報告:「玉川上水を歩く 市部版」

 1020日、玉川上水を守る会の庄司徳治さん、NACS-J自然観察指導員東京連絡会の小口治男さんを講師にお招きし、東京・生活者ネットワーク主催でみどりと生き物調査「玉川上水を歩く」が実施されました。

 玉川上水駅から鷹の台駅まで玉川上水沿いを歩きながら、水辺・植物・生き物などを観察しつつ、水道用水・環境保全緑地・歴史遺産としての玉川上水を、都民あるいは市民の立場から、どのように守り活かしていくか考える企画です。

  最初に参加者全員に5種類のどんぐりを配布され、どんぐり1つとっても多様性に満ちていることを再認識しながらのスタートでした。玉川上水駅を出発してすぐに、中国産である外来種のアカボシゴマダラを発見。私たちのごく身近にも、在来種以外の生き物が生息しています。

アカボシゴマダラにつき説明下さる小口さん

  玉川上水沿いの雑木林は、多摩川の羽村取水口から都心部につなぐ「緑の回廊」の役割を果たしており、同時に多摩丘陵や関東山地から都心に動物、野鳥、昆虫が移動するコースでもあります。今回歩いた上水沿いも、場所によって観察できる樹木に少しづつ変化がみられました。例えば、小平監視所~西中島橋間の、コブシ、ゴンズイ、コナラ、イヌザクラなどに始まり、西中島橋~東小川橋間は、コナラ、イヌシデなどの高木や中低木、東小川橋~鷹の橋間は、高木が続くなかタマアジサイなど山や丘陵の樹木など多様な樹木がみられました。

  併せて、各所での概略説明もなされました。まずは、小平監視所。ここで取水され、地下の導水管により東村山浄水場へ送水されており、非常に神経を使った作業がなされています。

小平監視所前にて説明下さる庄司さん

 

小平監視所

 昔のままの姿であるとされる上水小橋。ここでは、昭島にある多摩川上流処理場の再生水が流されており、この再生水により多摩川上水の清流が蘇ったとされています。

上水小橋

 他にも、関東ロームにトンネルを掘った形に新堀用水。

関東ローム層

 水車小屋があった水車橋、など水道用水や歴史遺産としての玉川上水を学ぶこともできました。

 もともと玉川上水沿いに50年前には木がなかった状態であったところ、20数年手入れがなされなかったが、玉川上水を守る会など市民の力もあり少しづつ自然と緑の保全がなされ今の姿があるとのこと。但し、保全1つとっても、その該当箇所により都や市の管轄が異なるため調整に苦慮するそうです。様々な植物や生き物が生息していることを把握した上で、各々に適切な生存環境を維持していくことは非常に重要であり、それらに効率的に取り組めるような行政の対応が緊急に必要とされていると思われました。