種苗法改定自家増殖(採取)禁止法案に関する陳情 みらいネットワーク、共産党以外は不採択に!  

3月議会に向けて提出された今陳情はコロナ感染拡大の影響で審議が延期となり6月閉会中の総務委員会で審議され不採択となった。

6月議会の初日、総務委員長の報告に対し、昭島・生活者ネットワークの篠原ゆかが反対討論をおこなった。

農水省の言い分を根拠に賛成討論をおこなう議員もいたが、

そもそも種苗法について知っている農業者がごくわずかであるなか、

拙速に改正を行うことの意味は何なのだろう。

 

ー総務委員会報告に対しての反対討論ー

種苗法改定自家増殖(採取)禁止法案に関する陳情の委員長報告に対し反対の立場で討論を行います。

2020年3月3日、種苗法の一部を改正する法案について閣議決定されました。

種苗法は新品種の創作に対する保護を定めた法律で、新品種を登録することで育成する権利(育成権者)を占有することができます。種子の知的所有権が保護の対象となります。

 

この法案は、それぞれの立ち位置によって見え方が違ってくる法律です。そのために陳情者がおっしゃっているように、慎重で闊達な議論が必要となるのです。

 

なぜ慎重審議が必要であるのかについて何点か述べさせていただきたいと思います。

種苗法改正案についての主な内容は品種の海外流出防止を目的とする措置、自家増殖の実質的な禁止、育成者権擁護のための特性表の活用です。

まず一つは全体の一割ほどしかない登録品種のことが委員会の中でも出てきましたが、農作物には「一般品種」と「登録品種」があります。

登録品種は先ほども言ったように全体の1割ほどしかないといわれますが、実はコメでいうと栽培実績がある品種に限ると登録品種の割合が64%となっています。地域別にみても青森県では登録品種が99%を占め、北海道では88%。しかし宮城県では15%。地域によって違うのです。つまり、品種によっても地域によっても違い、一概に登録品種は少ないので農業者への影響は小さく、大丈夫であるとは言えないのです。

 

次に、海外流出を防ぐことが目的とされていますが、

たとえ法改正されても種をもしポケットに入れて海外へ持ち出しても、なかなかわからないのが実情であり、許諾性にしてもその効果は限定的で、目の届か

ないところで流出する可能性があります。逆に、育成権者を巨大企業がとれば正当的に海外へ持ち出すことができてしまいます。この法改正の問題点については、種子法の廃止、および農業競争力強化支援法について理解しなければなりませんが、実際農業競争力強化支援法8条4項では国や都道府県がもつ種苗の知見を民間企業に渡すことを求めており、民間企業には多国籍企業も含まれています。流出を防ぐということについては、海外でしっかり品種登録を日本が行うこと、そのための支援を行うことが必要であり、自家採種の禁止という日本の農家を制限するやり方では防ぎきれないものです。     民間企業の参入については、農業に多様性を持たせるためとの意見もありますが、現在民間が売る種の値段は奨励品種の2~10倍もするものが多く民間活力で値段が下げられるとの名目でしたが実際はそうなっていかない可能性もあります。そして登録品種の種は勝手に育ててはいけないということになれば、企業側としては登録品種を増やして種を農家に買ってもらえば儲かる、ということが起きてくるのです。負担増による離農や地方自治体の種苗事業が独立採算化され、多国籍企業との競合にさらされる懸念があります。    

次に特性表の活用について(の問題)です。

法改正により育成権者はその作物が持つ特徴を多岐にわたって記述した特性表をもって作物の同一性を特定することになります。しかし現在の裁判の判例は現物主義であり、データだけでは証明できません。さらに資本のある大企業が在来種の特性表を用いて新規登録してしまえば農業者が登録品種以外の種子(在来種)については自由に増殖できるという原則にも大きな影響を及ぼしかねません。農水省は95%の種苗は自家採種できる在来種であると言っていますが多くの農家が伝統的な在来種と認識しているものでも品種登録されているケースもあります。特性表で守られるのは登録品種だけであり在来品種を守るための法律がないことも課題です。

以上、何点か指摘させていただきましたが、慎重かつ闊達な議論がまだまだ不足しており、陳情者の意図するところは納得のいくものであると考えます。

様々な意見を突き合わせ、共有点を見出し、議論をしつくすことが重要であると考えます。

よって、この陳情に賛同するものとし、委員長報告に反対の討論とさせていただきます。