29年を目途に市立なしのき保育園は、昭島市が100%出資する社会福祉法人昭島市社会福祉事業団に運営委託される予定です。市が直営する公立保育園が「ゼロ」になります。
民間保育所が、法人設立の精神に基いた比較的特色のある保育を行い、その利用者に責任を持つところであるのと比べ、公立保育所の門戸は、常に市民全体に開かれています。公立保育所は行政機関の一部であるため、他の公共機関との連携も民間より容易です。学校や保健所、児童相談所、子ども家庭センター、その他の福祉施設などと連携しながら、より豊かな保育、在園児・在宅児家庭の子育て支援を行い、ネットワークをつくっていく核となることも、公立保育所の大切な役割です。また、直営施設である公立保育所があることで、保護者の要望を聞きながら、市全体の子どもを視野に入れた将来的な子ども施策を考えていけるというメリットもあります。さらに昭島市の障害児保育についてみると、市内の私立保育園では1人から、多くても6人という受け入れ数ですが、市立なしのき保育園では11人もの受け入れが出来ているという点でも役割が大きいことがわかります。
保育政策の推進役の基幹型保育園
多摩26市の調査では、保育園のあり方は検討されている自治体はあるものの、前提は自分の自治体で保育計画、ビジョンを確実に持ち、改革に取り組んでいる。そして子ども施策へ直営で関わることができる公立保育園をゼロにする施策の事例は非常に少ないということもわかってきました。
平成27年度(2015年度)4月の昭島市就学前人口は、5581人です。そのうちの保育サービスをうけている就学前児童数は、2587人です。また昭島市内の幼稚園のサービス利用している数値は調べてみると1270人です。昭島市内の0~5歳児の1724人、つまり、昭島市の就学前児童の31%は保育サービスや幼稚園を利用していないことが見えてきます。
公立保育園を敢えて残し、基幹型保育園として機能している町田市では、マイ保育園事業として、地域の子どもたち全てを見ています。
社会福祉事業団への運営委託で何も変わらないの?
市立なしのき保育園の保護者への説明会に参加しました。「保育園を運営したことがない昭島市社会福祉事業団への不安」や「来年度なぜか看護師の異動が決まっていることへの不安」の声が上がっていました。今回議会で質問をし、答弁で昭島市社会福祉事業団はこれまでと同様の保育をすること、今後協定を締結するといいます。また看護師の異動は、職員との交渉で市が提示した案だということもわかりました。その点について市は子どもや保護者を中心に考えるべきことではないかと指摘しました。最後の公立保育園がゼロになるということは昭島市に子ども政策にも関わること。保護者の不安を丁寧に聞き取ることは当然のこと、さらに市立なしのき保育園の運営が変わることは、保育所の入園のしおりの中に小さく掲載されていることについて、しっかり市民にも説明すべきことを指摘しました。
公立保育園を基幹型保育園機能としてアウトリーチ等困難家庭への支援の提案は、市立なしのき保育園を移管予定の昭島市社会福祉事業団と今後建設予定の児童発達支援センターとの連携の中で研究したいという答弁です。果たして民間に運営を任せる両施設の設置後に考える問題でしょうか。子ども政策は待ったなしです。民間施設を設置する前に昭島市の子どもへの政策としてアウトリーチも踏まえ、計画を策定すべきです。そこに公立の役割が大きいのではないでしょうか。引き続き、市民の声を聞きながら、議会で追求していきます。
このほか 以下の課題について質問しました。
◆昭島の文化・歴史・自然等が薫るまちづくりをしよう
(1)親子が巡りながら知る、学ぶ、触れるための情報発信について
(2)市史編さん事業を市民とともにしよう
(3)郷土資料室の昭島市の方針についてお聞かせ下さい。充実した内容にしていくには、学芸員の配置は必須だと思いますが、市の考えは。
◆深層地下水100%の水道水のまちとして、水源林の森を守る循環を昭島から率先しよう
(1)崖線、街路樹等のみどりを守るための剪定の指針を市民とともに作ろう
(2)多摩の森を身近に感じ、水源林保全のための東京の森と昭島市をつなぐ施策(多摩産材を公共施設で使うこと、ウッドスタート宣言での木育等)を推進しよう