安保関連 3 ⽂書の閣議決定に抗議する声明
生活者ネットワークの議員もメンバーとなっている「平和・立憲会議(平和・立憲・人権をつなぐ全国自治体議員会議)」は、2022年12月16日に岸田政権が「安保関連3文書」を閣議決定したことに抗議する声明を出しました。
安保関連 3 ⽂書の閣議決定に抗議する声明
岸⽥政権は 2022 年 12 ⽉ 16 ⽇、ロシアのウクライナ侵略、北朝鮮の核・ミサイル開発、さらに
「台湾有事」を利⽤し、危機を煽り⽴てながら、外交・防衛の基本⽅針を定めた「国家安全保障戦略」、
防衛⽬標を達成するための⽅法などを⽰した「国家防衛戦略」、経費の総額や装備品などを盛り込ん
だ「防衛⼒整備計画」の新たな安保関連3⽂書を閣議決定しました。
戦後⼀貫して唱えていた憲法9条に基づく「専守防衛」から明らかに逸脱し、⽇本が戦争を仕掛け
る国に変貌する決定です。2013 年以来の戦後の安保政策の⼤転換であるにもかかわらず、国会での
議論を経ずして閣議決定という⼿法で決定することは断じて容認できできるものではなく、強く抗
議するものです。
3⽂書では、他国領域のミサイル基地などを破壊する敵基地攻撃能⼒の保有や、⻑射程ミサイルの
増強を明記しました。
政府答弁書(2020年 10 ⽉)によると「専守防衛」とは「相⼿から武⼒攻撃を受けたとき初め
て防衛⼒を⾏使し、その態様も⾃衛のための必要最⼩限にとどめ、また、保持する防衛⼒も⾃衛のた
めの必要最⼩限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうもの」と
説明し、政府として、「我が国の防衛の基本的な⽅針である『専守防衛』を維持することに変わりは
ない」としています。この答弁書からすると敵基地攻撃能⼒の保持は「専守防衛」を根本から覆すも
のであり、明らかに国際法違反です。
外交・安全保障に関する⾃⺠党の提⾔には、敵基地攻撃能⼒の保有を求めた上で、攻撃⽬標として
「指揮統制機能等」が含まれています。
3⽂書では「反撃を加える能⼒を持つことにより、武⼒攻撃そのものを抑⽌する。その上で、万⼀、
相⼿からミサイルが発射される際にも、ミサイル防衛網により、⾶来するミサイルを防ぎつつ、反撃
能⼒により相⼿からの更なる武⼒攻撃を防ぎ、国⺠の命や暮らしを守っていく。この反撃能⼒につい
ては、1956年2⽉29⽇に政府⾒解として、憲法上、『優導弾等による攻撃を防御するのに、他
に⼿段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には⾃衛の範囲に含まれ、
可能である』としたものの、これまで政策判断として保有することとしてこなかった能⼒に当たるも
のである」としているが、同政府⾒解の後段では「侵略国の領域内の基地をたたくことが防御上便宜
であるというだけの場合を予想し、そういう場合に安易にその基地を攻撃するのは、⾃衛の範囲には
⼊らないだろう」と答弁しています。
「指揮統制機能」への攻撃などは政府答弁の「防衛上便宜である」との考え⽅であり、政府が説明
する「⾃衛の範囲に⼊らない」と解釈すべきです。
3⽂書では、防衛費とそれを補完する取り組みを合わせた予算⽔準について、国内総⽣産(GDP)
⽐2%を⽬指すと掲げていますが、財源として法⼈、所得、たばこ税を増税し、さらに東⽇本⼤震災
の復興予算にまで⼿を出すなど、まさに暴挙であり、⼦育て⽀援予算などの確保を先送りまでして軍
備を拡⼤することは絶対に許されません。
すでに⽇本列島各所では⽇⽶合同演習が繰り広げられ、南⻄諸島の軍事要塞化がどんどん進んで
います。
こうした軍事的緊張を⾼めればさらなる軍備拡⼤へと進み、偶発的な軍事衝突が起きれば、沖縄お
よび南⻄諸島は再び戦場となるのです。
私たちは今こそ、軍事衝突を回避するための外交努⼒を求めるとともに、外交努⼒での緊張緩和を
実現すべきと考えます。
以上
2022 年 12 ⽉ 28 ⽇
平和・⽴憲・⼈権をつなぐ全国⾃治体議員会議