2025年12月一般質問:大綱②すべての子どもを誰ひとり取り残さない学校教育を

12月議会の一般質問が終わりました。

1時間の質問持ち時間のなかで、一問一答方式を選び、毎回質問に臨んでいます。
一問一答の再質問前、1回目の質問と市の答弁を以下に書き出します。

※再質問部分については、任期中は市の公式HPの動画からご覧頂けます。

【林質問】

大綱2 すべての子どもを誰ひとり取り残さない学校教育を

細目1 不登校施策について

憲法第26条第1項は「教育を受ける権利」、第2項は国民の三大義務である「教育を受けさせる義務」について定めながら、義務教育は無償で行われるべきとしており、2016年には不登校児童生徒や教育機会が不足している子どもたちに対する支援を目的とした教育機会確保法も制定されました。教育機会確保法は、より良い学校づくりを基本としつつも、不登校は誰にでも起こり得るものとし、民間機関等と連携しての支援や、安心して学べる学内外の学びの場の整備、本人の意思を充分に尊重の上一人一人に合った支援をして、子どもたちが進路を主体的に考えられるよう後押しすることを目指しています。

先日、厚生文教委員会で北海道帯広市自前のオンライン不登校支援「ひろびろチョイス」の視察をする機会を得ましたが、「自分で学びを選び 人とつながる 未来とつながる そんなワクワクする場を地域の大人で応援する」をコンセプトに、お子さんがたが、多様な選択肢を保障されていました。個別の学び以外には、フリースクールが提供する学び、e-sports・クッキング・自然体験などオンラインやリアルで交流するクラブ、保護者も参加可能な月に一回程度の遠足、子どものやってみたいことを企画し実現するプログラムなどあり、希望者にはメンターもつきます。特筆すべきは、「子どもの声に臨機応変に対応したい」との担当職員のお言葉でした。教育指導主事が得意分野を生かして利用者と関わるプログラムがあり、クラブなどでもできるだけお子さんと対話するそうです。

オンラインで外にでれない段階のお子さんの孤立を防ぎつつ、リアルの体験活動も組み合わせた多様な経験をできること、子どもが自己決定を尊重され、声も聴かれることで、自尊感情が満たされていくであろうこと、地域の社会資源が協働しながら子どもたちと関わり育ちを支えること、また親同士も繋がる機会がある取り組みであり、大変意義深く捉えました。市においても、不登校を選択したお子さんが、経済事情に左右されずに自分が安心できる先と繋がれるよう、必要応じて地域の社会資源と連携しつつ公共の学びの選択を充実させ、すべての子どもが教育を受ける権利を保障される不登校施策の展開をすべきとお伺いします。

一点目、昨年の小中学校それぞれの不登校児童生徒数と、学びの選択状況を教えてください。また、2023年6月質問時からの具体的な改善内容ふくめそれら選択肢の保護者への周知法について、お答えください。

二点目、学校現場や支援者が子どもたちと接する際に重視すること含め、市が不登校支援にあたり重要と考えることをお答えください。また支援にあたっての課題と対策を教えてください。

三点目、教育支援室の効果と課題を教えてください。

四点目、校内別室指導の効果と課題、今後の展望を教えてください。また、以前参加させて頂いた同事業の報告会では予算と人が不足しているとのことでした。現場の声をきき実態を把握いただきたいですが、いかがでしょうか。

五点目、教育機会確保法が制定され、学びの選択肢を公が保障することは重要です。市でも帯広市のようなオンライン支援に取り組む考えがあるか教えてください。また、八王子市のように、給食センターでの給食提供や、その他市内の既存の公共施設を居場所とする取り組みを検討できないかお答えください。

以上で一回目の質問を終わります。趣旨をお汲み取りいただき、明確なご答弁をお願いいたします。

【市長答弁】

未来を担うすべての子どもたちが、自らの可能性を最大限に伸長し、将来への希望を持って健やかに成長できるよう、児童・生徒一人ひとりに寄り添った教育を粘り強く進めていくことが重要であります。

こうした中、「楽しい学校づくり」をキーワードに、コミュニティ・スクールとして、地域や保護者の皆様と連携しつつ、子どもたちが多様な体験を通じて主体的に学び、健やかに成長できる環境の構築に努めております。

また、児童・生徒が自己存在感や充実感を感じられる居場所づくりと、互いを尊重しあう機会等を設定し、他者との絆づくりを大切に、不登校の未然防止等に取り組んでおります。

不登校児童・生徒数の増加は、全国的な課題であり、その背景には、学業や友人関係、家庭環境など、様々な要因が複雑に絡み合い、その解決には多角的なアプローチが必要であります。このため、児童・生徒それぞれの事情を、よく汲みとり、それを理解し、一人ひとりにしっかりと向き合い、適切に支援していくことが肝要であります。

また、それぞれの事情に応じて、児童・生徒にとって安心な居場所の確保も大変重要であると捉えております。

こうした考えのもと、引き続き、アキシマエンシス内にある教育支援室や、教室に足の向かない児童・生徒を対象とした校内別室登校支援など、更なる充実に努めてまいります。

併せまして、相談しやすい環境の向上や、あらゆる関係機関、専門機関との更なる緊密な連携等を通じて、社会的自立につなげられるよう、不登校児童・生徒への総合的な支援の充実に取り組んでまいります。
【指導担当部長答弁】

ご質問の、すべての子どもを誰ひとり取り残さない学校教育をの不登校施策についてご答弁申し上げます。

はじめに、昨年度の不登校児童生徒数でありますが、児童が184名、生徒が169名であり、そのうち、教育支援室である「たまがわ教室」を利用した児童が14名、「もくせい教室」を利用した生徒が21名であります。また、校内別室の利用登録を行った児童は17名、生徒は35名おりました。また、オンラインで授業を受けた児童は25名、生徒は14名、フリースクールを利用した児童は3名、生徒は6名となっております。

2023年度以降の不登校対策の改善内容につきましては、安定したオンライン環境の整備をはじめ、校内別室指導支援員配置事業やフリースクール利用助成金の活用等により、不登校児童・生徒の多様な学びの場を拡充しております。

次に、学びの場の選択肢の周知についてでありますが、学校において、登校が不安定な児童・生徒やその保護者に対し、個々の意向等を踏まえて情報提供に努めるとともに、校内別室については、保護者会等でも周知に努めております。また、教育委員会においては、不登校に関する講演会などで情報提供するとともに、保護者向けリーフレットの配布や市公式ホームページへの情報掲載など、機会を捉え、教育相談や教育支援について周知に努めております。

次に、不登校児童・生徒への支援につきましては、児童・生徒の個々の状況に応じた適切な支援が大切であると捉えており、一人一人のニーズを的確に把握する中で、個別の支援計画を作成するとともに、児童・生徒が安心して過ごせる多様な学びの場の充実に努めてまいります。

次に、教育支援室につきましては、指導員3名、支援員9名を配置しており、1日に4名程度の指導者と支援員を配置し、5名程度の児童・生徒の学び等をサポートしております。効果といたしましては、指導者が、教室を利用している児童・生徒の課題をきめ細かく把握・対応し、児童・生徒に小さな成功を体験させ、自信回復や集団参加の力、意欲を高めており、その結果、安定的な登校につながった事例があります。一方で、より通室しやすい教育支援室となるよう、更なる支援体制の充実に努めていく必要があるものと捉えております。

次に、校内別室指導の効果につきましては、不登校傾向にある児童・生徒にとって、安心できる居場所となり、個に応じた学習指導や自らの学習活動の幅を広げることが可能となっております。課題といたしましては、児童生徒の安定的な通室につながるよう、更なる支援の充実に努める必要があるものと捉えており、学校の実態等を把握する中で、支援の充実につなげてまいります。

次に、オンライン教育支援センターにつきましては、仮想空間上での学習支援やコミュニケーションの機会を不登校児童生徒に提供できる方策の一つとして、導入している自治体があることは認識しております。また、既存の公共施設を居場所とする取組につきましては、不登校児童生徒が社会につながる機会を確保することが可能となる支援策と認識しており、他自治体の取組状況や効果、課題等について検証する中で、実現の可能性について検討してまいります。