コロナ禍でも防災、減災対策の更なる強化を~9月議会の一般質問報告①~

【林まい子質問】

ただいま議長の指名を受けましたので、通告に従い一般質問を始めさせていただきます。

 

大綱1 一人ひとりに届く防災・減災対策について

世界各地で異常気象が多発し、熱波や干ばつが深刻な状況です。例えば、今夏、ギリシアやトルコ、イタリアでは山火事が続きました。カナダにおいては、カナダ観測史上最高の49.6度を記録し、地域によっては小学校休校が生じ、数百人の熱中症による死者がでました。

豪雨もドイツ、中国など世界各地で多発し、日本においても先月の熱海市における土砂災害では、8月27日時点でなお176名が避難をしています。今月も1週間足らずで年間雨量の平年値の半分近い雨を記録した地点もある、西日本における大雨がありました。身近でも明らかに異常気象を感じるところで、その結果、人間や生き物の命の危険、深刻な健康被害への影響、食料問題悪化など、持続可能な社会の実現が危機的状況です。

気候変動に関する政府間パネル、IPCCは、最新の研究成果に基づく地球温暖化の現状や予測について今月報告書を公表しましたが、異常気象への温暖化の影響が科学的に示され、私たちに「より早く、より強く、より高く」温暖化対策を進める緊急性を訴えています。

国立環境研究所 特別研究員などの研究グループは、IPCCの温室効果ガスの排出シナリオなどに基づき、日本周辺の海面水温の将来的な変化を解析しました。この30年、日本周辺の平均海面水温は上昇が続き、去年は、広範囲で30度前後に達し統計史上最高でしたが、これを超えるような海面水温は2031年から2050年ごろには2年に1度以上の発生頻度見込みとなることがわかりました。これは、「パリ協定」の目標である、産業革命前からの世界の平均気温上昇の1.5度抑制を達成しても避けられない可能性が高く、「海面水温が高くなると、台風が勢力を落とさず日本に接近し上陸するリスクが高まるほか、漁業などにも影響を与える可能性がある」と指摘しています。

昭島市でも一昨年台風19号による水害がありましたが、今後は更なる豪雨・台風多発が見込まれ、日頃から市民に届き、緊急時に混乱が生じないよう出来る限りの対策を勧める必要があります。

細目1 新型コロナウイルス感染症対策を伴う避難所運営について

避難所での感染症蔓延は避けなければなりません。しかし、私たちはいま避難をしなければならないと仮定したとき、感染症対策もしての避難所運営が避難者主体でできる状態でしょうか。そこで質問です。

感染対策を含んだ避難所運営マニュアルの市民への共有について、現状確認をさせて下さい。災害発生時の対応は万全ですか。

【答弁:市長】災害はいつ起こるか分からない、「備えあれば憂いなし」と常々申し上げております。

近年は 地球温暖化の影響等により、台風の大型化、線状降水帯等による水害のリスクが高まっており、毎年全国各地において甚大な被害が発生しております。

今年度も、8月に九州地方を中心とした線状降水帯による河川の氾濫や、7月の静岡県熱海市における土砂災害など全国において大雨の影響による甚大な被害が発生しているところであります。

これから本格的な台風シーズンに入っていきます。

令和元年台風第19号の経験を踏まえ、コロナ禍の難しい状況ではありますが、市民の生命や財産を守ることは市にとって私にとっても重要な事であると思っております。被害を少しでも減らすために、万全の体制を整え対応に当たってまいります。

いつ起こるか分からない災害に対して被害を最小限に抑えるためには、「自助」、「共助」及び「公助」の考え方に基づき、市民、自主防災組織、事業者及び市がそれぞれの責務と役割を果たし、お互いに連携して対処しなければなりません。

その中でも基本となるのは、「自助」、自らの命は自らが守ることです。一人ひとりが、自分の周りにどのような災害が及ぶか考え、被害をできるだけ少なくするために、必要な対策を講じることが重要です。

もちろん、高齢者の方、障害をお持ちの方、妊産婦の方、小さなお子様など災害時に支援の必要な方々については、しっかり支援していきたいと思っております。

「共助」及び「公助」の部分においては、災害時に安全かつ適切な対応が図られるよう、自主防災組織、地域、防災関係機関及び行政が連携してあらゆる機会を捉え防災意識の向上を図るとともに、防災訓練や避難所運営訓練などを実施し協力体制の充実、強化に努めております。

今後も、さまざまな事態を想定する中で、災害に強いまちづくり向け、防災・減災対策に努めてまいります。

 

【答弁:危機管理担当部長】

ご質問の1点目「一人ひとりに届く防災・減災対策について」のうち、1点目の「新型コロナウイルス感染症対策を伴う避難所運営について」ご答弁申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症対策を含んだ各学校避難所運営マニュアルの周知についてですが、昨年度、防災課が作成した感染症対策を含んだマニュアルの素案をもとに、市内の小中学校14校において避難所運営訓練を実施しております。訓練での検証等を踏まえ、各学校避難所運営委員会においてマニュアルの改定の手続きを進める予定でしたが、昨年からのコロナ禍の状況において委員会が開催できていないため、マニュアルの改定に至っておりません。今後の感染状況により委員会活動を再開し、マニュアルの改定後、市民への周知を進めていくことを検討しております。

なお、現在は市ホームページで、避難所における新型コロナウイルス感染症への対応について掲載するなど、避難時の注意事項等を市民へ周知しております。

 

【林まい子質問】

細目2 当事者意識を持つための実践講座・訓練の開催について

令和元年実施の市民意識調査によると、ハザードマップを確認しているのは17.6%、近所や自治会の人たちと避難方法などを確認しているのは6.7%、避難場所を確認しているのは41.2%、備蓄品を備えているのは45.1%でした。平時から、市民一人ひとりが地域特性を認識した上で避難行動のシミレーションをしており、いざというとき命を守れるか非常に懸念します。

この事態に対し、ハザードマップの全戸配布、まるごとまちごとハザードマップ、広報あきしまでの風水害に備える記事掲載など高く評価していますが、更なる取り組みが必要です。

そこで質問です。

一点目、市民がマイタイムラインを確実に作成するような働きかけについて教えてください。

 

二点目、市民意識調査によると、防災訓練の実施を市に求める声は2.9%です。自治会以外の住民に対し、今後防災への参画をどのように促しますか。

 

【答弁:危機管理担当部長】

2点目の「当時者意識を持つための実践講座・訓練の開催について」ご答弁申し上げます。

市民一人ひとりが避難行動をシュミレーションしてマイ・タイムラインを作成することは、大変重要であると認識しております。

昨年度、全戸配布させていただいたハザードマップの情報面にもマイ・タイムラインの作成についても掲載しており、広報あきしまなどを活用するなど、今後もあらゆる機会を通じてマイ・タイムラインの作成について市民に周知を図ってまいります。

次に、市民の防災の取組への参画についてですが、地域のコミュニティに限らず、任意の団体などの要望により、出前講座なども実施しておりますが、現在のコロナ禍においては多数の方が参加する防災訓練などの実施が困難な状況にあります。このことから、コロナ禍においても、広く市民の方々の防災意識が高揚できる方法を、他市の動向を踏まえながら調査・研究してまいります。

 

【林まい子質問】

細目3 多様な避難者への配慮について

多様性への配慮が欠かせません。そこで質問です。

・一点目、避難所運営委員会の女性比率と女性防災リーダーの過去3年の推移を教えて下さい。

 

【答弁:危機管理担当部長】

3点目の「多様な避難者への配慮について」ご答弁申し上げます。

まず、学校避難所運営委員会の女性比率についてであります。

平成30年度の集計では約22%、令和元年度は約24%、令和2年度は、約23%となっております。避難所運営において女性目線のケアが重視されていることから、引き続き、女性の参画を促してまいります。    次に、女性防災リーダーについてであります。

防災リーダーとは、地域や自主防災組織内でリーダーシップを発揮し、率先して災害時には災害活動に従事したり、平時には訓練等を企画していただくような人材であり、資格や組織内での明確な役職があるものではないことから、把握はしておりません。

なお、昭島消防署が所管する昭島女性防火の会では、女性防災リーダーの育成や防災への参画を促しているほか、昭島消防少年団では、将来地域の防災リーダーとなる人材を育成しております。

 

【林まい子質問】

・二点目、母子避難について、過去質問をした授乳支援の進捗を教えて下さい。また、助産師等と連携しながらの母子避難所につき考えを教えて下さい。

 

【答弁:危機管理担当部長】

次に、母子避難についての授乳支援についてであります。

学校避難所におきましては、学校避難所運営マニュアルに、授乳室や女性更衣室等の女性が使用する区画を事前に計画するように定めております。

また、昨年度から液体ミルクの備蓄も進めております。

次に、母子避難所についてであります。

発災時においては、安全を確保するために一次避難所である学校避難所に、妊産婦や乳児も避難することが基本となります。学校避難所では、備蓄しているパーテーションの利用や必要に応じて校舎の空き教室などを使用して過ごしていただきます。

なお、災害時においての妊産婦及び乳児ケアのため、平成29年10月に東京都助産師会北多摩第一分会と協定を締結しておりますので、避難所に助産師の派遣を要請するなど必要に応じて対応を図ってまいります。

 

【林まい子質問】

三点目、避難が長期化すれば、子どもの遊び、学びの保障の視点が欠かせません。東京都では子ども基本条例も制定されました。避難所運営に子ども視点が入っているか確認させて下さい。

 

【答弁:危機管理担当部長】

避難所における子どもの視点ですが、学校避難所運営マニュアルに、遊戯場や勉強室を事前に計画するように定めております。

 

【林まい子質問】

四点目、二次避難所はすぐに開設されません。一次避難所で個別配慮が要される方への環境整備はされていますか

 

【答弁:危機管理担当部長】

次に、高齢者や障害のある方への対応についてであります。

妊産婦と同様に、発災時においては、安全を確保するために一次避難所である学校避難所に、避難することが基本となります。その後、被災の状況や集団生活が困難であるなどの避難者の個別の事情などを踏まえ、学校避難所以外の市立会館などの避難所や福祉避難所を開設し、対象となる避難者の移動を行うこととなります。

そのため、移動するまでの間は、必要に応じて校舎の空き教室などを使用して過ごしていただきます。

なお、一次避難所を含め全ての避難所において、停電時に医療機器等の精密機器が使用できるようインバーター機能が付いた非常用発電機を昨年度導入しております。