2017年3月議会 おおたけ貴恵 一般質問報告 ①地域に開かれた「知の拠点」としての市民のための図書館運営をしよう

おおたけ貴恵の3月議会の一般質問とその答弁を報告します。

【おおたけ質問】

ただいま議長の指名をいただきました。これより通告にしたがい、一般質問をします。

不動産・住宅情報サイトを運営する民間企業による本当に住んで幸せな街全国ランキングをご存知でしょうか?都市の本当の魅力を測る新しい物差し、センシュアス度でまちを測る興味深い結果でした。インバウンドという点でみても、住んでいる人が毎日楽しく暮らしている都市こそ、より多くの観光客をひきつけるそうです。センシュアス度と居住満足度・幸福実感度が比例し、センシュアス度が低いと人口流出を招きやすいという分析をしています。   1位が東京都文京区、2位大阪市北区、3位東京都武蔵野市、そして24位の京都市より上位の22位に昭島市は位置しています。因みに21位は八王子市です。これが一昨年の結果です。昨年最新の順位がでました。昭島市は23位と順位を一つ落としてしまいました。それは一昨年まで昭島市より下位にいた青梅市が昭島市より順位を上げてきたのです。その原因はなんでしょうか。青梅市のまちづくりの姿勢がその結果を生み出したのは明らかでした。 「住んでみたい 住み続けたい 昭島」のまちづくりをまい進していく市長、市職員にも機会あれば、ぜひ関心をもっていただきたいと思います。

さて今回の私の質問は、第5次総合基本計画を着実に進めるためのまちづくりの視点のうち、「市民主体による協働のまちづくり」と「地球環境に配慮したまちづくり」と「あきしまらしさを育むまちづくり」を主眼に置き、大きく3問の質問をします。

大綱1地域に開かれた「知の拠点」としての市民のための図書館運営をしよう、についてお聞きします。

細目1.昭島市が描く昭島市民図書館へのビジョンを問います。

鳥取県知事として先進的な図書館施策を行った片山善博・慶応義塾大教授は鳥取県で図書館改革を行った時、万人(ばんにん)の知的自立をサポートする場所として図書館を位置付けました。片山さんは、人生の重大な悩みなどを解決する糸口を与えてくれるのも図書館だからと言います。

また市民が自らの権利を守り、他者の権利を尊重し、地域社会や国を支える主体的存在になるのをサポートする拠点の一つが図書館と考えていると明言されています。そして多くの自治体で図書館の予算は減らされ、指定管理の導入がされていることに対して、片山さんは指定管理の真の目的は行政の質的サービスの向上だったこと。民間の力を活用して体育、文化施設などを柔軟に運営する狙いだった。ところが、経費の切り詰めに利用し始め、国から職員定数削減を求められると図書館などを指定管理にした。指定管理の図書館スタッフはたいてい給料も安く、ワーキングプア状態です。書籍代を切り詰めるため、東京の専門業者から買うことにしたせいで地元の書店もつぶれたと指摘しています。さらに図書館を多様な行政を展開するよりどころとすればよいときっぱりおっしゃっています。 以前もご紹介しました、児童文化学の先生から、昭島市の図書館が開設された1973年当時の図書館行政の評価が高い取り組みの話は鮮明に記憶しています。多摩地域の中で、専門職館長のもと、いち早く「市民」図書館という名前をつけ、外から図書館だとわかるようなガラス張りの外観や、1963年の日本図書館協会による「中小都市における公共図書館の運営」(「中小レポート」)に基づき、その中で表明された資料提供という概念をいち早く昭島市の公共図書館サービスとして実践されたことを評価していました。50年以上前に中小レポートで指摘されている市民生活に対する情報の重要性は、インターネットが急速に発達した今日ではさらに増しているのではないでしょうか。 昭島市の市民図書館は、市民のための図書館というということで、1973年当時、多摩地域でも注目された名前は継承すべきと考えます。以前社会教育複合施設の建設計画の中では中央図書館と明記されていました。現名称の仮称教育福祉総合センターには、図書館と明記されています。 また昭島市民図書館基本方針・基本計画の答申にあるの基本理念には「学び、習い、楽しみ、育む知の拠点~本と情報を仲立ちとして人が集い、つながり 新たな価値を創造する場を目指して~」と明記しています。  基本理念には昭島市の図書館への思いが込められています。昭島市は、どういう図書館にしたいのか、郷土資料、歴史資料の収集、行政資料をどうするのか、公文書の保管も重要になってきます。どこが担うのでしょうか。今後厳しい財政状況の中、「市民主体による協働のまちづくり」を実践するためには、図書館が市民の学びの拠点となり、知的な交流の中から新しい知恵を生み出すという新たな価値を創造する場となることでしょう。

公共が運営する図書館は、単なる無料の貸本屋ではありません。昭島市が描く今後 建設される市民のための図書館について、名称も含め、ビジョンをお聞かせください。

細目2.「知の拠点」としての図書館活動について、お聞きします。 図書館の運営については、「直営」と「指定管理者制度」等検討してきているようですが、図書館は直営が望ましいと私は考えます。市の考えをお聞かせ下さい。

昨年の大島議員への質問において、図書館への指定管理者制度導入の数の少なさを受けて、指定管理者制度が持っている課題を十分に認識しており、これからも十分に協議はしていかなければいけないと生涯学習部長が答弁をされていました。その後、庁内検討委員会、図書館協議会での議論の経過、そして現在市はどのように考えているか、お聞かせください。

私は、2月28日のみらいネットワーク会派代表青山議員への(仮称)教育福祉総合センターの運営方法の質問に対し、市長は「サービスの向上と効率性の双方を重視し、メリット・デメリットについて比較検討し、指定管理者制度の導入が適当であると結論に達した」と答弁されました。突然の方向性に非常に驚いています。

細目3.東部地区への図書館機能の設置に向けての考え方を教えて下さい。

【答弁者:生涯学習部長】

ご質問の1点目、地域に開かれた「知の拠点」としての市民のための図書館運営をしよう、のうち1点目、昭島市が描く昭島市民図書館のビジョンについてご答弁申し上げます。

昭島市民図書館は、昭和48年の開館以来、「市民」の図書館として親しまれてまいりました。これからも市民の課題解決に資する施設として、親しまれ、役立てていただけるよう「学び、習い、楽しみ、育む知の拠点」を基本理念とした「昭島市民図書館基本方針・基本計画」の策定を進めております。

その中でも基本目標として定めた「地域とつながる図書館」では、これまでと同様、行政資料や歴史的資料などの貴重な地域資料の収集・保存を継続し、加えて郷土資料室を併設するメリットを最大限に生かし、連携して、地域への関心を高め地域の良さを知るための情報発信をすることにより、図書館を拠点として地域の人と人とが集い学びあうことによる、新たな価値の創造の場を目指してまいります。

次に、2点目の「知の拠点」としての図書館活動についてでございますが、これまで庁内検討委員会において、様々な運営方法について、ワークライフバランスも考えた図書館活動の質の向上と効率性の双方に力点を置き、他市の事例も調査研究する中で、検討を進めてまいりました。

検討の中では、コストを抑えた持続可能な運営を目指すためには、専門的知識を有する職員の確保と適正な配置が課題であり、図書館業務に精通した民間事業者であれば、安定した人材の確保とサービスの提供が期待できることなどがメリットとして挙げられました。一方、指定管理者の契約期間が切れた際の事業の継続性や、来館者が増加した場合のサービス低下の懸念にどう対応するかという課題も提示されました。課題に対しては、解決策についても検討した結果、指定管理者制度の導入が適当であるとの結論に至っております。

この庁内検討委員会での検討結果を踏まえ、昭島市民図書館協議会でご議論をいただきましたところ、指定管理業務の中間評価の重要性や、市民図書館協議会の存続、事業者の選定方法等についてのご質問をいただく中で、指定管理者制度の導入について一定のご理解をいただいたところでございます。

また、昭島市行財政改革推進会議では、市民ニーズに合ったコンセプトによる、利用効率の高い図書館を求めるご意見とともに、コスト面だけでなく、サービスの質の確保も踏まえ、指定管理者制度の導入を推薦するとのご意見をいただいております。

これらの検討結果を受けまして、市といたしましては、指定管理者制度導入の方向で、調整に入ったところでございます。

次に、東部地区への図書館機能の設置に向けての考え方についてですが、現市民図書館の廃止に伴う、東部地区への新たな図書館の必要性は十分に認識しております。今後も、これまでいただきました様々なご意見も踏まえ検討してまいります。