2025年9月一般質問:大綱②熱中症対策について
9月議会の一般質問が終わりました。
1時間の質問持ち時間のなかで、一問一答方式を選び、毎回質問に臨んでいます。
一問一答の再質問前、1回目の質問と市の答弁を以下に書き出します。
※再質問部分については、任期中は市の公式HPの動画からご覧頂けます。
【林質問】
大綱2 熱中症対策について
今年の6~8月の全国平均気温は統計開始後最も暑く、平年より2.36度高かったとの気象庁の発表がありました。また、厚生労働省の人口動態統計によれば熱中症死者数は増加傾向にあり、6月から熱中症リスクが高い状況です。
環境省は、近年、快適環境の追求に伴い、人間の体温調節能力が脆弱化するなかで、高齢化、さらには地球温暖化や都市化によるヒートアイランド現象が加わり、新たな災害とまでいわれる熱中症が急増しているとの見解ですが、早急な対策が求められます。
細目1 教育機関での対策について
子どもは、体温の調節能力が未発達であり、他にも外気温や、身長が低いため地面からの照り返しの影響など強く受けます。さらに、自身での予防が難しい場面も多々あり対策が必要ですが、今回は登下校時から目配りが必要になる教育機関にお伺いします。
一点目、主な対策と、昨年熱中症の対応が要された児童生徒数をお答えください。
二点目、教室内の空調については子どもや保護者から様々な意見を頂いており個別空調が必要です。工事をすでに実施した小中学校名と、全ての学校への設置完了時期をお答えください。また、その間、スポットクーラーはニーズに応じて問題なく貸し出しできている状況か教えてください。
三点目、夏冬の室内環境が快適になり、省エネ・光熱費減にも繋がる断熱も欠かせません。体育館や校舎で実施予定があるかお答えください。
細目2 高齢者への対策について
高齢者は、体内の水分量が減り、暑さに対する感覚機能や体の調節機能も低下するため、室内でも熱中症にかかりやすく、厚生労働省の人口動態によれば、2023年の熱中症死亡者のうち、83.3%が65歳以上であり、熱中症対策の丁寧な周知が必要です。
また、エアコン利用が欠かせませんが、エアコンは人工排熱や、電気消費量、CO2排出量の増加にも繋がり環境負荷軽減の点から、また家計節約の点から省エネ家電もあわせて推奨する必要があります。「東京ゼロエミポイント」などの支援策の周知も含め、高齢者に届くようどのような工夫をしていますか。
細目3 GLP昭島プロジェクトも踏まえたその他対策について
気温上昇への抜本的な対策が必要ですが、今回はヒートアイランドの視点からお伺いします。ヒートアイランドとは、都市化により限定的な範囲で気温が高くなる現象であり、熱中症、夜間の都市気温を上昇させることでの睡眠障害、蚊など媒介生物の繁殖回数の増加など健康影響はじめ、大気汚染、ゲリラ豪雨など多方面への影響が指摘されています。
原因として、空調システム・電気機器・自動車など人間活動による人工排熱の増加、水田や緑地、水面の減少と建築物・舗装面の増大による地表面の人工化、密集した建築物により、風通しが阻害されるなど都市形態の高密度化等あげられますが、ヒートアイランド緩和には、大型緑地が有効とされています。緑地帯そのものが気温の上昇を抑えるとともに、涼しい空気が外へ流出し周囲の気温まで下げることは、環境省も携わった新宿御苑の調査などで立証されており、20ヘクタールで樹木1万本の目黒区自然教育園の調査においても、晴天日の緑地内外の気温差は、夜間には2度、日中は2.5度程度であり、夜間の冷気のにじみ出し現象は、4車線の道路を超え最大で250メートル程度にまで及んだとの報告もあります。
また、先月、「都内樹林地のヒートアイランド緩和効果」と題する、東京都立大学三上岳彦名誉教授のはなしを伺う機会がありましたが、樹木には木陰以外にも、樹木の枝や葉が生い茂る部分である「樹冠」が厚ければ厚いほど緑の蒸発散量が増え周囲の気温上昇を緩和し、地表面温度が低下して涼しくなること、総じて緑は昼夜を問わず周辺の気温を下げるためなくせないこどなど明言しておられ、緑の量と質を意識したまちづくりの重要性を再確認しました。そこで質問です。
一点目、樹木はできる限り残すべきです。GLP昭島プロジェクトについて、造成工事が進みますが、伐採樹木、既存樹木、移植樹木、植栽樹木状況は今後明らかになるのでしょうか。
二点目、気温上昇や夜間の熱中症リスクを抑制する指針のひとつが緑被率といわれていますが、市では環境基本計画の環境指標のひとつとして、緑被率に「公園内の緑で覆われていない面積の割合」と「河川等の水面が占める割合」を加えたみどり率を示しています。そのため、みどり率についてお伺いしますが、2019年度基準値41.1%を2031年も維持する目標を、どう達成するのでしょうか。
三点目、緑以外についても、ヒートアイランド対策の視点からまちづくりを再点検し、事業者・市民とともに対策をすすめられないかお答えください。
最後に、市民よりGLP昭島プロジェクトの物流センター稼働後も、救急車両が通行できるかいまだご懸念の声を頂きます。熱中症による救急搬送等々、救急車両は問題なく通行でき、かつ受け入れ先は十分あると考えてよいか改めてお答えください。またデータセンターからの排熱については、モニタリングを求めるとのことですが、手法や測定時期など協議されているのでしょうか。
以上で1回目の質問を終わります。明確な御答弁をお願いいたします。
【学校教育部答弁】
ご質問の2点目、熱中症対策についてのうち、1点目の教育機関での対策について御答弁申し上げます。
はじめに、小中学校での主な熱中症対策につきましては、屋外にはテントやミストシャワーなどを設置し、教室及び体育館では空調設備を有効に活用しております。そのうえで、屋内外ともに、活動前にはWBGT計で暑さ指数を計測し、児童・生徒が安全に活動できる環境であるかをまず確認いたし、WBGTの数値が31を超える場合には、屋外での活動を原則中止とするなど、熱中症予防に努めております。
また、当日の暑さ指数、活動内容、場所などの状況により活動内容等を柔軟に変更するとともに、適切な水分補給を促すことや、定期的に日陰での休息を促すことなどの対策を徹底しております。
次に、昨年度熱中症の対応が要された児童生徒についてでありますが、学校現場での応急処置で対応できる軽症につきましては、保健室などで体を冷やし、水分や経口補水液を補給するなど、日常的に対応していると伺っておりますが、対応した人数につきましては、把握しておりません。
また、学校管理下において病院への搬送を必要とする中等症につきましては、昨年度発生しておりません。
次に、個別空調設備への切替えを実施した学校につきましては、富士見丘小学校、拝島第一小学校、拝島第三小学校、昭和中学校の4校となっており、現在、共成小学校において工事を実施しております。今後、他の学校につきましても順次工事を実施いたし、全ての学校において空調設備が更新されるのは、現時点では令和21年度を予定しております。
次に、スポットクーラーにつきましては、教育総務課で38台を保有しており、必要に応じて、学校や公共施設に貸し出しております。
次に校舎や体育館の断熱についてであります。ここ数年の酷暑は厳しさを増す一方であり、更なる安全性、機能性向上の観点から、校舎や体育館の断熱化は有用であると考えております。
このため、今年度から実施する光華小学校の体育館につきましては、外壁等改修工事において、屋根の断熱化にも取り組む予定としております。
また、国や東京都の補助制度につきましては、これまでにも市長会や教育長会を通じて、施設整備に係る補助制度の拡充や、断熱改修等に係る新たな補助制度の創設などを要望しており、引き続き、機会を捉え要望を重ねてまいります。
【保健福祉部】
御質問の2点目「熱中症対策について」のうち、2点目の「高齢者への対策について」御答弁申し上げます。
高齢者は体内の水分が不足がちになるほか、暑さに対する感覚機能や体の調節機能の低下により、熱中症に対して特に注意が必要であります。
また、熱中症は室内や夜間でも多く発生しており、高齢者の熱中症予防としてエアコンの適切な利用は大変重要です。
こうした中、東京都におきましては、本年8月30日から昨今の猛暑状況等を踏まえ、より省エネ性能の高いエアコンの買替え等に対して付与する「東京ゼロエミポイント」を拡充し、熱中症リスクの高い高齢者や障害のある方に対するエアコン購入支援として、対応店舗において最大8万円を値引きする事業を実施しております。
本市ではこれまでにも、高齢者のための熱中症対策に関するチラシの配布や熱中症・脱水予防の栄養講座の開催など、高齢者の熱中症対策の周知に努めてまいりました。
「東京ゼロエミポイント」につきましても、東京都からの依頼があり次第、市ホームページのほか、市民、関係団体へのチラシの配布など、周知に努めてまいります。
【環境部答弁】
御質問の2点目、熱中症対策についてのうち、細目3点目のGLP昭島プロジェクトも踏まえたその他対策についてご答弁申し上げます。
初めに、GLP昭島プロジェクトにおける造成工事に伴う、伐採樹木、既存樹木、移植樹木、植栽樹木の本数等についてであります。
東京都内で 1,000 平方メートル以上の敷地で開発や建築等を行う場合、東京における自然の保護と回復に関する条例に基づき、自然の保護と回復を図るために緑化計画の届出等が必要となり、GLP昭島プロジェクトにつきましても今後事業者は都知事に対して緑化計画書を提出することとなります。
開発事業地内における伐採樹木、既存樹木、移植樹木、植栽樹木の本数等につきましては、東京都環境影響評価制度に基づき本年2月に事業者から提出された環境影響評価書の中でも明らかになっておらず、現時点では、今後提出される緑化計画書の内容も不明ですが、緑化計画書の中に既存樹木と植栽樹木の具体的な本数等を記載する欄があることは認識しております。
次に、市が目標とするみどり率はどのように達成するのかについてであります。
市域のみどり率につきましては、都が実施している調査によれば、平成25年度43.3%、平成30年度41.1%、令和5年度40.5%と、減少傾向にあり、その主な要因は、農地の宅地化などに伴う減少であります。
環境基本計画では、平成30年度のみどり率41.1%維持を当面の目標値としており、すでに最新の令和5年度の調査結果ではその目標を下回っておりますが、昭島市宅地開発等指導要綱に基づく緑地確保、市が管理する崖線緑地や街路樹の適正管理に加え、保存樹木、保存樹林の指定やせん定費用等への補助、苗木の有料配布、花の応援事業など、市民や事業者の皆様にも御協力をいただきながら、困難性の高い目標ではありますが、引き続き注力してまいります。
次に、ヒートアイランド対策の視点からまちづくりを再点検し、事業者・市民とともに対策を進めることについてであります。
市では、ヒートアイランド対策に特化した計画はございませんが、環境基本計画において、環境配慮指針をお示しし、市民、事業者の皆様に対して、地球温暖化対策やヒートアイランド対策等を含め様々な取組の推進をお願いしているところであります。
また、あきしま環境緑花フェスティバルにおいてグリーンカーテン講習会を開催するとともに、一定規模以上の開発については、昭島市宅地開発等指導要綱に基づき、建築物の熱負荷の低減を含め、環境配慮事項について市長と協議することとしております。引き続き様々な機会を捉え、市民や事業者の皆様にも御協力をいただきながら、環境に配慮したまちづくりを進めてまいります。
次に、救急車両の通行等についてであります。
走行車両は車を道路端に寄せて救急車両に通行スペースを空けることや16mの新設道路が整備されることなどから、救急車両の通行に問題が生じるとは捉えておりません。また、現在、受入れ医療機関が不足しているとの情報はありません。
次に、排熱のモニタリングの手法等についてであります。
開発事業地における電力消費及び室外機からの排熱に伴うデータセンターを中心としたエリアでのヒートアイランド現象発生の恐れにつきましては、開発事業者との協議の場で改めて確認しており、開発事業者からは、排熱シミュレーションを行っており、近傍の熱環境については本計画により大きな変化は無いと想定しているとの回答を受けております。
しかしながら、周辺環境への影響を心配する声が市にも寄せられていることから、具体的な時期や手法について詳細は決まっておりませんが、協議の場等において、開発事業者に対し、最新設備の導入による排熱抑制及び、より詳細なシミュレーションの実施、継続的なモニタリング、積極的な周知等を求めているところでございます。
