2018年3月議会 おおたけ貴恵 一般質問報告 ①子ども達の健やかな成長を支える給食・食育事業を進めよう

おおたけ貴恵の3月議会の一般質問とその答弁を報告します。

【おおたけ質問】

ただいま議長の指名を受けました。通告に従い、一般質問を行わせていただきます。

平成30年度は、第5次総合基本計画を着実に進め、次への第6次総合基本計画に繋いでいくための大事な残す3か年のスタートです。そこには毎回この場で述べていますが、「市民との情報の共有と協働」は欠かすことはできません。明快な答弁をよろしくお願いします。

大綱1.子どもたちの健やかな成長を支える給食・食育事業を進めよう、についてお聞きします。

昭島市学校給食課が「食育」アンケートとして、平成26年度に調査をしました。

毎日朝ごはんを食べるという小中学生が、平成19年度の調査よりは増えたといえ、小学生も中学生も1割もの子どもたちが朝ごはんを食べていないということに驚きました。また一人で食べるという孤食の割合が増えていることも今の子どもたちの環境が貧困であること、言い換えれば保護者の働く環境や生活環境も時代とともに変わってきていることを痛感しました。改めて義務教育での食育の大切さを実感しました。朝ごはんを食べない子どもが数パーセントいることもアンケート結果から如実にわかります。アンケート結果だけでは因果関係はわかりませんが、寝る時間が遅い児童生徒、朝ごはんを食べない日は眠いと答える児童生徒の割合の多さにも目を見張りました。

小学校の教員をする妻を持つある方から以前話を伺ったことがあります。毎朝おにぎりを拵え、クラスのある子どもに電話をし、起こし、他の児童が登校する前に早めに学校へ行き、その子どもへおにぎりを食べさせるのだそうです。学校現場に携わる教員らは、子どもたちが抱えている子どもの貧困の問題の実態をよくみているのではないでしょうか。

私は学校給食に携わる昭島市の栄養士さんの話を思い出しました。子どもたちがファーストフードで食べたとしても、サラダを一品頼めるように伝えていきたいと話していました。

みらいネットワークの会派代表質問に対し、「食育は、学校及び家庭が有機的に連携し、とりくむ必要がある」と答弁いただきましたが、もちろん有機的連携は大事ですが、子ども自身がエンパワーメントする力も食育事業の視点には必要ではないでしょうか。

そこでお聞きします。

細目(1)生きた教材として、学校給食に地場産食材を積極的に取り入れよう、についてお聞きします。みらいネットワーク会派の代表質問に対し、地場野菜を学校給食として取り組む意義について、「教育的効果が期待でき、地産地消の有効な手段である」と答弁していました。生きた教材として、具体的にどのような施策を展開するのでしょうか。

まず現状の昭島の地場産の野菜の導入状況とともに課題も教えて下さい。

また今後市は地場産の食材への取り組みをどのように考えているのでしょうか。教えてください。

細目(2) 不要な食品添加物、遺伝仕組み換え食品を使わないという視点での物資購入基準書の見直しをしてはどうでしょうか。お考えをお聞かせください。

細目(3)情報発信、市民参加について、お聞きします。

調理場で使用する物資の選定のための食品の選定委員会にPTA等の保護者らの市民参加での開催をしてはどうでしょうか。お考えをお聞かせください。

250万品を超えるユーザー登録レシピを核とした日本最大級の料理レシピサービスサイトで、月間利用者数はのべ6,000万人以上といわれる「クックパッド」をご存知ですか?公的機関である 官公庁・自治体などが更新する公式キッチンが107団体参加しています。自治体で初めて公式キッチンを開設した三重県をはじめ、各自治体のウエブサイトで、自治体が取り組む食の事業を市民へわかりやすく発信しています。宇都宮市の学校給食は、栄養バランスに配慮し、地元の食材を使い、行事食や郷土料理も取り入れるなど、全市立小中学校に配置された栄養士が、各学校で特色ある献立の作成をこのツールを使い、情報発信をしています。春日部市の学校給食は、子どもたちに食の興味を持たせ、給食が「生きた教材」となるような献立を作成し、学校給食の特色や給食関連リンク「みんな大好き!おいしい給食」には、春日部市栄養士研究会の活動や食の情報ページを掲載しています。多摩地域でも「稲城市」「町田市」「武蔵村山市」「国分寺市」「東村山市」「武蔵野市」が学校給食で取り組む献立等食育事業を市民へ発信しています。例えば稲城市は、おかずのだしは自然の味を大切にするため、和風のおかずは「削り節」や「昆布」からとること、洋風・中華風のおかずは「鶏ガラ」や「豚骨」からとること。栄養価を大切にし、季節感を味わえるよう旬の食材を使用して多様な献立を取り入れていることを作り方とともに発信していました。

さて昭島市の学校給食においても、栄養士さんらがとても熱心に献立づくりに取り組んでいます。私の子どもも義務教育をうけていた時、野菜をたっぷりとれる「のりあえ」は大好きでした。子どもから学校給食で出たのりあえをリクエストされ、栄養士さんから作り方を聞き、夕食で再現した覚えがあります。学校給食は、子どもたちから保護者へ伝わる影響力があり、まさに食育事業です。現在レッツ食育や学校給食の献立メニューをウェブ上で公開していることも評価できます。さらに食育事業の情報発信に多様なツールを使ってはどうでしょうか。

細目(2)ランチルームを活用した食育事業について、お聞きします。

昭島市では、学校給食を、みんなで食べることで楽しさを実感し、食事を 楽しい時間とするため、学校と連携し、ランチルームを積極的に活用することを謳っています。

先日のみらいネットワーク会派の代表質問で明らかになったランチルームの稼働率が5%という低さに驚きました。ランチルームがある小学校は、平成20年度には年間平均21.3日利用されていました。しかし平成29年度は8.7日です。とくに中神小学校では平成29年度は1日しか使われていませんでした。それも試食会で使用したと事前のヒアリングで伺っています。何のために学校に整備してきたのでしょうか。代表質問では移動の時間も利用の低さの理由に答弁されていましたが、平成20年度と平成29年で移動の時間が変わるのでしょうか。

さてランチルームの活用について、どのように今後進めていきますか。

細目(3)今後整備する昭島市学校給食共同調理場について、お聞きします。

昨年6月に大量調理施設衛生管理マニュアルが改定されています。果物提供やミニトマト等非加熱提供するものについて対応が変わっていますか。教えて下さい。 また新共同調理場ではHACCP(ハサップ)や大量調理施設衛生管理マニュアルの導入をします。市では生野菜や果物の取り組みについて、今後どのように考えているでしょうか。

給食から排出される生ごみの処理の考え方について、現状を教えてください。新共同調理場に向けて、消滅型生ごみ処理機を設置し、 調理所から排出される野菜くずや給食の残渣を水と炭酸ガスに分解して、廃棄物 の減量による環境保全に貢献してはいかがでしょうか。

災害時における対応について 学校給食共同調理場は、「昭島市地域防災計画」において災害時に食糧供給の拠点として 炊き出しする機能が求められます。以前から提案している災害時に対応できるバルク供給システムの導入や太陽光パネルの設置、熱利用のライフラインの確保や非常電源 の自家発電設備等をもち、災害時に炊き出し等が可能な施設としての整備を進めてはどうでしょうか。

【答弁者:教育長】

食は、人間が生きて行く上での基本的な営みの一つであり、健康な生活を送るためには健全な食生活は欠かせないものであります。

特に、成長期にある子どもたちにとって健全な食生活は、健康な心身を育むために欠かせないものであると同時に、将来の食習慣の形成に大きな影響を及ぼすものとなります。

このようなことから、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう、学校において食育を推進していくことは重要であり、また保護者の皆様の理解も必要であると考えております。

学校における食育につきましては、平成20年には小・中学校の学習指導要領の改訂において、「学校における食育の推進」が盛り込まれ、また、平成21年の学校給食法の改正においても「学校における食育の推進」が位置づけられたことから、教育委員会では食に関する指導の充実に努めてきております。

また、昨年3月に告示されました新学習指導要領において、これまでより幅広い教科での指導を適切に行いながら、食育を推進することとなっております。

このようなことから、教育委員会といたしましては、子どもたちの健やかな成長のため、引き続き学校教育の一環である学校給食を「生きた教材」として活用し、さまざまな体験活動や教科を通して、食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができるよう教育活動を行うとともに、保護者、地域の皆様と連携・協力し、一体となって食育の推進に取り組んでまいります。

【答弁者:学校教育部長】

ご質問の1点目「子どもたちの健やかな成長を支える給食・食育事業を進めよう」についてご答弁申し上げます。

はじめに、「生きた教材として、学校給食に地場産食材を積極的に取り入れよう」についてであります。

学校給食において地場産食材を使用し、生きた教材として活用することは、それらの生産等に携わる方々の努力や苦労を理解し、食への感謝の念をはぐくむ上で大切であり、また、生産者側の学校給食をはじめとする学校教育に対する理解が深まり、学校と地域との連携・協力関係が構築することができるものと考えております。

地場産の野菜の導入状況と課題につきましては、平成30年1月末現在における、本市の地場産の野菜の使用率は、6.1%で、前年同時期と比較して、1.0ポイントの増となっておりますが、安定した確保が課題としてあり、使用の拡大に結びつかない状況であります。

これまでも、学校給食の食材として地場産の野菜を使用してきておりますが、引き続き生産者などと協議し、さらに連携を深め、少しでも多くの地場産の野菜を学校給食の食材として使用してまいりたいと考えております。

次に、「不要な食品添加物、遺伝子組み換え食品を使わないという視点で、物資購入基準書の見直しをしてはどうか」についてであります。

学校給食の食材は、昭島市学校給食用物資購入基準書に基づき調達しております。この基準書において、食品添加物については、給食を提供するうえで食材として使用せざるを得ないものもあることから、食品の分類ごとに基準を設け、可能な限り安全なものを必要最小限使用しております。また、遺伝子組み換え食品は使用しないこととしております。物資購入基準書の見直しにつきましては、今後も、最新の情報や他市の状況等を勘案しながら検討してまいります。

次に、「情報発信、市民参加について」のうち、「食品の選定委員会に保護者などの市民に参加していただくこと」についてであります。

献立については、アンケートなどによる児童・生徒からの要望や保護者を対象とした試食会での意見なども参考に作成し、その食材を選定しておりますことから、現時点において、市民の方の参加につきましては、考えておりません。

次に、「食育事業の情報発信に多様なツールを使っては」についてでありますが、現在、(ご質問にもございました)レッツ食育や学校給食の献立・コラムなどを市のホームページに掲載するほか、給食だよりの配布や食育に関するパネル展示なども実施し、市民の方々への情報発信に努めております。食育事業の情報発信につきましては、学校給食が担う役割や、家庭での食育の推進にも繋がることから、他市の取組み状況やご質問にもございました「クックパッド」などのツールも参考にさせていただきながら研究・検討してまいります。

つぎに、「ランチルームを活用した食育事業について」であります。

ランチルームは、教室での給食とは違う楽しい雰囲気の中で、給食を食べ、テーブルマナーを身に付け、食の大切さを学ぶ機会を提供する場として、現在、小学校3校に設置しております。

日常的なランチルームの使用につきましては、移動に要する時間などの課題があることから、使用が少ない現状にございます。このような課題に対し、学校と連携を図る中で、積極的な使用について検討してまいります。

また、「地域との連携に」についてでありますが、現在も保護者を対象にした試食会や交流給食を開催しております。ランチルームを使用して更に食育事業ができるのか、学校や地域と連携を図る中で、その可能性について検討してまいります。

次に、「今後整備する学校給食共同調理場について」であります。

はじめに、「昨年6月の大量調理施設衛生管理マニュアルの改正により、果物や野菜などの提供の対応が変わったのか」についてでありますが、この改正では、若齢者などに食事を提供する施設では、野菜及び果物を加熱せずに提供する場合は、殺菌を行うこととマニュアルの改正がされたものです。

本市においては、野菜は加熱調理しておりますので対応は変わっておりません。また、果物は加熱せずに提供していることから、その改正の該当になりますが、学校給食衛生管理基準の改正がないことや毎年実施している食品のふき取り検査において菌の検出がないことから、これまでの対応と変わっておりません。

また、「市では生野菜や果物の取組みについて、今後どのように考えるのか」についてでありますが、学校給食共同調理場整備基本計画において、「学校給食法」や「学校給食衛生管理基準」及び「大量調理施設衛生管理マニュアル」等の法令や基準に基づいた整備内容とするとともに、「HACCP」(ハサップ)の概念を取り入れた施設を整備することとなっております。

生野菜や果物の取組みにつきましては、今後、具体的な施設整備を進めていく中で検討してまいります。

「給食から排出される生ごみの処理の考え方や現状について」でありますが、現在、生ごみは堆肥化の処理をしております。今後につきましては、具体的な施設整備を進めていく中で、環境保全の視点も踏まえ検討してまいります。

「災害時における対応について」でありますが、学校給食共同調理場整備基本計画では、防災機能を有する施設として整備していくこととしており、災害時に食糧提供の拠点として炊き出しが可能な熱源や電力の確保などについて整備の基本方針に掲げております。ご提案いただきましたバルク供給システムや太陽光パネル、自家発電設備などの具体的な設備等につきましても、施設の整備を進めていく中で検討してまいります。