小金井市の取り組み~食と農によるまちづくり

7月19日(火)、都市農業の多目的価値や実践モデルを視るべく、小金井市の江戸東京野菜生産農家、高橋金一さんの緑町農場を視察に訪れました。

この緑町農場は、高橋さん所有の農地の一割にも満たず、青梅・所沢などの各所に農地をお持ちとのこと。当日は、視察場所でとれたミニトマト、おかわかめ、また別の農地でとれたじゃがいもを使った、食育・野菜コーディネーター酒井文子さんによる同市緑児童館幼児向け食育講座の見学もしました。

調理中の酒井文子さん

調理中の酒井文子さん

高橋さんは、農という手段を用いて、多様な試みをなさっていました。

地元レストランへの納品や、直売所「農家みち」での販売を通じた、地産地消のつながりづくり。

小金井市で作った給食残滓をペレット化した堆肥や、珈琲カスを用いた、資源循環。

さらには、福祉の一環としてうつ病の方などに農作業に参画して頂いたり、防災(避難所)拠点としての、農地の活用。

農業によりこれら公的役割をスムーズに機能させつつ、農ある町づくりをするには、法的な整備や消費者の地産地消の行動が不可欠だそうです。

次に食育現場を視察に行きました。このプログラムは食育が拡がことが目的であり、そのターゲットは、子供のみではなく、大人にまで及ぶそうです。具体的には、大人が食を選ぶ力をどうつけるか。

高橋さんが憂慮なさっていたのは、これからの日本が、企業がつくる農業に支配されていくのではないかということです。例えば、国の予算も入っている千葉大学の植物工場。全てがコンピューターで管理されています。ただ、高橋さんが試食したところ、固いし、味付けをして完成品となるようなもの。小さいときからこれを食べてトマトと思って成長したらどうなるかと危惧なさっていました。

旬のもの地場のものを食べるのは経済的にも栄養的にも理にかなっており、季節を外れてエネルギーを使われたものではありません。また、農家も消費があれば対応できるとして、地産地消の大切さを訴えられていました。

一方、小金井市という行政レベルでは、小金井市食育推進基本条例が採択されています。その一環として食育ホームページを整備、例えば庭先販売所他も紹介されたマップが公開されるなど、市民が実際に地場野菜にアクセスしやすい環境作りがなされているようです。http://www.koganei-style.tokyo/

高橋さんの農の捉え方や、小金井市の先進的な取り組み。

私たち昭島でもそれらを1つのモデルとしつつ、もっと農を身近なものとし、食と農による町づくりができないのでしょうか?

(高橋金一さんプロフィール 1961年生。江戸時代から200年農家。玉川大学農学部卒業とともに就農。植木生産農家から、江戸東京野菜や果樹(柑橘類)栽培への移行中。多品目野菜栽培の競合により雑草を抑えるなど、江戸東京野菜の復活、栽培、普及に取り組む。生産者と消費者の「顔の見えるつながり」をつくり、食と農によるまちづくりを進めている。2012年法政大学学生との「庭先無人直売所」プロジェクトの第1号『金菜屋』オープン。小金井市農業委員会会長。)