2019年6月議会 林まい子 一般質問報告②長期休暇中の小中学生の居場所の選択肢の拡充について

昭島市では、「昭島市子ども・子育て支援事業計画」のなかで、「子どもの育ちを支える」「すべての子育て家庭を支える」「地域全体で応援する」という3つの素晴らしい視点を掲げています。この視点に基づき、2点目は、

長期休暇中の小中学生の居場所の選択肢の拡充について質問いたします。

現在共働きをしないと立ちゆかない世帯が多い社会経済状況かと思いますが、昭島市では学童クラブの対象が小学校3年生までです。地域の方々のお力を得て放課後子ども教室が各小学校に設置されており非常に有り難く思っておりますが、いまのところ長期休暇中は開かれていません。子どもたちは、小学校4年生以降の長期休暇中、各家庭が自己責任で居場所を確保するしかないのか。長期休暇が近づく度に共働きをしている周りの保護者の方々と非常に困っております。長期休暇中、家にこもりがちになる子ども、自分で毎日遊び相手を探す子ども、など困難な状況下にある子どもたちも見受けます。各家庭の経済力により子どもの経験できる幅に随分差もでます。

特に共働き家庭にとって、長期休暇中の子どもの居場所の確保は、就労を継続できるか否か、あるいは、子どもたちの健やかな育ちをサポートできるか否か、という生活の根本を揺らがす不安にも繋がる大きな問題です。長期休暇中、一般的には自由時間が増えるだろう子どもたちのゲームやスマホとの接触時間の増大の可能性とその影響も気にかかるところです。ここまでは子どもの裁量でどんどん自由に、ここからはしっかり大人がサポートするという領域が非常にあやふやになっているように感じます。子どもを自由にして成長させられるところを大人の都合でがんじがらめにして、逆に大人がサポートするところを放任しているケースも多いのでないでしょうか。学童クラブに通っていないお子さんも含め、ひとつでも多くの選択肢を子どもたちに提供できる公的インフラがあることは、子育て世帯を呼び込める昭島にも繋がると考えます。

細目1 児童センターについて

先日、長期休暇中の居場所の選択肢として真っ先に挙げられるだろう児童センターの利用者からご意見を頂きました。実際に利用しての子ども目線、親目線の意見は重要です。昭島に1館ある児童センター、あることで非常に助かってはいますが、ぜひとも子どもがさらに足を運びたくなり、保護者もより安心して子どもを送り出せる、昭島の子どもたちの居場所の拠点となって頂きたく質問いたします。

【答弁者:市長】

子どもは国の宝であり、昭島の宝であります。自分の夢や希望に向かって成長していくためには、子育ち・子育てを地域全体で見守り、支えていく環境づくりが重要であると考えております。厚生労働省の平成30年人口動態統計によりますと、我が国における平成30年の出生数は、約91万8千人と過去最少を記録しており、出生数から死亡数を減じた自然増減につきましても、44万4千人余りの減となるなど、少子化、人口減少に歯止めがかからない状況にあります。

こうしたことを背景に、兄弟や友達の数が減少しており、子ども同士の遊びなどを通して得られる生活体験や、多様な人間関係が構築できる機会が減少しているほか、子どもたちが自らの意志により集い、安心して自由に過ごす経験が得られなくなっている状況にあると言われております。子どもたちが成長する課程において、同年代の仲間と子ども独自の世界を形成し、ともに活動することにより社会性を身に着けていくためには、家庭、学校、地域のそれぞれが、子どもを肯定的に受け入れる居場所である必要があります。

本市におきましては、放課後における子どもたちの居場所として、放課後子ども教室を市内全小学校において実施しておりますほか、児童センター「ぱれっと」や青少年交流センターを設置し、子どもたちが社会性や良好な人間関係を築く能力を身に着ける、安全で安心に過ごせる居場所の提供に努めているところであります。新たな時代を担う子どもたちが、地域社会の一員として自覚と自信を持ち、人間性豊かに成長できますよう、家庭、学校、地域と連携する中で、子どもたちの居場所づくりを推進してまいりたいと存じます。

質問1:スタッフは、1F2F各所に足を運び、様子をみたり、1人できた子どもも楽しめるような働きかけはしていますか。子どもとの関係性はどのようでしょうか

【答弁:子ども家庭部長】

児童センターにつきましては、子どもたちが思い思いに過ごせる居場所として、平成24年度より社会福祉法人に運営を委託し、現在に至っておりますが、施設の運営に十分な人員を配置しており、館内を巡回しながら施設内の安全確認を行いますとともに、子どもへの声掛けを行うなど、利用者との関係性についても良好であるものと考えております。

質問2:昨年の夏休み中のプログラムの、定員数と申し込み数を教えて下さい。例えば、渋谷区の「代官山ティーンズ・クリエイティブ」「児童青少年センターフレンズ本町」など、単なる箱の提供にとどまらず、子どもたちがワクワクしながら足を運びたくなるのではないかと思われる、様々な経験の場を提供する創意工夫に富んだプログラムを用意している自治体もあります。先進的な自治体例をすぐに取り入れるのが難しくとも、例えば子どもや親発の企画立案の支援を考えていますか。今あるプログラムに対して、市民の充足度をどのように計っていますか。

【答弁:子ども家庭部長】

昨年の夏休み中のプログラムの定員数と申込み数でございますが、定員がある事業では、定員126名のところ参加者数は135名となっており、定員を超えての参加もございました。また夏事業全体では、10事業、延べ29回実施し、参加者数は554名となっております。また子どもや保護者の立案による新たなプログラムの実施、支援につきましては、今後どういった対応が図れるのか、学識経験者やPTA協議会代表、校長会の代表、公募市民やセンター利用者の代表などによります「児童センター運営委員会」のご意見なども頂戴しながら、委託先事業者と調整を図って参りたいと考えております。

質問3:意見箱への意見数を教えて下さい。また、意見はどのように扱い施策に活かしていますか。

【答弁:子ども家庭部長】

利用者の満足度の検証につきましては、運営委員会において事業や参加状況などの報告、意見交換を行う中で実施しておりますほか、意見箱の設置により利用者の声を聴取しているところでございます。昨年度の意見箱への投稿件数につきましては、74件ございましたが、こうした意見などを反映し、昨年度において自動販売機の変更を行ったほか、今年度においてトイレの洋式化を図る予定となっております。引き続き意見箱等を活用し、利用者のニーズを捉える中で、より魅力のある事業の実施や施設の改善に努めてまいりたいと考えております。

質問4:6月13日付産経新聞によると、都市部に暮らす小学生の8割が平日は外遊びをしないといった調査結果がでたと千葉大の木下勇教授が発表したそうです。背景にあるのはお稽古通いやゲームの浸透、公園や路地など遊ぶ場の減少と分析。木下教授はその解決策に、遊び道具を積んだ「プレーバス」の普及を提案しています。昭島市では、移動児童センターに取り組む予定はありますか。

【答弁:子ども家庭部長】

移動児童センターにつきましては、実施をしている自治体の例を見ますと、市立会館や小学校、幼稚園などにスタッフが出向いて、子どもと保護者の遊びや交流の場を設けたり、児童センターから離れた場所に月1回程度スタッフが出向き、幼児、小学生、中学生等を対象に野外での活動を行っていると聞いております。本市では、児童センターは市内に1か所でありますことから、その必要性については認識しているところでございますが、現在、市内全ての小学校において放課後子ども教室を実施しております状況も鑑み、人員配置や財政状況を踏まえる中で、先行実施している自治体の例を参考にしながら、引き続き調査研究してまいります。

 

細目2 その他既存インフラの有効活用について

青少年交流センター近所の子どもたちは、センターを非常に重用しています。子どもたちが自発的に集まり遊び友達が見つかる青少年交流センターのような場所が市内各地の既存インフラにあるとよいのではないでしょうか。そこでお聞きします。

質問1:児童センター以外に、長期休暇中子どもが利用できる公的インフラは何がありますか。

【答弁者:子ども家庭部長】

児童センター以外に子どもたちが自発的に集まり、利用できる場所につきましては、青少年交流センターのほか、市立会館や公民館等の学習室を設けた施設などがございます。

質問2:公的施設に飲食できるフリースペースを設けられないでしょうか。また、とくに夏休み前に、施設一覧を分かりやすく周知できないでしょうか。

【答弁者:子ども家庭部長】

このうち飲食可能な施設につきましては、市立会館の学習室では、飲み物のみ持ち込み可能となっておりますが、軽食については会館のロビーなどを利用していただいております。

なお、夏季期間には、市内の主な公共施設においてクールシェアを実施しており、実施施設は「広報あきしま」やホームページ等で周知しておりますとともに、これらの施設では冷水器の利用が可能となっております。

質問3:各小学校に設置されている放課後子ども教室ですが、長期休暇中開催の考えはありますか。

【答弁者:子ども家庭部長】

次に、放課後子ども教室の長期休暇中の実施についてでございますが、本市の放課後子ども教室は、学校給食のある放課後において、学校や保護者、地域の方の協力を得る中で、児童に安全・安心な居場所を提供する事業として実施をしております。こうしたことから、長期休暇中の実施につきましては、人員確保や学校施設の利用方法など、様々な課題がございますことから、引き続き他市の状況等を踏まえる中で、研究してまいりたいと考えております。

細目3 コミュニケーションが苦手なお子さんに特化した居場所について

既存の居場所では、コミュニケーションが苦手なお子さんが足を運べず子どもがどこにいったらよいか分からないといった市民の声を聞きました。

質問1:現在、コミュニケーションが苦手なお子さん向けの居場所はありますか。

【答弁者:子ども家庭部長】

本市では、現在コミュニケーションが苦手なお子さんに特化した居場所を設置してはございませんが、児童センターや青少年交流センターなどを、児童が安心して安全に過ごせる居場所としてご利用いただいております。

細目4 冒険遊び場プレーパークについて

先日、NPO法人「日本冒険遊び場づくり協会」、「プレーパーク世田谷」「フリースペースたまりば」理事の天野秀明さんの講演を聴きました。日本の安全、安心の考え方とは対極にあるプレーパークですが、実際には大きな事故の発生は殆どないそうです。何でもダメと大人の都合で遊びの可能性を狭めるのではなく、ケガをすることも含めて大人が保証することで、子どもが生きる力を育み自信をつけていくチャンスにもなるそうです。子どもの遊び場が確保できないことは、脳の発達やアイデンティティの確立に関係があるとのお話もありました。世田谷区では、住民と行政が二人三脚で取り組み、いまに至っているそうですが、プレーパーク目指して引越してくる家庭もあるとのこと。

私自身も、市外の国分寺、青梅、日野、国立、川崎、震災前までは昭島でも開催されていたプレーパークに子どもたちを連れてまいりました。いきいきとした表情で次は何をしよう?と創造力をもってひたすら遊ぶまくる姿を忘れられません。親である私にとっても、そんな子どもたちを気持ちよく見守りつつ、参加してみたり、周りの大人と語らったりとリラックスできる場で、まさしく親子の居場所になっていました。そこでお聞きします。

質問1:いまの子育て環境から、遊びの選択肢を拡げ子育ちを支援するプレーパークがある意味は非常に大きいかと思いますが、昭島市次世代育成支援後期行動計画に記載されていたプレーパークを現在どのように捉えていますか。

【答弁者:子ども家庭部長】

平成22年に策定しました「次世代育成支援後期行動計画」の中では、公園、児童遊園等整備の充実として、子どもたちが自由な発想で遊び、作りあげていく遊び場、いわゆるプレーパークの設置について検討するとされておりました。

しかしながら、子ども・子育て支援新制度へ移行する中で、平成27年に新たに策定しました「子ども・子育て支援事業計画」では、子ども・子育て支援法に基づく施策の方向性や目標等を定めた計画となっており、ご質問のプレーパークにつきましては、現在の計画には位置付けられておりません。

また実施に当たりましては、事故等に対する課題も考えられますことから、先行実施している自治体の状況なども踏まえながら、今後研究してまいりたいと考えております。

細目5 情報の集約と発信について

子どもが利用できる公的インフラ、多世代交流できるサロンなどのインフラ、その他にも、市民が子ども対象の企画を数多く立案しています。しかし、情報が集約されていないため、「知る人ぞ知る」状況になり、せっかくの場や企画が活かされていない。これは非常にもったいないことです。せっかくある子どもの居場所、企画を集約・発信してくれる情報インフラがあることは、子育て世代や子どもたちにとって財産になります。そこで、質問です。

質問1:昭島市子育てアプリですが、利用者数はどれくらいでしょうか?

【答弁者:子ども家庭部長】

子育てアプリの利用者数につきましては、昨年10月の開設以降、3月末現在で704名の方にご登録いただいております。

質問2:もしも利用者が伸び悩んでいる場合は、理由は何だと思われますか。

【答弁者:子ども家庭部長】

直近の6月9日現在では837名の登録数となっており、約2ヶ月で130名余りの増加となるなど、着実に登録数は伸びていると考えておりますが、更なる利用の増加が図られますよう、引き続き取組の周知に努めてまいります。

質問3:子育てアプリの子育て支援情報は、昭島市のHPに記載あるものとほぼ同一内容です。子育てアプリに付加価値をつけて、つくば市、町田市等他の自治体のような、情報の集約と発信をできないでしょうか。

【答弁者:子ども家庭部長】

なお、「あきしま子育てアプリ」は、母子健康手帳の補完的な役割を持っており、妊娠期の記録やお子様の成長記録のほか、予防接種のスケジュール管理など、主にホームページにリンクをかけることにより、子育て情報を取得できるものとなっております。

こうしたことから、新たにアプリで情報の発信を行うことにつきましては、人的及び財政的な面も含め、子育て関係部署と連携を図りながら、今後研究いたしてまいります。

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昭島市のインターネット映像配信からは、再質問含めご覧頂けますのでご利用下さい。http://smart.discussvision.net/smart/tenant/akishima/WebView/