2018年9月議会 おおたけ貴恵 一般質問報告 ①「災害モード」をもつ社会に取り組もう
おおたけ貴恵の9月議会の一般質問とその答弁を報告します。
昭島市のインターネット映像配信からは、再質問含めご覧頂けますのでご利用下さい。http://smart.discussvision.net/smart/tenant/akishima/WebView/
【おおたけ質問】
だいま議長の指名を受けました。通告に従い、一般質問を行わせていただきます。
大綱1.「災害モード」を持つ社会に取り組もうについてお聞きします。
今年6月18日は通勤時の大阪北部地震、7月6日から8日に西日本豪雨、7月28日30日の台風12号は東から西へと動き、甚大な被害をもたらしました。いまだに被災地の状況は厳しく、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、 被害に遭われた方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。
さて通勤時の地震、広域・連続集中豪雨は、迷走台風は何を教えてくれたのでしょうか。災害心理学者の元吉氏は、大阪北部地震の鉄道利用者の行動を調査しました。500人のうち出勤した人は6割、帰宅した人は4割だったそうです。そこから見えた結果を、「社会の方向を変えることが必要、リスクの判断ではなく、社会のタイムラインをつくるべき」と指摘しています。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺氏も「災害モードという社会システムをつくるべき、災害モードを確立することが実被害を減らせる最良の災害対策ではないかと指摘しています。
先日、女性防災ネットワーク・東京のキックオフがアウトドア用品を扱う会場でありました。性別や子育て、福祉、障害、多文化共生など、多様な視点に立った防災学習・人材交流を通して東京の防災をもっと豊かにしたいと多様な専門分野の方々とのネットワークの構築をおおぜいで共有しました。
また西東京市では市の若手職員研修の一コマとして、市民とともに避難所運営を考えるワークショップをしていました。講師は浅野幸子氏で、8月29日に東京都が主催した「防災分野における女性の活躍に向けた取組」の講師でもあります。70名以上の参加の中、半数が西東京市の若手職員、そして半数がNPOや地域で活動する西東京市民が同じテーブルにつき、例えば避難所に「目の不自由な方」「体の不自由な方」「病気の方」「乳幼児のいる方」「外国人」などが何に困って、地域の資源、固有名詞で解決できる資源を考えました。市の職員も多様な部署の参加で、ある介護福祉に携わる職員は、例えば避難所に段差があった場合、それを解決する資源として、大工仕事ならば地域の施工業者の○○さんを紹介できるという発言をしていました。いざ災害となった場合、市の職員がすべての避難所に駆け付けられるわけではありません。地域にはどれだけの資源があり、固有名詞を知っているかということが鍵であることもわかりました。
また西日本豪雨の土砂崩れでお困りになっている地域へ泥かきのお手伝いに参加しましたが、そこで感じたのは日ごろのコミュニティの大切さでした。そこで質問します。
細目(1)「災害モード」をもつ社会への基本的な考え方、昭島市の役割をどのように考えていますか。
細目(2)避難所は、国際基準のスフィア基準の視点を取り入れよう についてお聞きします。
➀避難所運営マニュアルの検証状況を教えてください。
東京都が今年3月28日、「避難所管理運営の指針」を改訂・公表しまいした。2016年の熊本地震、2018年大阪北部地震、西日本豪雨等、多くの災害の教訓から、この間どのような検証がされ、どのように市は地域の避難所運営委員の方々と進めていきますか。とくに多様性の配慮をどのように取り入れていきますか。
②避難行動要支援者への支援について、昨年12月に自治会連合会から自治会へ協力依頼が行われました。避難行動要支援者について、地域ぐるみで取り組むことへの自治会の協力はえられるのでしょうか。
③避難所におけるスフィア基準について昭島市の基本的な考え方を教えてください。まずは昭島市の現状を教えてください。
・スフィア基準では、1人あたりのスペースは、最低3.5平方メートル確保することとあります。昭島市の現状はどうですか。3.5平方メートルはおよそ2畳分。寝返りをうったり、スペースを保ったりするために最低でもこのくらいは必要だとされています。熊本地震の避難所では、避難者1人あたりのスペースが1畳ほどしかない場所もありました。
・次にトイレについて、スフィア基準では「20人に1つの割合で設置」です。トイレ設置にあたり、男女比も考えていますか。昭島市の現状を教えてください。
・目が不自由な人、耳が聞こえない人、車椅子の人、乳幼児がいる人、外国人、LGBTの方等、多様な人が避難所にくることが想定されます。昭島市ではそのような方々の声をどのように避難所運営マニュアルでは活かしていますか。また検証をしていますか。
・平成26年第一回定例会で私は一般質問において、災害時に妊産婦や乳児を守るため、妊産婦・乳児専用の「母子救護所」を設置し、助産師等との連携で心身のケアに当たる母子避難所について考えることについてお聞きしました。その後進捗状況はどのようになりましたか。昨年厚生文教委員協議会で災害時の応急救護活動における妊産婦及び乳児のケアに関する協定書を公益社団法人東京都助産師会北多摩第一地区分会と締結しました。私は、厚生文教委員協議会でも一歩すすんだことを評価しました。
・避難所の生活用水は足りているのでしょうか、昭島市の考え方をお聞かせください。
細目(3)防災井戸の周知への取り組み状況について、お聞きします。
防災井戸の周知への取り組み状況は、毎回お聞きしています。協力いただける市民の方など調査は終わっているかと思います。どのように周知をしますか。進捗状況を教えてください。
細目(4)防災のための家具の固定は原状回復義務が免除(事例:港区)から学ぶ取り組みについて、お聞きします。
港区では家具転倒防止対策を強化するとして、区営住宅などについて、家具転倒防止機器取り付けによる原状復帰義務を免除したほか、これまで高齢者や障がい者世帯を対象にしていた家具転倒防止器具の無償取り付けを、妊産婦を含む世帯とひとり親家庭までに拡大しました。一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会が作成する「原状復帰のガイドライン」によると、賃貸住宅の借り手が所有するエアコンの設置による壁のビス穴などは「通常の住まい方で発生するもの」と見なされ、借り手に原状復帰義務はありません。一方で、大地震などの災害時に家庭内でけがを防止するために重要とされる家具転倒防止器具の取り付け時に発生する穴などに関しては、現在は借り手側に原状復帰の義務があり、家具転倒防止普及の妨げの一因とされてきた。港区では、賃貸住宅の転倒防止器具の取り付けを普及させるため、区営住宅など区が管理する賃貸住宅で原状復帰義務免除を開始したのです。
そこでお聞きします。
➀昭島市の市営住宅での取り組みの現状をおきかせください。
・エアコン設置は原状回復義務がありますか。
・防災のための家具固定は原状回復義務がありますか。
②港区の事例について、先ほど縷々述べました。防災のための家具の固定への原状回復義務が免除した事例を昭島市も進めていくべきと私は考えますが、市はどのように考えますか。
【答弁者:市長】
災害は忘れた頃に、また思いもかけない所で発生すると言い伝えられてきましたが、昨今では、忘れないうちに次から次へと甚大な被害が伴う災害が各地で発生し、改めて大自然の猛威を感じざるをえないところであります。
本年は、6月に大阪北部を震源とする地震が発生をし、ブロック塀の倒壊などにより5人の方がお亡くなりになり、400人以上の方が負傷いたしました。そして、平成30年7月豪雨では、河川の氾濫や土砂災害により200人以上の犠牲者を出す平成最大の豪雨災害となり、その後も連続して発生した台風の大雨などにより多くの被害が日本列島にもたらされたところであります。
ここに、犠牲となられました方々のご冥福をお祈りし、ご家族の皆様に衷心よりお悔やみを申し上ますとともに、負傷者や被災者の方々へ心からお見舞い申し上げたいと存じます。
このような自然災害が発生いたしますと状況はめまぐるしく変化するとともに、その中で自分がとるべき最適な行動も刻一刻と変化してまいります。自然災害を100%防ぐことは不可能でありますが、災害に際して市民の皆様の安全を確保するためには,正確かつ迅速な情報伝達や情報提供が被害を最小限に抑えることとなり、最も重要であると考えております。
そのため市では、平成23年度から全国瞬時警報システム(J―アラート)の運用を開始し緊急地震速報や先月27日に世田谷区で発令されました記録的短時間大雨情報などの緊急情報を瞬時に市民の皆様に伝達できるよう整備するとともに、大規模災害時には、情報を求める方により市のホームページに大量のアクセスが集中し、繋がりにくくなることがあるため、「災害モード」に切り替え、避難勧告や避難指示など市民の皆様が必要とする情報を発信することとしております。
また、今回実施いたしました市の総合防災訓練におきましても、実際の発災を想定し、災害対策本部設置・運営訓練や避難所開設・運営訓練などを実施いたしているところであります。
いずれにいたしましても、震災や風水害に限らず、さまざまな事態を想定する中で、災害等が実際に発生した際には、被災者の支援を全職員が全力で行ってまいります。
【答弁者:総務部長】
ご質問の2点目、避難所は国際基準のスフィア基準の視点を取り入れようのうち、「避難所運営マニュアルの検証状況」についてであります。
避難所運営マニュアルについては、策定からようやく2年が経過し、今年度も、各学校避難所運営委員会がすでに活動し、訓練が計画されているところであります。
このように活動を重ねていく中、国内では大きな災害が多発しており、報道等においても暑さ対策や支援物品の管理等、避難所に関する教訓が報じられ、いまだ実災害における避難所運営の難しさを感じているところであります。先般、東小学校で行われました総合防災訓練におきましても、災害対策本部訓練など種々の実戦的な訓練が執り行われるなか、同様に避難所運営に係る実戦的な訓練において、運営マニュアルの検証を避難所運営委員会とともに鋭意行っているところであります。
また、避難所におけるニーズの多様性については、女性の視点での検討をするよう東京都が示す「避難所管理運営の指針」にも従前から示されており、本市が策定した運営マニュアルにも反映されているところでございます。今後も、引き続き運営委員会と連携し、運営マニュアルの実効性について検証を継続してまいります。
次に、避難行動要支援者への支援についてであります。
現在、避難行動要支援者名簿の策定に関するシステムの導入を進めており、年度内には、名簿のとりまとめが完了する見込であります。
また、これと並行いたしまして、平常時からこの名簿を活用していただく避難支援等関係者と、名簿の活用について調整を行っております。自治会もその対象の一つとなっており、これまで、自治会連合会を中心として、数回の説明の場を設定するなど、精力的に協議を進めております。引き続き、支援制度を十分に理解した上で、協力をしていただけるよう、きめ細かな対応に努めてまいります。
次に、避難所におけるスフィア基準についての昭島市の基本的な考え方についてであります。
スフィア基準は、すべての人道支援に共有される土台として、人道憲章、権利保護の原則、コア基準が設けられているほか、さらに、生命保護のために必要不可欠な四つの要素として、(1)給水、衛生、衛生促進、(2)食糧の確保と栄養、(3)シェルター、居留地、ノン・フードアイテム(非食糧物資)、(4)保健活動、の各分野における最低基準が示されているものと理解しております。
一方、昭島市における避難所や避難所に係る備蓄品等については、東京都が示す「避難所管理運営の指針」に基づき配備している状況でございます。ご指摘のありましたスフィア基準につきましては、平成28年4月に改正された内閣府が示す「避難所運営ガイドライン」に参考にすべき国際基準として紹介されたことから、今後は東京都の動向を注視しながら、学校避難所運営マニュアルに反映させるなど避難所運営を推進してまいります。
次に、昭島市の現状についてであります。
スフィア基準では、1人当たり3.5平方メートルであるのに対し、昭島市における避難所で確保すべき居住スペースの面積は、東京都が示す「避難所管理運営の指針」に基づき、大人2人あたり約3.3平方メートルとされています。また、トイレについては、昭島市では同様に都の指針に基づき、避難者75名当たり1基配備されています。なお、内閣府の「避難所運営ガイドライン」では、50名当たり1基、同じく内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」では、避難所開設初期では約50名当たり1基、避難が長期化した場合、約20名当たり1基とされています。
次に、多様な人が避難所に来る可能性があるが、それをマニュアルにどう活かしているか。また、検証しているか。についてであります。
現在の各学校避難所運営委員会の構成において、女性の視点からの避難所運営を行うために、女性の委員に参画をしていただいております。また、運営マニュアルにも、更衣室等の別、入浴時間の管理等女性に配慮した内容が盛り込まれております。要支援者のうち、障害をお持ちの方への配慮に係るご意見を頂戴するため、地域にお住いの障害者関係団体の方にもご参画していただいております。
外国人の方への対応については、現行の運営マニュアルにおいて、多言語による情報提供を行う等の記載がありますので、各避難所運営委員の皆様に対しまして改めて周知してまいります。
性的マイノリティーの方に対しては、現行の運営マニュアルには特段の記載がございません。ご質問にあります、今年3月に改訂された東京都「避難所管理運営の指針」には、トイレや入浴等、性的マイノリティーの方に関する配慮が盛り込まれましたので、今後は、各学校避難所運営マニュアルに反映し、適切な対応をとれるよう周知してまいります。
次に、母子救護所についてであります。
学校避難所運営委員会等における、女性の視点からの議論を踏まえ、学校避難所運営マニュアルにおいては、避難されてきた妊産婦の方、乳幼児をお連れの方に対するケアとして、一般の方等とは別の居住スペースを確保し、授乳室や子ども遊戯室等を気兼ねのないような場所に設置する等の配慮をすることとなっております。
また、ご質問にありますとおり、協定に基づく応急救護活動の一環として、公益社団法人東京都助産師会による妊産婦の方への応急介護を、昭島市医師会との連携のもと行うこととしております。
今後におきましては、先般行われました昭島市総合防災訓練等、機会を捉える中で市民の方々への周知を図ってまいりたいと考えます。
次に、防災井戸の周知への取り組み状況についてであります。
以前からご質問をいただいているところでありますが、今年度中には、井戸所有者にご了承を得た上で、ホームページへ掲載することとしておりますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。大変遅くなりまして申し訳ございません。
【答弁者:都市計画部長】
ご質問の1点目、「災害モードをもつ社会に取り組もう」のうち、4点目の家具固定金具の原状回復義務の免除から学ぶ取り組みについて、ご答弁申し上げます。
近年の地震による負傷者のうち、30〜50%の原因と言われています家具類の転倒・落下・移動の防止対策は、昭島市地域防災計画において、自助による市民の防災力の向上の取組みの1つとして掲げています。
また、家具類を壁にL型金具でネジ止めをする方法が最も確実なため、本市は、公益社団法人昭島市シルバー人材センターと協定を結び、安価で金具を取付ける制度を設けております。
一方、賃貸住宅においては、通常は契約で、経年変化や通常消耗を除き、賃借人が賃貸借契約終了後に物件を原状に回復する義務を負うこととなります。
ご質問の昭島市営住宅における原状回復義務についてでございますが、エアコン設置に伴うネジ穴等は、賃借人にその補修を求めておりません。
また、家具転倒防止金具の設置に伴うネジ穴につきましては、これまで事例はございませんが、家具転倒防止金具の使用は、本市として薦めている市民の生命の安全に寄与する対策の1つでございますので、退去時の原状回復の免除に向け、入居時に配布しております「生活のしおり」の修正等を行ってまいります。