私のまちの水辺調査 多摩川編

 

8月30日川の増水のため延期になっていた地域協議会で行っている多摩川の水辺調査を雨降りでしたが、決行しました。

 昨年の調査以降鉄橋下流の地形が大規模に整備され、凹凸がなくなり、石川原ができた。今年の水生生物調査は、流れのよどみのない鉄橋下流でおこなった。水深も浅くなり、流れの幅も広くなりました。河床はこれまでより大きな砂利が敷かれており、その石の上にたくさんのトビケラの巣がたくさん見られた。1時間ほど水生生物の採取をおこなったが、昨年に比して、時期が1ヶ月遅いにもかかわらず生物の個数はかなり多かった。

 見られたおもな水生生物は、カワゲラ、ヒラタカゲロウ、ウズムシ、ヒゲナガカワトビケラ、ウルマシマトビケラ、ヒラタドロムシ、ヤゴ、スジエビ。未成魚も多かった。鳥類では、遠くにはダイサギ、トビの姿、カワセミの鳴き声も聞こえた。これまでの鉄橋上流の調査では生物の減少傾向を感じていたが、それに比較して今年は水生生物の数が多かった。河床の状態は、上流側はさらに堆積した土や砂がおおかったが、下流には堆積がなく、つねに流れがあるため、汚い水系にすむ生物がほとんどいなかったと考えられる。水生生物調査の結果は、水質階級Ⅱとなった。 

採取した水生生物を分類し、水質の評価をします。

今年多く見られたトビケラ類

 

今年は鉄橋下の凸凹が無くなっていました。

河川工事前の下流側の様子

 

水質分析結果 数値 

化学的酸素要求量(COD) 8以上 mg/L
アンモニウム態窒素(NH₄―N) 0,2mgNH₄+‐N/L
亜硝酸態窒素(NO₂-N) 0.005mgNO₂‐N/L
硝酸態窒素(NO₃-N) 0.2mgNO₃‐N/L
りん酸態りん(PO₄-P) 0.05mgPO₄³‐/L

 パックテストの調査では、COD以外は川の上流、雨水程度の水質だったが、CODが高くなる要因が分析でききれていない。今年は比較的雨が多く、周辺からの有機物の混入が多いことや、上流の河川改修工事の影響ではないかと推測している。

 昨年河川改修がおこなわれ、鉄橋の下流の流れが大きく変わった。これまでの上流の調査では生物の減少傾向を感じていたが、水生生物の数が多かった。河床の状態も上流側はさらに堆積した土や砂がおおくなっていたが、下流には堆積がなく、よどみがないので汚い水系にすむ生物がほとんどいなかったと考えられる。水生生物調査の結果は、水質階級Ⅱとなった。しかし、河床の段差を人工的に崩したため、独特の牛群地形が消失。かわりに広い石川原ができた。鉄橋の保持のためのようだが、ほかでも河川の樹木の伐採をすすめており、どのような影響があるのか、長期的に見ていく必要がある。ここ数年、多摩川の河川工事や護岸工事があちこちで行われている。昭島の多摩川の特徴であった牛群地形がどんどん減っていく。アキシマクジラの発掘場所もわからくなってしまったのは残念との意見もある。生態保持空間であった河川敷の樹林を伐採し、堤防をつくったり、かつての川原の植生にもどすとの理由で中州のニセアカシア等の樹木を伐採。多摩大橋下流ではその後増えたオギ原に府中にあったツバメのねぐらが今年急に移動するという事件もおこりました。ツバメはオギではなく、ヨシを好むとされていました。しかし、ヨシ原は、アレチウリやセイタカアワダチソウなどの外来植物の進入で育成が阻害されたり、河川の増水によりヨシ原が水没して、更新される機会も減り、乾燥化する傾向です。たまたま昨年人為的に更新されたオギ原でも荒れたヨシより良いとツバメたちが判断したのでしょうか。原因は究明中とのことですが、来年もねぐらが確保できるように注視していくことが必要です。