2015年9月議会 篠原ゆか 一般質問報告 ① 高額療養費について
篠原ゆかの9月議会の一般質問とその答弁の速報を報告します。
【篠原質問】
只今議長のご指名を頂きました。通告に従い一般質問を始めさせていただきます。
今回私が質問させていただきたいのは昭島市の高額療養費について、子どもたちの学習支援について、生物多様性地域戦略についての三点です。趣旨をお汲みとりいただき明確な答弁をお願い致します。
それでは大綱1、高額療養費についての質問を致します。高額療養費は病気により病院に長期入院をしている場合等、高額な医療を受ける場合には、医療費の自己負担が高額になる場合が多々あります。 そのような場合に、家計の負担を軽減させるための措置として、自己負担限度額を超えた分の医療費が返還される制度です。自己負担限度額は、それぞれ個人の年齢、世帯、所得状況に応じ、高額療養費の支給額は、 1ヵ月に医療機関に支払った自己負担額から自己負担限度額を差し引いて決まります。高額療養費制度を利用するための手続きには、病院・診療所などの領収書、保険証、印鑑、銀行などの通帳、等が必要になります。たとえば、国民病と言われるガン・脳卒中・心臓病では、最低でも治療費が50万円以上はかかると言われています。仮に、ある月の医療費が100万円かかったとすると、自己負担割合は3割なので、窓口で支払わなければならない金額は30万円にもなります。しかし、こうした場合でも高額療養費の制度があるおかげで、一般的な所得の人であれば、1カ月あたりの医療費は約、8万円ほどに抑えられることができます。平成19年4月より70歳未満の方でも入院に限り所定の手続きを踏めば高額療養費を病院等の窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができるようになりました。この制度を利用する為には、事前に「健康保険限度額適用認定証」の交付を受ける必要があります。認定証の発行は保険者に問い合わせが必要であり、その認定証と保険証を病院に提示することが必要です。このように高額療養費はできる限り多くの人に医療サービスを提供する素晴らしい制度ではありますが、いくつか問題点があります。高額療養費制度は後払いの制度で、申請しても実際に支給される(お金が支払われる・払い戻される)のは3~4カ月以上になります。その間は多額の医療費を立て替えておく必要があります。これは、入院で限度額適用認定証を忘れた場合も同様であります。なお、こうした問題を補ってくれるのが無利子の高額療養費貸付制度や高額療養費の現物支給となります。また、高額療養費制度は自己申請の制度で、自分で申請しなければ高額療養費として払い戻されません。各健康保険とも上限額を超えた人には通知をするようにしているとのことであるが、徹底はされていないようです。そのため、申請されていない金額は数十億円にも及ぶと言われています。支給を受けることができる権利が時効消滅するには2年あるので、過去に高額な医療を受けたがまだ高額療養費の支給を受けていない人もまだ間に合うかもしれないのです。高額療養費制度は保険者によってその具体的な運用が異なっているので、注意が必要であるということです。
そこで質問です。
細目1、現状についてです。国民健康保険で昨年高額療養費制度を利用された人の数、そのうち適用限度額認定証を利用された人の数、適用限度額認定証を利用されなかった方の数、何故適用限度額認定証を利用されなかったかの理由をお聞かせください。また、無利子貸し付けを利用された人の数についてお答えください。
細目2、窓口での市民の方への対応についてお聞きします。特に適用限度額認定証の申請を忘れた方に対しての窓口での対応の仕方を教えてください。細目3高額療養費の受領委任払いについてお聞きします。受領委任払いとは、給付の受け取りをサービス事業者に委任することにより、利用者が事業者に対して自己負担額のみを支払うようにする制度のことです。つまり、費用の全てを事業者に支払った後で、市から9割分が払い戻されていましたが、受領委任払いを利用することにより、利用者は自己負担額を支払うだけで、残りは市から事業者へ支払われますので、利用者の経済的負担が軽減されるというものです。 昭島市はこの受領委任払いに取り組むお考えはありますか。お答えください。
【答弁者:保健福祉部長】
ご質問の1点目、昭島市の高額療養費についてご答弁申し上げます。
はじめに、現状についてであります。
被保険者の負担する一部負担金は、医療の高度化などにより、著しく高額になることも少なくありません。高額療養費は、このような場合にも、国民健康保険が医療保険として十分に機能し、被保険者の負担を軽減する制度となるように、所得階層などにより定められた自己負担限度額を超えた部分について、保険給付として支給する制度であります。
この制度の支給方法は、二通りございます。一つは、あらかじめ市に申請をし、限度額適用認定証の交付を受け、医療機関の窓口に提示することにより、現物給付として受ける方法です。もう一つは、医療機関の窓口で一旦自己負担額を全額お支払いいただき、後ほど市に申請をして還付を受ける現金給付の方法です。
限度額適用認定証の即日交付を行っていることや、現金給付に関しては、東京都国民健康保険団体連合会の審査に時間を要し、対象者への通知に3カ月ほどの期間を要することなどから、限度額適用認定証を活用する方が被保険者にとって負担の少ない制度となっております。
平成26年度における、高額療養費制度の実績でございますが、適用件数が約1万4千件、給付額は、約8億8千万円、限度額適用認定証の交付を受けられた方は、約1千人となっております。なお、限度額適用認定証を利用されなかった方の人数やその理由につきましては、把握をいたしておりません。
また、本市では、現金給付に時間を要することなどから、高額療養費等資金貸付基金を設け、高額療養費の無利子貸付制度を運用しております。しかしながら、限度額適用認定証の活用などにより、近年、高額療養費に関し、貸付制度を利用される方は著しく減少し、平成26年度の申請件数は、1件となっております。
次に、窓口での市民の方への対応についてであります。
高額療養費の申請に来庁された方につきましては、支給事務の流れとともに、限度額適用認定証制度などについてもご案内を行っております。また、毎年8月に、認定証が切り替えとなる際には、前年度利用された方には、ご案内を送付いたしております。引き続き、広報やホームページなどを活用した周知を継続いたすとともに、様々な機会を捉え、制度の周知の徹底に努めてまいります。
最近は、医療機関の窓口などでの制度の徹底が図られてきており、医療機関により対応は異なりますが、限度額適用認定証をお忘れになった場合などでも、市の担当に電話等で照会をいただき、現物給付が受けられるケースも多くなっております。医療機関において、こうした対応ができない場合は、現金給付の制度をご利用いただくこととなります。
次に、高額療養費の受領委任払いについてであります。高額療養費の受領委任払い制度につきましては、同様の取組として限度額適用認定証制度及び高額療養費の貸付制度を実施していること、また、受領委任払いは、被保険者自身が事前に医療機関との合意を得て申請を行わなければならないこと、更には、実施する医療機関すべてと、保険者とが協定や契約を締結する必要があることなどから、現時点において、新たに実施する考えはございません。