2017年6月議会 篠原ゆか 一般質問報告 ②公共調達について
【篠原質問】
二点目公共調達条例について質問いたします。
公共調達条例、または公契約条例については他の議員の方からもたびたび質問が行われております。2009年、千葉県野田市の公契約条例に始まり、その後ペースは遅いものの各地に広がってきています。競争化の新自由主義により、「安ければよい」という考え方は未だ現在に至っても続いており、雇用不安、官製ワーキングプアの増加、公共サービスの質の低下、不安、公正な競争の崩壊などの様々な問題点があります。それを解消するため新たな担い手である委託、請負労働者の雇用安定、生活の保障を通じて公共サービスの質を確保し地域経済の振興に資する入札制度へ向け条例の確立に取り組むべきと考えます。
近隣自治体の国分寺市では公共調達条例が2012年4月から施行されています。こうした条例が必要とされる背景の一つは各地で起こった入札不調があります。ダンピング受注の激化が賃金低下、保険未加入を招きこれが原因となって若年入職者の減少が続いていること、その結果技能労働者の需給がひっ迫し入札不調が発生しています。この労働需給は構造的な問題であるため適切な策を講じなければ災害対応やインフラに支障が生じます。昭島市でも入札不調があったという中ではしっかりとした指針や条例制定をもってこの危機に対応していかなければならないのではないでしょうか。また、賃金の低下に対する施策ということで条例制定が叫ばれる中では、国分寺市公共調達条例のように、環境に配慮している事業者、障害者雇用を進めている事業者、ワークライフバランス推進事業者など、事業者選定の基準としてこういったことに取り組む事業者に優先的に受注していくということも考えるべきです。そういった点でも、公共調達における指針、条例は策定すべきものであると考えます。
そこで質問です。
昭島市における公共調達条例に取り組むべきと思うが市の考えかたを問うから、まず、どのような基準で公共調達をするのか、指針は作る方向性はないのか、市の考えをお聞かせください。
【答弁者:総務部長】
ご質問の2点目、公共調達についてのうち 昭島市における公共調達条例に取り組むべきと思うが市の考え方を問うにつきまして、ご答弁申し上げます。
初めに、どのような基準で公共調達をするのか、指針・条例を制定する方向性はないのかについてであります。
市では、地方自治法、地方自治法施行令等の法令等、市が定めました条例、規則及び訓令や実務的な事項を定めた基準等によりまして、売買、貸借、請負その他の契約による「調達」を行っております。
また、労働者の労働条件や賃金につきましては、法律で規定がされてこそ実効性が伴い、公平性が確保されるものであると考えておりますので、ご質問にございました趣旨での指針や条例を制定する考えはございません。
次に、公共調達における事業者選定についての現在の状況及び課題についてであります。
市では、支出負担科目ごとに定められた契約の予定価格の区分により、制限付一般競争入札、指名競争入札又は随意契約により業者選定を行っております。
課題といたしましては、この数年、特に年度の後半になりますと入札不調が一定程度発生する傾向があることでございます。
次に、積極的に障害者雇用を進める事業者、グリーン電力証書取得事業者、ワークライフバランス推進事業者などの優先枠を設けての事業者選定についてであります。
市では、障害福祉サービス事業を行う施設からの物品購入及び役務の提供につきましては、地方自治法施行令に基づき、随意契約することができる対象としており、また、電力の調達に係る入札の参加者については、「グリーン電力証書の市への譲渡予定量」を評価項目の一つとして設定しておりますが、これらの事業者に対して優先枠を設けることはいたしておりません。
いずれにいたしましても、今後とも、先進市の状況なども参考といたしながら、契約事務の公正性、透明性及び競争性をさらに高めるために、どのような方策を講じることができるのか、研究・検討してまいりたいと考えております。