2016年12月議会 おおたけ貴恵 一般質問報告 ①昭島市のインクルーシブ教育を実現するための環境整備をしよう
おおたけ貴恵の12月議会の一般質問とその答弁を報告します。
【おおたけ質問】
ただいま議長の指名をいただきました。これより通告にしたがい、一般質問をします。
若手の職員の発想のもと、第5回昭島ブランド・フードグランプリに参加した店舗(19店舗)をめぐる、スタンプラリーが今週月曜日まで開催されたと伺いました。昭島市の若手職員の発想、それを応援する管理職の連携を身近で感じています。
さて市長の所信表明にあった「現場主義」という言葉は政治に携わる一人として、同じ思いであると実感しています。青少年フェスティバルという青少年が主役の祭典を職員時代に作り上げてきたという熱い思いが、未来をつくる子どもたちに ぜひ昭島市の首長としても活かして欲しいと私は期待しています。
今回私は、必要な現場には必要な仕組みをつくる、課題には早急に取り組むという視点から、子どもたちが未来に希望がもてるまちづくりを主眼において、大きく3問の質問をします。
大綱1.昭島市のインクルーシブ教育を実現するために環境整備をしよう についてお聞きします。
先日の11月27日に、障がい児の教育を充実発展させる会の学習会に参加しました。保護者、現場の先生、障がい児教育を専門的に研究されている大学の先生など会場は満席でした。テーマは「通級指導学級・特別支援教室を通して」という内容でした。そこでわかったことは、巡回指導が始まって、今までの通級指導学級だけでなく、多様な選択肢が増えたことは評価できることです。しかし課題もあることもわかりました。都教委の保護者向けリーフレットで書かれていたことと実際始まってみての実態では相違があったということです。これまでどおりの必要な指導時間を受けられるはずが、経過措置はあるものの児童数に対しての教員数は現在より減ります。当然「これまでどおり」の指導時間をうけられない状況がでてきています。通級指導学級で実施してきた児童の障害に応じた「自立活動」や「教科の補充指導」を在籍校で受けられるとしていました。しかし巡回先の特別支援教室は1教室しかない、またはほかの目的の部屋と共用であるという状況も起こっているそうです。指導上の必要により在籍校以外で指導を受ける方が効果的な場合であっても、他の基礎自治体では、教育委員会の判断によっては「巡回指導のみ」という場合もでてきているそうです。市区町村によって差があるということが起こっています。文部科学省が「合理的配慮の事例」として、障害の状態に応じた身体活動スペースや遊具・運動器具等の確保、障害の状態に応じた専門性を有する教員等の配置、と相違するのではないでしょうか。
これらのことはインクージョンの理念や合理的配慮の視点からも問題です。
また各小学校に配置される特別支援教室専門員の募集について 現在平成29年度の東京都の公立小学校の募集がされていました。応募資格には、次に示す いずれか満たすものとなっており、教員免許状を有するもの、見込みのもの、臨床発達心理士等の資格を有するもの、そして採用日現在、公立学校等で特別支援教育支援員及びそれに準じた職務の経験を、2年 以上有する方となっていました。いずれかということは、教員や臨床発達心理士の資格も持たない人材も配置される場合もありうるというわけです。
さて昭島市では、子ども、保護者、教育の現場を、見て、声を聞き、どのように捉え、どのように取り組みを進めていくのでしょうか。今月12月には都教委は特別支援教育推進計画の第二期の第一次実施計画案の骨子説明会をはじめます。中学校でも特別支援教室のモデル事業をしていますが、中間報告の公開は約束されていません。今後昭島市の中学校においても特別支援教室が導入されていくわけです。ぜひ都教委においては、モデル事業の中間報告の公開をしてほしいものです。現場でおこっている課題への改善を促すのは、身近な実態が手にとるようにわかる市教委の役割ではないでしょうか。
細目1.特別支援教室について、お聞きします。
①現在「通級指導学級体制」から、「特別支援教室」に順次移行し、 教員が在籍校へ巡回し、指導を行う方法を平成30年度までに全小学校で開始するために順次始めています。昨年10月からモデル校として拝島第三小学校を拠点校に拝島第1小学校でスタートしました。そして今年10月からも 計画より前倒しで進められています。進めていくからには、検証をすることは重要です。
そこでお聞きします。「特別支援教室」検証結果から見える、「特別支援教室」を進めていく上での昭島市の課題をどのように捉えていますか。
②今後平成30年4月までの全小学校実施において、昭島市においての「特別支援教室」について、拠点校、グループ校の分け方等、体制や環境整備等、どのように進めていくのでしょうか。またその根拠となる考え方をお聞かせ下さい。
「通級指導学級体制」で子どもたちへ指導してきたノウハウ等、少人数でのソーシャルスキル等を学ぶ体制はどのように確保していくのでしょうか。お聞かせください。
細目2.今後インクルーシブ教育システムの理念を実現するための体制等、環境整備について、お聞きします。
当然教員のより高い専門性が求められるということは周知のことです。教員のスキルは必須です。以前議会でも紹介した日野市では、現場の教員が積み上げてきたひのスタンダードである「特別支援教育のスタンダード」という書籍を作りました。例えば先ほどの細目1においても、在籍校での担任のスキルをどのように向上、維持していくのでしょうか。
そこでお聞きします。
①昭島市において教員の特別支援教育に関する専門性の向上をどのように取り組んでいきますか。昭島市の現場において、ユニバーサルデザインの授業のあり方の指導方法や指導技術の向上を、どのようにしていきますか。
②以前から議会でも提案してきています。教員免許も持ち、現場指導に熟知した臨床発達心理士等の専門家と連携し、昭島市全体の教員のスキルを充実するために昭島市の特別支援教育のスーパーバイザーのような人材を導入してはいかがでしょうか。そしてスーパーバイザーによる教員への悉皆研修に取り組む必要があると思います。お考えをお聞かせ下さい。
昭島市の特別支援教育推進計画の理念であるインクルーシブ教育システムを実現するためには、トータルな支援体制、切れ目のない支援体制が鍵です。「子ども家庭支援センター」が「(仮称)教育福祉総合センター」へ市役所本庁から移設することは、現在市教委等本庁にある担当所管との庁内連携がスムーズであることから考えると完全に移設することに対して、連携の在りかたを危惧しています。 本庁と 引き続き 連携が取りやすい体制も必要ではないかと思います。切れ目なく支援体制をどのように構築するか、丁寧にコーディネートするのは昭島市の役割ではないでしょうか。とくに今回児童発達支援センターが民設民営で事業運営されること 事業者が具体的に決定しました。今後の体制において、切れ目のない支援体制を構築せねばならないことをここで指摘します。
③さて今回の質問では、切れ目のない支援体制、連携の一つである
(仮)発達・教育総合相談窓口と児童発達支援センターとの連携について、どのよう今後計画されていきますか。お聞かせ下さい。
④個別の教育支援計画を活用した連携について、現在の課題を含め どのように解決していきますか。どのような体制で環境整備をしていきますか。
⑤保育園等で臨床発達心理士を導入していますが、学校教育との連携はどのようにしていきますか。
【答弁者:学校教育部長】
ご質問の1点目「昭島市のインクルーシブ教育を実現するための環境整備をしよう」について、ご答弁申し上げます。
はじめに「特別支援教室について」のうち、特別支援教室モデル校の検証結果についてでございますが、拝島第一小学校を特別支援教室のモデル校として、平成27年10月にプレ開設し、本年4月より本格実施をしております。
昨年度の保護者への説明会では、特別支援教室に移行することにより、これまでと同様の通級指導学級での指導が受けられないのではないか、また、今までの環境と変わることに不安があるなどの意見をいただきました。
昨年10月からのプレ実施の時には、約半数の児童はそのまま拝島第三小学校の通級指導学級での指導を希望しましたが、プレ実施の中で、これまでの通級指導学級と同様の指導が受けられることや、環境の変化についても影響が小さかったことなどから、今年度からの本格実施では、拝島第三小学校で通級指導学級の指導を受けていた児童全員が拝島第一小学校の特別支援教室での指導を受けております。
課題としては、教員が巡回校を訪問する形態となったため、授業で使用する教材を複数用意したり、学校間で教材を移動させたりすることが生じていること、また、巡回する学校で指導する曜日が限られてしまうため、週1度しかない教科の時間などと特別支援教室の授業が重ならないよう通常の学級の時間割との調整が必要になりました。
移動に伴う課題を解決するために、東京都教育委員会から配置される特別支援教室専門員を有効に活用すること、時間割の調整は、年度はじめの時間割編成の段階で、指導する曜日の教科を配慮して対応していくことが必要です。
次に、今後の本市の特別支援教室の進め方でございますが、今年度の10月から富士見丘小学校、武蔵野小学校、中神小学校に特別支援教室をプレ開設し、来年4月より本格実施いたします。
そして、平成29年10月に残りの小学校に特別支援教室のプレ実施を行い、平成30年度から小学校全校で特別支援教室での指導を本格実施する予定です。
本市では、東小学校、つつじが丘小学校、光華小学校、拝島第三小学校の4校を拠点校として、2校から4校の指導を担当します。拠点校と巡回校のグループ編成にあたっては、各小学校の学校間の距離、対象児童数、学区域、そして、1拠点校当たりの教員数などを考慮し決定したところです。
次に、少人数によるソーシャルスキルを学ぶ体制の確保についてでございますが、現在、4校での実施状況によりますと2人から6人の小集団での自立活動を実施しています。今後も児童の特性に応じたグループ編成を行い、小集団指導を実施してまいります。
次に2点目の「今後の体制等、環境整備について」のうち、教員の特別支援教育に関する専門性の向上についてでございますが、教育におけるユニバーサルデザインに基づいた指導は、すべての子どもたちにとって学びやすく参加しやすい学習環境をつくる上でとても有効な手だてであります。各校では、刺激量を少なくするために教室の前方の黒板横の掲示板をカーテンで隠すなど教室環境の整備に取り組んでおります。今年度は、管理職、特別支援学級主任、特別支援教育コーディネーターを対象とした研修会において通常の学級における特別支援教育の推進をテーマとした研修会を実施し、理解啓発を図りました。さらに、教育委員会の研究指定校として拝島第一小学校では、ユニバーサルデザインの指導法をテーマに研究を進めており、その成果をリーフレットにまとめ市内教員に普及啓発していく予定です。特別支援教室を担当する教員については、教育委員会主催の研修会を開催し、教室の運営方法や指導法についての研修を継続して実施してまいります。また、特別支援教室の導入は、東京都全体の事業ですので、東京都公立学校情緒障害教育研究会の研修会において、他地区の取組を学びながら専門性の向上を図ってまいります。
次に、今後の特別支援教育の推進のためのスーパーバイザーの導入についてでございますが、特別支援教室には、東京都教育委員会から臨床発達心理士が1校当たり年10回派遣されます。その専門性の高い臨床発達心理士が児童の指導上の配慮事項等を巡回指導教員や学級担任に助言を行いますので、この制度を活用して教員の専門性を高めてまいります。
また、特別支援教育のスキルを向上させるために、来年度は教員への悉皆研修を予定しております。今後も特別支援教育の専門性の高い講師を招聘しての研修会等の開催を検討してまいります。
【答弁者:子ども家庭部長】
大綱1「昭島市のインクルーシブ教育を実現するための環境整備をしよう」のうち
細目2「今後の体制等、環境整備について」ご答弁申し上げます。
「(仮称)発達・教育 総合 相談 窓口と児童 発達支援センターとの連携について」でありますが、(仮称)発達・教育 総合 相談窓口は、旧つつじが丘南小学校校舎の1階部分に設置を予定しております。
この相談窓口は、福祉と教育の相談窓口を一本化することにより、適切な相談及び支援に繋ぐことを目指し、市の直営で運営いたします。
両施設の連携につきましては、総合相談窓口から児童発達支援センターへの紹介があった場合や、センター利用者が就学する際、あるいは義務教育を卒業する際など、ライフステージによる切れ目が生じないよう、連携した支援が不可欠であると考えております。
その支援をどのような形で行うのか、また、支援シート等のあり方については、現在、庁内連絡会において課題を整理しているところでございます。
今後につきましては、官民が一体となり、切れ目のない支援に向けた仕組みづくりを 検討してまいります。
次に、現在、保育園等で実施しております巡回相談についてでございます。
本事業は、各施設の保育士等から、児童の身体的、精神的な発達についての相談を受け、臨床心理士等の専門的な知識を持つ相談員が、現場を巡回して、発達的な課題で支援が必要であると思われる児童に、適切な対応が行えるよう 助言や支援する事業でございます。
ご質問の学校教育との連携についてでありますが、保育園等からの相談の中で、就学に向け、就学相談窓口へ繋がるよう保護者への働きかけについて助言しているところであり、また、児童の所属する施設の情報取扱いについて学校教育と連携を図っているところであります。
しかしながら、連携するに当たり、個人情報の取り扱いにつきましては、慎重な対応が必要であると考えております。
また、個別の教育支援計画を活用した小学校と中学校の連携でありますが、保護者の了解を得たうえで、小学校卒業時に中学校への確実な引き継ぎを行っております。
今後は、児童発達支援センターの支援を受けている児童につきまして、同センターも交えて、小学校・中学校への円滑な引き継ぎの手法について検討をしてまいります。