2019年6月議会 篠原ゆか 一般質問報告①不登校の子どもへの支援について

篠原ゆかの6月議会の一般質問とその答弁を報告します。

昭島市のインターネット映像配信からは、再質問含めご覧頂けますのでご利用下さい。http://smart.discussvision.net/smart/tenant/akishima/WebView/

 

大綱1 不登校の子どもへの支援について質問いたします。

2019年5月30日のNHKスペシャルで放送された、シリーズ子どもの声なき声第二回「不登校44万人の衝撃」をご覧になった方もいらっしゃると思います。

最新の調査で年間30日以上欠席した中学生の不登校は10,8999人(文科省)、過去最多となりました。そして学校に来てはいるけれども教室に入れない、授業に参加できないなどの学校に通うことが辛い不登校予備軍といわれる生徒が33万人(推計、日本財団)、不登校と合わせると44万人、じつに学校通う生徒の8人に1人が苦しい思いを抱えながら学校に登校しているということになります。

学校とは何なのか、今まで当たり前だと思っていた学校の在り方を根本的に変える岐路に立っていると言っても過言ではないと思います。NHKでは学校に行きたくないと思っている、または不登校の生徒1968人を対象にLINEアンケートを行いました。その質問の中で、学校に行きたくない理由を複数回答で聞いたところ2つ以上の理由を挙げた生徒は49%、三つ以上の理由を挙げた生徒は35%と、複数の要因が絡み合っていることがわかります。自由記述の回答ではクラスに友達がいない、宿題ができない、ねむい、授業がわかりにくい、嫌なあだ名をつけられる、先生が友達の嘘を信じて自分を怒り信頼関係を失った、課題が多くて終わらない、心を許せる人がいないなどの声が寄せられていました。また、同じことを強制されるのが無理、相談したら教室に戻されるから相談できない自分の弱みをさらけ出すことによって自分は弱い人間なのだと思われることが怖くて相談できない。など、この様々な声が寄せられていました。

また、NHKが1万8000人を対象に行ったアンケートの中から現在不登校の生徒387人の限定した調査では、不登校の要因について文科省の調べとは大きな差が出ていることがわかりました。教員との関係と答えた人は文科省調べでは2.2%となっていますが、NHKの調査では23%。いじめと答えた人は文科省0.4%NHKの調査では21%となっています。NHKの調査に加わった名古屋大学大学院の内田准教授は「文科省の調査ではいじめや教員との関係が過小評価されている。学校としては認めにくいことだとは思うが、子どもはこんなことを思っていたのだと考える必要がある」とおっしゃっています。現在の学校の問題点としては、細かなルールや規則が増えていることや学力至上主義でのその場しのぎでの学力向上で生徒のやる気をそいでいる、教師の多忙化などで生徒と関わる時間がないなどといわれています。

私は五月に不登校の子どもたちを対象にしたフリースクールのシンポジウムに参加して参りました。実際に不登校だった方のお話を聞くことができ、とても有意義な時間でした。

お話をしてくださった方は、三回の不登校を乗り越え、現在は看護師として働いていらっしゃいます。その方がおっしゃっていたことは、不登校の捉え方として、「その子が安心して、その子らしく生活を送れること」を最終的な目的とすることが必要であるとおっしゃっていました。不登校の問題の解決として学校復帰がゴールとされがちですが、学校復帰が目的ではなく、その子が信頼関係をたくさんの人と結び、自分に自信を持ち、興味ややる気がわいて、その子本来の力、活力を取り戻すことが何より必要で、その土台ができた後に、初めて学校へ行く、別の教育機関で学ぶ、などの選択ができていくのだということを学びました。学校は他者との関係や規律、ルールを学んでいくことにおいて最適な場所です。しかし、絶対に、何が何でもいかなくてはならない場所ではありません。

学校に行けなくなった子どもも学校に行けている子どもも何ら変わりないのに、「不登校」というだけでほかの子と違うという社会の目があります。その目が彼らを非常に追い詰めており、逃げ場がなくなっています。社会としての認識を変えていくことが必要です。また、たくさんの学校以外の居場所を地域でふやしていき、ありのままの自分をそれでいいのだよと言ってくれる人たちが増えることも重要です。そこで質問です。

細目1 現在の対応と、不登校に対する基本的な考え方、今後の支援体制についてお聞きします。小中の不登校の人数、適応指導教室の人数、フリースクールに通っている人数、家にいる人数、昨年新たに不登校になった人数、保健室登校が可能な学校はどのくらいあるのでしょうか、お答えください。

【答弁者:市長】

楽しいまちづくりにとって、学ぶ環境を整えることが、最も優先されるべきことであると考えております。大きな可能性を秘めた、次代の社会の担い手である子どもたちには、自己肯定感を育み、自己を確立し、自立した個人として健やかに成長することが期待をされております。

しかしながら、登校したくてもできない不登校の問題は、昨今、学校教育を取り巻く大きな課題の一つとなっており、昨年度の総合教育会議におきましても、不登校の問題について議論がなされるなど、課題解決に向けた取組の重要性を改めて実感したところであります。

児童生徒が不登校となる要因といたしましては、家庭環境や親子関係、対人関係、学力不振などが複合する場合もあり、学校以外の関係機関とも連携を密にし、個々の状況を十分把握する中で、その状況に応じた個別的、そして継続的な支援を効果的に行うことが重要であると考えております。

また、多様性の時代と言われる今日にあっては、不登校の問題解決に向けて、これまでの考え方を一方的に押し付けるのではなく、児童生徒の将来にとって何が大切かを念頭に、個々の特性を重んじながら、長期的な視野を持って対応していくことも重要な視点であると捉えております。

私といたしましては、今後も、総合教育会議を通して教育委員の皆様と意見を交わし、また、地域の皆様の意見も聞き、協議・調整を図る中で、教育委員会と市長部局の一層の連携を図りつつ、全ての子どもたちが安心して学べるよう全力で取り組み、責任ある教育の実施に努めてまいります。

【答弁者:学校教育部長】

はじめに、「現在の対応と、今後の支援体制について」であります。不登校を未然に防止することはもとより、不登校に至った場合は、児童・生徒の学校への復帰や将来の自立に向けて、個々の状況に応じた支援を行うことが不可欠であります。その対応として、登校はできるものの、教室に入ることができない児童・生徒に対しては、保健室や学習支援室など、教室以外の場所で個別に学習支援等を行ったり、スクール・カウンセラーによる面談を実施いたしております。登校が難しい児童・生徒に対しては、学級担任が計画的に家庭訪問を行い、面談や学習支援等を行っております。また、児童・生徒を取り巻く環境を調整する必要がある場合には、スクール・ソーシャル・ワーカーが家庭訪問を実施し、関係機関の紹介等を行っております。

今後の支援体制につきましては、引き続き学校での組織的な支援に加え、スクール・ソーシャル・ワーカーを活用した登校支援の推進、スクール・カウンセラー、教育相談室の臨床心理士による児童・生徒・保護者のカウンセリングの実施など、各専門家との連携強化を図り、「チーム学校」として不登校児童・生徒の学校への復帰や将来の自立に向けた支援を行ってまいります。

次に、平成30年度の不登校の児童・生徒数でありますが、小学校で35人、中学校で80人、合計で115人となっております。このうち、昨年度新たに不登校となった児童・生徒数は61人でありました。また、適応指導教室へ通室している児童・生徒数は合計で33人、フリースクールへ通学している児童・生徒数は7人、外出せずに家に閉じこもっている児童・生徒数は5人となっております。また、不登校児童・生徒がいる学校は、保健室や学習支援室など、教室以外の場所で学習などを行っております。

 

細目2 保護者への支援について

当事者の子どもとともに様々な不安を抱えるのが保護者です。焦らない、せかさない、待つという事が親として子どもの未来を考える中で非常に難しい対応である事は容易に想像できますが、本人が力を蓄え次のステップに行くためには、周囲はじっと待つという事が必要とされます。保護者の方は非常に苦しい思いをされているのだと思いますが、保護者の方へ現在はどのような対応を取っているのか。保護者の方々が相談できる場所はどのようなところがあるのかお聞かせください。

【答弁者:学校教育部長】

次に、「保護者への支援」についてでありますが、保護者の相談先といたしましては、学校の教職員、スクール・カウンセラー、教育相談室、適応指導教室がございます。学校以外の相談機関の周知に関しましては、教育委員会から学期ごとに相談機関の一覧を配布して周知いたしております。