2017年9月議会 おおたけ貴恵 一般質問報告 ②市民自治と協働で、社会課題の解決と経済の活性化を目指すオープンデータやオープンイノベーションの取り組みを進めよう

【おおたけ質問】

大綱2.市民自治と協働で、社会課題の解決と経済の活性化を目指すオープンデータやオープンイノベーションの取組を進めよう についてお聞きします。

昨年2月に策定されたまちひとしごと創生昭島市総合戦略は今後喫緊に取り組まねばならない市の計画だと注目しています。 特に今回の質問は、昭島市総合戦略本文に書かれている「基本目標4.時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、 地域と地域を連携する」「本市は都心部では失われつつある地縁のコミュニティも息づいており、こうした地域特性を活かした地域コミュニティを基本とする、安全で安心して生活できるまちづくりを進めることが重要な視点である」「時代の変化に対応したまちづくりを進める中にあっても、市民参画、市民との協働を基本に、本市の地域特性を十分に活かし、具体的な施策に着実に取り組み、まちづくりのあらゆる面で、質の充実に視点を置き、快適さや心地よさを引き継いでいける、魅力あるまちづくりを進め、昭島市を「訪れてみたい」、「住んでみたい」、「住み続けたい」と望む人を増やす」という点について、より具体的に進める提案をします。

また平成24年3月に策定された市民連携推進のための指針について、私は度々とりあげてきました。昨年度の第2回定例会では、今後も施策の展開をはかっていくという市の答弁に期待しています。
今、各基礎自治体は、持続可能な自治体経営のために、市民との協働による新たな自治の仕組みに取り組み始めています。 二つの自治体の事例を紹介します。

まず初めに愛知県にある新城市の地域自治区制度の紹介をします。合併して市域が広域化されたという理由もありますが、地域で課題解決する力、地域のつながりの脆弱化や市民ニーズの多様化などを解決するために、今までの地縁コミュニティを活かし、地域自治区制度を導入しました。市は、市長権限に属する事務を分掌し、これまで解決できなかったきめ細やかな地域課題の解決や地域の特色を活かした地域の取り組みを支援しました、一般財源である市税の1%の財源保障もし、中学校区ごとの10か所の地域自治区で地域の課題を解決する事業計画を地域住民自らが優先順位をつけ、実施します。施策を具体的に実現するためは市職員も一緒になって支援します。新城市のこの10月に4期目を目指す穂積市長が自治基本条例を策定し、地域自治区制度を条例制定し、導入しました。他にも若者議会、女性議会と、施策を進めていくための根本である市民を信頼し、一緒に市民自治をとともに進めています。予算が付けられていることで、地域自治区の市民や若者はより真剣になって地域課題についての解決する事業と向き合います。市政への関心度も高まります。導入当初は、地域住民から理解が得られませんでしたが、住民の意見を聞き、修正しながら仕組みを作りました。そして導入時は、市民へ200回以上の説明をしました。行政の職員も自分たちの役割十分理解しているからこそ丁寧に向き合ってきました。 現在地域自治区制度が根付き、若い世代への引継ぎもおこなう自治区もでてきていると担当職員から直接話を伺うことができました。

また地域自治区制度導入前に、職員有志により作られた新城市独自の制度「地域活動支援制度」があります。故郷を愛し、地域住民活動を支援する制度で、職員自らの意志で、全3回の育成カリキュラムを受講し、資格認定試験に合格し、登録した職員が現在131名もいます。因みに新城市の職員数は650名ほどです。

次に神奈川県横浜市の取り組みも注目すべき先進事例です。 少子高齢化の加速や生産人口の減少といった社会動向において、地域社会の課題を協働的、かつ、創造的に解決していく手段として、「リビングラボ(住民と共創する活動)」に注目が集まっています。担当職員が地域とつながる場所に自ら出向き、あの横浜市でさえ、限りある財政に今後を見据えたとき、市民が提案する新規事業になかなか取り組めない状況、既存事業でさえ今の維持ができなくなるであろうことを国の統計から分析していました。

担当の係長は、「補助金を付けなければ継続できない事業は、いつまでたっても自立できない。市民事業が継続するために行政が何をしなければならないかを考えたときに、横浜型リビングラボが考えだれたそうです。

一例ですが、子育て支援をするNPO法人「こまちぷらす」とヤマト運輸株式会社 神奈川主管支店が協働して取り組む「ウェルカムベビープロジェクト」があります。NPO法人こまちぷらす代表の森祐美子さんと、ヤマト運輸 神奈川主管支店営業企画課の石原克己さんは、「横浜市子ども・子育て支援事業計画素案に関するパブリックコメント」に寄せられた2,400件の声をもとに「子どもの出産を地域が歓迎し、地域ぐるみで子育てを支え合うことによって、母親が子育てに抱く孤立感を解消できないだろうか」と何度も話し合いました。「親や子どもが地域とつながる」「安全性に配慮されている」「感動がある」を基準に子育てグッズを試す“選考会”を開催し、ただの贈答品選考会ではなくワークショップも実施。企業、商店会、子育て当事者、NPO、大学、行政など多様な人たちが垣根を超えて対話し「ママたちが本当に欲しい! と思える商品・サービス」のアイデアを考えました。 民間主導で、官が支援、地域の多様なステークホルダーが1つの場を共有してアイデアを共有したり、実証実験などを通じて、課題解決につながるプロダクトやサービスやシステムを生み出す」リビングラボ的な手法です。
NPO法人と民間企業、社会福祉法人と民間企業、それぞれの取り組みには、横浜の“民主導・官支援”という理念が後ろに大きく備わっています。行政にできること、地域にできること、民間企業にできること。それぞれをリビングラボに持ち寄ることで、社会課題の新たな解決策も見えてくるのではないでしょうか。市民提案事業に、市民に募るクラウドファンディングも導入されており、この先どのようなオープンイノベーションを成し遂げるのか、注目されています。
また三鷹市は、都立井の頭恩賜公園内に建設する「太宰治記念文学館」「吉村昭書斎」(ともに仮称)の工事費の一部をクラウドファンディングで賄います。2億5000万円~3億円を見込む工事費の約1割に当たる2500万円が目標。全国の太宰、吉村ファンに呼び掛け、2019年度中の同時開館を目指すそうで、 ふるさと納税の総合サイト「ふるさとチョイス」を活用するほか、市のホームページにある特設サイトでも寄付を呼び掛けると報道されていました。

縷々事例を述べましたが、昭島市は今後市民との協働をどのように進めていくのでしょうか。

このパネルをご覧ください。

このパネルは、平成27年度国勢調査と人口問題研究所のデータを示しました。この線が2000年度、この線が2015年度、この線が2030年度の昭島市の人口動態です。縦のラインが人口、横が年齢です。

ここをご覧下さい。生産年齢人口15歳以上65歳未満の数値です。

この点線をみて、一目瞭然で御分かりになると思いますが、2000年と比して2030年はこの赤の点線箇所が減り、紫の点線箇所は増えるといえども、明らかに昭島市の人口動態の動きがわかるかと思います。

平成27年度国勢調査や人口問題研究所の統計調査から生産年齢人口が2030年度には2000年度と比較しても10000人減少します。昭島市においても市長はじめ、管理職の皆さんは、厳しい財政状況を様々な場面で発言されています。今後の人口動態の統計から、今後の市の経営は、市民の要望も多岐にわたり、その需要を全て満たすには困難性があります。市民との協働なくしては安定した経営をできない状況にないのではないでしょうか。昭島市もオープンデータやオープンソリューションの有効活用をしていることと思います。

そこでお聞きします。

基本的な考え方を教えてください。

(1)地域自治区制度(事例:新城市)導入で市民自治が活性化している自治体があります。昭島市のその仕組みを一歩進め、新城市の事例のように、地域ごとの地域課題を解決できるよう予算配分をし、市民とともに創ってはどうでしょうか。

そのためにもまずは職員の育成も重要です。新城市の事例で紹介しました。「地域活動支援員制度」を創設してはどうでしょうか。

一方昭島市では、現在自治会のブロックを中心に市長自らが赴き、参加するエリア別ミーティングを開催しています。そこで意見がでた地域課題を担当部署に持ち帰り、できることは予算化し、取り組んでいるかと思います。

(2)コミュニティ経済をベースに地域課題を解決する取り組みについて、お聞きします。(事例:横浜型リビングラボ)

オープンソリューションとして、市民の提案事業を補助金頼みで運営するのではなく、クラウドファンディングで地域課題を解決するための事業を応援する「昭島型リビングラボ」への取り組んではどうでしょうか。

【答弁者:企画部長】

ご質問の2点目、市民自治と協働で、社会課題の解決と経済の活性化を目指すオープンデータやオープンイノベーションの取組を進めようにつきまして、ご答弁申し上げます。

ご質問にもございましたとおり、本市の総合戦略は、国の情報支援としての、いわゆるビッグデータを活用し、人口の変化が地域の将来に与える影響の分析・考察を行い、「人口減少・超高齢社会」がもたらす様々な問題を克服するための施策展開をまとめ、策定したものであります。

総合戦略における将来見通しにおいても、人口減少、特に生産年齢人口の減少に伴い、地域経済活動の縮小や市税収入の減少など、近い将来、更に厳しい財政環境に置かれることが課題の一つとなっております。

中長期的には、これまで通りの市政運営を行い、行政需要を全て満たしていくことには限界があると言わざるを得ません。

今後は、こうした情報の共有を更に推進し、市民の皆様とともに、財政論を含めた真の「市民との協働」を進めて行く必要があり、そのためには「自助、共助、公助」それぞれの役割について、一層の合意形成を図りながら、住民自治を推進していくことが基本であるものと考えております。

【答弁者:市民部長】

ご質問の2点目、市民自治と協働で、社会課題の解決と経済の活性化を目指すオープンデーターやオープンイノベションの取組を進めようのうち、2点目の予算を配分する地域ごとの自治を重んじる地域自治の運営の仕組みを市民とともに創ってはどうかについてご答弁申し上げます。

本市におきましては、自治会連合会主催による、それぞれの中学校区に該当する自治会ブロックを単位とした、地域と行政との意見交換会でありますエリア別ミーティングが年3地区で開催されております。

しかしながら、時間も限られていることから、意見交換できない質問については、各担当課より文書回答もおこないながら、幅広い地域の問題解決にあたっている状況にあります。回答した内容を踏まえて、各担当課が自治会と協働しながら適切に対応するとともに、次年度以降の予算化も検討することによりまして、地域との問題解決が図られているとの認識でありますので、ご質問の内容は難しいものと考えております。

しかしながら、地域での問題解決を自らおこなうことにつきましては、地域にとっても有効なことと考えておりますので、他市と本市の地域特性や地域自治の相違点を調査・研究してまいります。

次に、地域活動支援員制度を創設してはどうかについてであります。

ご質問にありましたとおり、地域活動支援員制度は、職員が愛郷心を持って地域住民の活動を支援することに資格要件まで備え、さらには、職員有志によりつくられた新たな職員制度として先進的なものであると認識しております。

本市におきましては、自治会や地域活動に職員自らが積極的に参加することを周知しておりますが、これを制度化までの検討はしておりません。

しかしながら、地域においては自治会加入率の減少が続く中で、若年層の地域活動への積極的な参加を期待していることから、職員に地域活動の重要性について理解を周知し、職員が愛郷心を持って地域住民の活動を支援することの気持ちを育む取組を検討してまいります。

次に、コミュニティ経済をベースに地域課題を解決する取組みのオープンソリューションとして、市民の提案事業を補助金頼みで運営するのではなく、クラウドファンディグで地域課題を解決するための事業を応援する「昭島型リビングラボ」への取組みについてであります。

近い将来これまで以上に厳しい財政環境におかれることが課題の一つとなっていることからも、補助金に頼らないで地域課題を解決する事業へ本市のサポートが可能となれば、多角的な地域課題の解決策となるものと推測されます。

本市におきましては、産業振興計画の基本理念では、産業における世代交代、イノベーションによって、昭島らしさを残しながら、新しいものを創造する好循環を生み出し、持続可能なまちづくりに寄与する産業振興を目指すことを定めております。基本理念の具体的な取組みとして、今年度「あきしまが好き。集まれ、昭島力」としたワークショップを開催し、様々な業種の立場の方に参加いただき、アイデアを話したり、聴いたりして、コラボレーションのきっかけづくりに取組んでいます。今後は、こうした取組を重ねながら、ご質問のような地域課題を解決する事業の提案をいただいた際には、サポートの検討をしてまいります。