2015年12月議会 篠原ゆか 一般質問報告 ①LGBTについて

篠原ゆかの12月議会の一般質問とその答弁の速報を報告します。

【篠原質問】

只今議長のご指名を頂きましたので通告に従い、一般質問をはじめさせていただきます。

今回私が質問させていただきたいのはLGBTについて、地域包括ケアシステムについて、横田基地軍民共用化についての三点です。趣旨をお汲みとりいただき、明確な答弁をお願い致します。

それではLGBTについて質問させていただきます。

LGBTはレズ女性同性愛者、ゲイ男性同性愛者、バイセクシャル両性愛者、トランスジェンダー(生まれたときの法的、社会的性別とは違う性別で生きる人生きたいと望む人)達です。人が生まれ持った身体的・精神的な性別の自認、性の捉え方はさまざまです。実際には4つに色分けできるものではなく、グラデーションのように多様な性の人たちが、世の中には大勢存在しています。電通総研が2012年に行った調査では5.1%がLGBT であると答え、2015年の調査では7.6%となっています。2013年に相模ゴムが行った調査では、恋愛対象が同性と答えたのは男性4.9%、女性7.1%20代女性に至っては12.1%にも上ります。また、性同一性障害で戸籍性別表記変更受理件数は2014年で5000人を超えています。そのような性的な多様性は、当事者以外は気づきにくく、互いのコミュニケーションが取れてないことは珍しくありません。日本人はLGBTの存在を抽象的には分かっていても、当事者がなかなかカミングアウト(告白)しにくい社会であることもあって、具体性と現実感が乏しいという実態です。皆、自分の周りにはそんな人は居ないと思って暮らしている。性の多様性を認めながらも、この“曖昧さ”が、社会の側から仕事面、生活面で“見えない差別”を無意識のうちに押しつけていることを自覚すべきなのです。

一番大事なのは思春期の時期であると考えます、当事者が性的違和を感じた場合に相談できる場所が必要です。実際に自分がセクシュアルマイノリティであると自認した時、将来のロールモデルが見えずどうやって生きていったらいいのかわからない。友達にいじめられるからわからないように、ゲイやおねぇタレントを笑い物にするような発言をしている友人に傷つきながらも一緒に笑ってしまう。このような周りの対応から、自分のことは絶対に誰にも言ってはいけないのだと認識するようになり、自己肯定感が持てず、いじめの標的になる人も少なくありません。不登校、自傷行為、自殺等の深刻な事態になることもしばしばあります。特にセクシュアルマイノリティの方たちの自殺率も高くなっています。いじめを経験している人は七割以上、自殺を考えたことのある人は三割以上にも上っています。実際に学校で教員に相談をしたセクシュアルマイノリティの生徒は1割しかいないと言われています。中には先生からのからかいや、いじめもあったとの調査結果が出ています。6つの自治体で約6,000人の教員に対してアンケートと教員研修を実施しました。先生方の約7割が「性同一性障害」について、6割が「同性愛」について授業で教える必要があると考えています。その一方で、実際に授業で取り入れた割合は約14%でした。また、大半の先生方に性的指向について誤解あるいは不確かな知識や認識があることもわかりました(例えば、性的指向は本人の選択の問題と捉えている人は38.6%、よく判らないは32.8%等)。性の多様性に関する研修会の受講ニーズは、6割を超える先生方が参加したいという意向を持っています。子どものときに性同一性障害ではないかと自覚した子どもたちを追跡した結果、子どもの性同一性障害が必ず大人の性同一性障害になるのではなく、同性愛であったという事例もあるようです。最近の子どもたちにおいては「同性に関心が向くイコール性同一性障害」であると考えてしまう傾向があるかもしれません。だからこそ、同性愛といった性的指向と性同一性障害の両方を正しく理解したうえで、セクシュアリティについて対応していく体制を整備しないと、大人が子どもに間違った線路を引いてしまうことになりかねません。正しく認識するとともに支援策を学ぶための教員研修の機会確保が急務です。また、ちょっとした配慮ができるようになるための市役所でのしっかりとした研修、書類の表記やLGBTの啓発などの取り組みが必要です。そこで質問です。

1、基本的な考え方についてお聞かせください。

2、具体的な支援についてお聞かせください。

(1)  教育現場での対応についてお聞かせください。当事者を取り巻く周囲の環境、

当事者を取り巻く周囲の対応、職員の研修についてはどのようになっていますでしょうか。

・相談しやすい環境作りについてお聞きします。

保健室、図書室へのパンフレット、理解のできるマンガ設置などはどうなっていますでしょうか。

・続いてトイレ問題についてお聞きします。 誰でもトイレ、教師用トイレ使用可など、対応はどのようになっていますでしょうか。

・修学旅行風呂対応、中学の制服選択について

(2)  市役所窓口での対応についてお聞きします。

・性別表記についての対応についてお聞きします。

・相談窓口設置、ホットラインの設置についてはどのように考えておりますでしょうか。

・職員の啓発について、また市民、企業、病院などへの理解も必要だと考えますが市ではどのように考えていますでしょうか。

【答弁者:企画部長】

ご質問の1点目、LGBTについてのうち、細目1点目の基本的な考え方について、ご答弁申し上げます。

LGBTは、女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者の性的志向と性同一性障害の総称として、性的マイノリティーとも呼ばれております。また、人口の約3~5%がLGBTであると言われており、少数派であるため、興味本位で見られるなど偏見や差別により、社会生活の様々な面で、人権にかかわる問題も発生しているものと認識してございます。

とりわけ、性同一性障害は、生物学的な性(からだの性)と性の自己意識(こころの性)が一致しないため、社会生活に支障がある状態で、国際疾病分類では疾病として認められていますが、社会では十分な認識がされていない状況にもございます。

性同一性障害の方々は社会の中で偏見の目で見られ、差別的な扱いを受けることがあり、学齢期にいじめに遭い、不登校になったり、性同一性障害であることを家族や友人に言えずに悩み、自殺まで考える人がいるという調査結果もございます。

近年では、偏見や嫌がらせ、雇用における制限や差別等の社会生活上の制約を解消していこうという観点から、問題提起や制度の整備が行われており、平成16(2004)年には、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行され、この法律により、性同一性障害者であって、一定の基準を満たす方については、性別の取扱いの変更の審判を受けることができるようになっております。

こうしたことから、国の取組みはもとよりでございますが、東京都におきましても、区市町村との連携を図り、取り組むべき人権施策の基本方針を示した東京都人権施策推進指針を策定しております。この指針の中では、性的マイノリティーへの施策の方向性も明記をしております。

性についての多様性につきましては、未だ様々な考え方があると存じますが、そうしたことから人権侵害につながることは、決してゆるされるべきものではないと考えます。正しい知識の普及、また、偏見や差別の解消を目指した啓発は必要なものであると存じます。

市といたしましては、毎年12月の人権週間において、性的指向や性同一障害を理由とする偏見や差別をなくすことも含めまして、広報あきしまを通じまして、人権に関する啓発に努めているところでございます。 相談窓口につきましては、広報の中で、国や東京都の相談窓口を紹介するとともに、市におきましても、相談の希望に応じて、人権身の上相談で対応することが可能であります。

また、企業や病院などの啓発につきましては、東京都人権啓発センターにおきまして、都内公立、私立学校や図書館、また、人権啓発企業連絡会を通じて、広く人権啓発活動に努めていると伺っております。

今後も引き続き、国や東京都とも連携する中で、人権擁護委員とも協力し、人権に関する啓発に努めてまいります。

【答弁者:学校教育部長】

大綱の1点目、LGBTについて」「具体的な支援について」のうち「教育現場での対応について」御答弁申し上げます。

学校教育における児童・生徒に対するLGBTの教育については、LGBTに特化せず、人権教育全般の中で扱っております。これは、全教育活動を通じて、人権尊重の理念である「自分の大切さとともに他の人の大切さを認めること」について理解を深めることにより、LGBTについても理解されると考えております。

教職員の研修については、東京都教育委員会主催の人権教育講演会の中で「LGBTの子どもも過ごしやすい学校について」の講演を行っていただいた講師を招き、同内容で来年2月に市内中学校全教員向けに研修を予定しております。

次に、相談しやすい環境作りについてでございますが、LGBTの児童・生徒から相談があったときの対応として、本人と保護者の意向を十分に配慮しつつ、養護教諭やスクールカウンセラー等が相談にのり、個別の対応で解決できるものがあれば配慮を進めるようにしております。また、必要に応じて、関係医療機関とも連携するなど、児童・生徒の心情に十分配慮した対応ができるようにしております。

学校生活での対応策としては、トイレや着替えなどにおいては、教職員用の場所を活用することや時間をずらすなどの支援が考えられ、児童・生徒の困り感を軽減することができます。

修学旅行の際は、時間をずらして風呂に入ることや、個室シャワーを使用すること、また、部屋割りについても個室の利用が考えられます。中学校の制服の選択につきましては、制服を着たくないと希望する場合は心の性に合った制服を着用することや、ジャージ登校を認める配慮があります。

次に、保健室、図書室へのLGBTについてのパンフレット、理解のできるマンガの設置、また、保護者への啓発などについては、今後行われる研修会で教職員がLGBTについての知識を深めた上で、効果的な方法について検証してまいります。

今後も、一人ひとりが人権の意義・内容や重要性について理解し、自他の尊厳を認めることができるよう人権教育を推進してまいります。

ご質問の1点目、LGBTについてのうち、住民票及び国民健康保険被保険者証の性別表記について、ご答弁申し上げます。

初めに、住民票の男女別記載欄についてであります。

住民票の性別表記につきましては、住民基本台帳法第7条において住民票の記載事項について規定しており、氏名、出生の年月日の他、男女の別を記載することとなっており、同法の規定に基づき、住民票に性別を標記しているところであります。

次に、国民健康保険被保険者証の性別表記についてであります。

国民健康保険被保険者証の性別表記欄につきましては、性別に由来する疾患があることやレセプト審査を円滑に行う視点から設けられたものであり、そこに記載する性別は、戸籍上の性別を用いることとなっております。

しかしながら、平成24年9月に、厚生労働省から通知があり、被保険者から被保険者証に戸籍上の性別を記載してほしくない旨の申し出があり、やむを得ない理由があると保険者が判断した場合は、裏面を含む被保険者証全体として、戸籍上の性別が容易に確認できるようにすれば、差支えないこととなりました。

こうしたことから、本市におきましても、被保険者からご相談があれば、こうした措置を検討することといたしております。現時点におきましては、こうしたご相談は、まだございませんが、LGBTであるということは、こうした措置の要件である「やむを得ない理由」に該当するものと理解をいたしております。