2016年9月議会 篠原ゆか 一般質問報告 ①農あるまちづくり構想について

篠原ゆかの9月議会の一般質問とその答弁を報告します。

【篠原質問】

只今議長のご指名を頂きました。通告に従い一般質問を始めさせていただきます。
今回私が質問させていただきたいのは農あるまちづくり構想について、若者とともに進める地域づくりについての二点です。趣旨をお汲み取り頂き、明確な答弁をお願いいたします。
それでは大綱1、農あるまちづくりについて質問させていただきます。
昨年4月、都市農業振興基本法が成立し施行されました。基本法の基本理念は、①多様な機能の適切かつ十分な発揮と都市のうちの友好な活用及び適正な保全②良好な市街地形成における農との共存③国民の理解の元に施策の推進がはかられること と3つ基本理念のもとに策定されました。これを元に、本年5月13日に国の都市農業振興基本計画が閣議決定され、今後は都市計画法や生産緑地法改正などの制度整備が期待されるところです。市としても都市農業振興基本法や基本計画の理念にのっとり、特に農地の減少の激しい市街化農地の保全が重要だと思います。

そこで質問です。
細目1基本的な考え方についてお聞きします。
昭島市では農業振興計画が策定されていますが、その計画の進捗状況、また、進むにつれ出てきた課題、農地の減少対策をどのように考えるのか、また市としては、農業について、今後具体的にどのような施策を考えているのでしょうか。お聞かせください。農地面積全体の減少率についてもお聞かせください。

細目2農業公園の取り組みについてお聞きします。
農業公園(のうぎょうこうえん)とは、自然とのふれあい、園芸、造園、農業への理解と環境・食の教育(食育)を目的としたレクレーションの場として、全国各地に整備されている施設です。作付けから収穫までの農作業を体験できる「体験農園」、野菜の栽培や植木の手入れなどさまざまな講習会を行う「実習農園」、見本庭園となる「ガーデ二ングエリア」、バーベキューなどで遊べる「自由広場」などがあり、公園に集う人々によって花と緑が市内全域に広まっていくことをめざしています。こういった市民と農をつなげる取り組みを行っていくとより市民の理解が深まり、農への関心が高くなることが期待され、将来農業にかかわる仕事がしたいと思ってもらえる機会にもなると考えます。農業公園についての市の考え方についてお聞かせください。

細目3用水路について質問します。
昭島市の大事な財産である用水路を守っていくために、市民の力が必要です。
日野市では、用水守制度を行い、用水路を市民の力で守っています。
「用水守制度」は日ごろ活動をする範囲を決め、あらかじめ「用水守」として登録することで、万一、活動中ケガをしたり、また、他人にケガをさせてしまったりした場合に備え、市がボランティア保険をかけるというものです。市民と市行政が参加する仕組みを作ることにより都市化の進む郊外地域の水辺再生モデルとなっています。
活動内容はあらかじめ本人が定めた活動範囲での清掃・保全・緑化等のボランティア活動。市内の用水路・河川・湧水地を市と連携・協働により維持管理活動を行います。登録資格は個人・グループ・自治会・企業等(平成21年8月1日現在 47団体507名登録)市の対応はボランティア保険への加入・ボランティア袋の配布・ 登録証・腕章の交付を行い、毎年6月に用水守懇談会を開催し活動の報告や、用水守・用水組合間の交流を図っています。この日野のモデルを例にして、昭島でも用水守を市民から募り、良好な環境を維持すべきだと考えますが、市のお考えはいかかでしょうか。

細目4体験農園について質問します。緑町で行われている「体験農園緑町やさい畑」は住宅が並ぶ隣に、40区画、10坪に区画された畑で体験農園が行われています。夏野菜や落花生などたくさんの野菜が栽培されていました。年間で25種類の作物を育てており、すべて無農薬、減農薬で作られています。土づくりからこだわり、八王子にある磯沼ファームからコーヒーかすやカカオかすを混ぜた、牛糞たい肥を使っています。周辺住民にも配慮したにおいの少ない肥料を使っています。化学肥料は一切使わず木酢液をかけたり、牛乳を薄めてかけたり、一匹一匹退治したりしながら野菜を育てています。40代から70代の方が会員になっており、体験農園だけにとどまるのではなく援農ボランティアとしてもかかわってくれる方も多いそうです。なんといってもリタイア組の男性たちが多いことにびっくりしたとともに、リタイアされた男性の社会参加がこういったところだとスムーズになるのだということも気づくことができました。このように体験農園では様々ないい循環が生まれています。体験農園は現在昭島市に何箇所あるのでしょうか。体験農園を増やしていくことについて市ではどのようにお考えになりますでしょうか。

細目5就労の場としての農業の取り組みについて質問いたします。体験農園の視察ではリタイアされた男性たちが生き生きと活動されていました。ならば、保全すべきとされる農地で、野菜を市内レストランに納品をしたり、保育園の給食に納品する、また、加工して昭島市の新しい特産品をつくるなどの試みをしていくなど考えてはいかがでしょうか。そこに就労が困難な若者や、障害のある方と連携をしながら、農地を保全し、農地を生かす試みをすべきと考えますが、市はどのように考えますでしょうか。

細目6農マップの取り組みについて質問いたします。消費生活展を見学していて、大変印象的だった事は、市民の方々は農マップに大変興味があるということです。消費生活展で置かれていた農マップを欲しいという市民の方々をみかけ、市にマップをもらいに行ったところ、現在は作られていない為に残りが少なくなっているというお話を聞きました。是非、農マップを復活させ、市民の方々へもっと周知を図っていただきたいと考えますが、市では農マップを作る考えはありますでしょうか。

次に細目7食農教育について質問します。昭島市の第5次総合基本計画には、食農教育の推進が表記されています。
食農教育は子どもたちはもちろんですが大人たちに向けた取り組みも必要と感じます。
小金井市の東小金井駅から歩いて7分の住宅街に、およそ300坪の農地があります。そこではミニトマト、キュウリ、オカワカメ、ニラ、サツマイモなどが育っています。今が旬のオカワカメとミニトマトを使い、畑からすぐの児童館で野菜料理コーディネーターの方が調理を行い、児童館に集まっている大人やこどもに振る舞われ、食育活動を行っています。
取れたての地場野菜をつかった食育を児童館という身近場所でわかりやすく体験することができます。
このような事例を参考に、昭島市では、食農教育という観点から、畑に集合し、野菜を収穫、それを自治会館などで調理をして食べるという大人も子ども学べる企画をしてみてはいかがでしょうか。
また、全地域の学校で食農教育を実践すべきと考えますが、市ではどのように考えますでしょうか。

【答弁者:市長】

農あるまちづくり構想は、大変重要なことだと思っております。人類雄姿以来、人類が生きていく上に食の確保の観点からは、農耕民族である我々日本人、狩猟民族である西洋人に大別されます。農耕民族である事は、色々な面での機能や効果あると思っております。昨今の農業を取り巻く環境は、農家の皆様は大変なご苦労をして生産活動をしている状況であります。私も子供の頃は、同様な経験がありますが、普通の方が農業に従事することには、並大抵のことではできないと、今さながら想い出しております。しかしながら、「農は国の基なり」との言葉を経済学者も言っていますが、農業が与える機能から様々な教訓を頂いております。これからも農業の大切さ、農業者の皆様のご苦労、また、感謝の気持ちを忘れてはならないことであります。

平成14年3月に都市農業振興計画を策定いたし、減農薬・減化学肥料栽培など環境に配慮した農業の取組や、営農集団による商店街や大型店での野菜市の開催、農業者や市民との協働による共同直売所の推進など「顔の見える農業」の実践を進めてまいりました。

計画策定後、食の安全や健康への関心が増す中で「食育」や「地産地消」への取組の必要性が高まり、農業振興計画をより効果的に推進するため、「都市農業の確立」「地産地消の推進」「農地の保全」を柱とした改訂を行ったところであります。

平成27年4月には、都市の農業の安定的な継続を図りつつ、多様な機能の適切かつ十分な発揮を通じて、良好な都市環境に資することを目的とした都市農業振興基本法が施行されたところであります。

今後は、国において的確な土地利用計画のための施策や税制上の措置などの基本的な検討が進められ、都市農業が安定的に継続できる環境整備が推進されることを期待するものであります。

しかしながら、人口減少・少子高齢化などを背景に、農業従事者の高齢化や後継者不足が深刻化しております。こうしたことから、相続等を契機とした生産緑地の売却や宅地への転用が進行しており、農地については、減少の一途をたどっている状況にあります。

また、消費者の視点から察しますれば、農産物購入については、ネット通販など多様な販売形態により、購入方法の選択肢が拡大する中、農産物に対する消費者の目は増々厳しくなっているものと考えております。昨今では、このような流通の多様化による都市農業の課題も深刻なものであると認識をいたしております。

これらの課題につきましては、まずは、国におきまして、総合的かつ計画的に施策が推進される必要があり、そのための都市農業振興基本計画の策定が重要であると考えるところであります。

市におきましては、産業振興計画の改定と併せまして、都市農業保全のために、農業者や関係機関の意見も伺い、東京都とも連携を図りながら、都市農業の存続と発展のために、効果的かつ実効性のある農業振興計画の改定に努めてまいりたいと存じます。

冒頭申し上げました様に、国や地方自治体としての農業振興策は非常に重要なこととして、色々な施策を講じております。

しかしながら、大事なことは、生産者と消費者との関係からすると、消費者の皆様が生産者のご苦労をよく理解して、有り難いとの気持ちをもっていただくことであります。

都市圏での都市農業の経営は並大抵のことではありません。そのようなハンデから、色々な施策、色々な農地の関係についても機能がありますが、農業者のご苦労に感謝しながら農業の大切さを市民または教育の観点からも大事に思っております。この様なことから、今回の質問は有り難く頂戴いたしたところであります。

【答弁者:市民部長】

ご質問の1点目農あるまちづくり構想についてご答弁申し上げます。はじめに農地面積の減少率と生産緑地の減少率についてでありますが、固定資産概要調書によりますと、ここ10年間で、農地面積は19.3%の減、生産緑地につきましては10.6%の減となっております。

つぎに農業公園についてでありますが、農業公園につきましては、自然とのふれあい、園芸、造園、農業への理解と環境・食育を目的としたレクレーションの場として全国に整備されており、都内においては足立区や三鷹市に設置されており、指定管理者にて運営されております。

市民の皆様が農業と緑について学び、体験や交流ができる場として有効な施設と考えますが、ある程度の面積や農場を中に有している場所の確保、施設の整備、運営主体の選択など、現在においては難しい状況でございますので、実際に設置をしております市を参考に調査、研究してまいります。

つぎに用水路についてでありますが、日野市の事例を参考に、用水守を市民から募り、良好な環境を維持すべきとのご指摘でございますが、本市においても、現在、市内の一部の用水路において、アダプト団体やボランティア団体による維持・保全活動が行われております。市では、こうした団体の活動に対し、ボランティア保険への加入や必要資材の提供などの支援を行なうとともに、日ごろの話合いや年次総会、懇談会等での意見交換など関係構築に努めております。今後は、こうした団体との更なる関係強化を図りながら、新たな団体の発掘も含め、引き続き、市民による良好な環境維持活動が拡がっていくよう努めて参ります。

つぎに体験農園を増やす取組みについてでありますが、現在、市内に5か所の体験農園を市では把握しております。体験農園では市民農園と違い、区割り整備された区画において、農家の主導、管理運営のもと、農作業を体験するもので、これは農業者が自ら行う農業経営であり、区画ごとに貸し出して自由に作付できる市民農園とは大きく異なります。体験農園では、入園者への農業啓発だけでなく、安定した農業経営が図れるなど都市農業にとって有効な経営と考えます。市としても農業者から開園に向けての相談があった場合は、法制度を含めて相談にのり支援していきたいと考えております。

つぎに就労の場としての農業の取組みについてでありますが、保全すべき農地で、新たな特産品をつくることは、農産物の付加価値を高め農業収入の確保につながることから農業を継続していくうえで有効と考えております。また、農業の担い手が不足している農家にとって、若者や障害者が農業で就労体験することは、どちらにとっても有効な手段であり、就労支援を地域で支えていくという考えから、地域活性化にもつながるものと認識をいたしております。農業での就労希望者や農業者、若者や福祉に関連する支援団体及び農業者団体と意見を交換する中で、本市としてどのような取組みが可能となるか、先進市の状況などを参考とさせていただきながら、研究してまいります。

つぎに農マップの取組みについてでありますが、農産物生産・直売マップを平成23年3月に作成し、市民の皆様へ市内の農産物の周知を図ってまいりましたが、年数の経過により現状との相違点も増えてきておりますので、他市のマップ等も参考に、新たに作成を検討してまいります。

つぎに食農教育についてでありますが、これは食べる、という人間にとって大事な行為そのものだけでなく、その背景にある動物や植物の「いのち」を感じていただき、子どもはもちろん大人にも、農業の果たす役割を伝え、食を支える農業への理解を深めてもらうことにあります。事例にありますような食農教育が本市におきましても可能であるか、農業者を含めました関係者と協議を行い検討してまいります。

また、各学校におきましては、食育の一環として栽培活動や農業体験を実施しております。例えば、生活科において、ミニトマトなどの野菜作りを行ったり、総合的な学習の時間において米作り体験を行ったりしております。活動に際しては、地域の農家の方などのご協力を得ながら学習を進めております。また、移動教室において野菜の収穫体験を行っている学校や中学校の職場体験において農家に行っている学校もございます。

今後も各学校の特色を生かしながら栽培活動や農業体験を実施し、食育を進めてまいります。