2019年12月 篠原ゆか 一般質問② 「LGBTQ/SOGIへの支援をすすめよう」について

大綱2、LGBTQ/SOGIについて質問します。

すでにご存じかとは思いますが、LGBTは「レズビアン(女性同性愛者)」、「ゲイ(男性同性愛者)」、「バイセクシュアル(両性愛者)」、「トランスジェンダー(性別越境、性別違和)の頭文字をとって名付けられました。 とくに、トランスジェンダーの概念は幅広く、心の性別と体の性別が一致しない方は、FTM(Female To Male=女性から男性)やMTF(Male To Female=男性から女性)と呼ばれ、心の性別がなく、無性・中性として生きている方は、FTX(Female To X)やMTX(Male To X)と、細かく分類されます。 これらの呼称は、自らのことをポジティブに語る用語として北米・ヨーロッパで生まれ、現在では世界中で使われています。

LGBT 総合研究所が2016年に実施したマーケット調査によると、LGBT に該当する人は8.0%というデータがあります。

LGBTは「レズビアン」、「ゲイ」、「バイセクシュアル」、「トランスジェンダー」の4つに限られた名称になり、その他のマイノリティは含まれていません。 例えば、 ・インターセックス(I)=性分化疾患。性腺や染色体、外性器の形状などが、解剖学的に男性/女性の身体はこうであるという固定観念とは生まれつき異なる状態 ・アセクシュアル(A)=無性愛者(同性も異性も好きにならない) ・クエスチョニング(Q)=自分の性別や性的指向に確信がもてない、または決めることに不安を感じている状態 などのマイノリティがあります。そして、SOGIは、Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)の英語の頭文字をとった頭字語(イニシャル言葉)です。読み方は「ソジ」が一般的ですが、「ソギ」とも言うようです。LGBTという言い方では、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルは性的指向についてのマイノリティ、トランスジェンダーは性自認についてのマイノリティであるということが伝わらず、「ゲイの人は、心は女性で、女性になりたがっている」などという誤解を招くこともある(性的指向と性自認がごっちゃになりがちである)ため、「性的指向および性自認」という概念(性の要素、尺度)を表す言葉として生み出されました。また、性的指向および性自認は、セクシュアルマイノリティに限らずすべての人に関わる(ヘテロセクシュアル異性愛、異性愛者ストレートとも呼ばれるものもシスジェンダー生まれたときに診断された身体的性別と自分の性自認が一致し、それに従って生きる人も含む)概念であることから、「LGBTの問題であってストレートには関係ない話」ではなく、誰にでも関係があるということです。SOGIについて考えてみると、異性愛は多様な性的指向の一つにすぎず、シスジェンダーも多様な性自認のありようの一つであることがわかります。2011年頃から国際社会で使われるようになり、日本でも2015年頃から紹介されはじめました。2017年のレインボー国会では、SOGIに関連する差別やいじめ、いやがらせ、ハラスメントを指す「SOGIハラ」という言葉が提唱されました。なお、SOGIは、LGBTに代わる新しいセクシュアルマイノリティの総称ではありませんので、「SOGIの人」といった言い方は誤りです。「SOGIに関するマイノリティ」とか「SOGIに関する差別の解消」「SOGIハラ」という使い方になります。
ちなみに、LGBTが現在、LGBTQとかLGBTQ+といった言い方になってきているように、SOGIについても、SOGIE(ソジー)という言い方に変わってきています。EはGender Expression(性表現)のEです。多様な性の一つでしかない異性愛や身体的性別と性自認が一致している人たちが当たり前とされてきたことによってそうでない人たちは社会生活を送ることが困難な場合が多くあります。偏見や差別の目から、学校、職場、家庭で孤立する、いじめやハラスメントを受ける、パートナーとな法的な家族になれない。アウティングされるなど、様々です。LGBT/SOGIへの理解をさらに深め、すべての人たちが自分らしく生きられる社会にするためにも、しっかりと理解を深め、困難を抱える人には寄り添い、支援をすることが必要です。今まで何度か質問を行ってきましたが、その後どのようになっているのか進捗も含め質問を行いたいと思います。

 

細目1職員、教職員向けガイドライン制定、研修について市の考えをお聞かせください。

 

【答弁者:総務部長】

ご質問の2点目LGBTQ/SOGIへの支援をすすめようについてのうち、1点目の職員、教職員向けガイドライン制定、研修についてご答弁申し上げます。

性のあり方は多様であり、一人ひとりの人権に関わることであるため、LGBTQをはじめ多様な性的指向・性自認(SOGI)への理解や正しい知識を身につけ、性のあり方は多

様であることに配慮した適切な言動や行動が求められていることは、認識しているところでございます。

職員におきましては、接遇研修やハラスメント防止研修の中でLGBTについて採りあげており、職員相互やお客様一人ひとりの人権への配慮に努めているところでございます。   また、今年度は、東京都市町村研修所でLGBTをテーマに実施される人権啓発研修にも職員を派遣する予定でございます。

全ての職員向けに研修を実施することは、困難性がございますが、今後も、職員がLGBTQをはじめ多様な性的指向・性自認(SOGI)への理解や正しい知識を身につけられるよう、機会を捉えて研修を実施してまいります。

また、ガイドラインの制定につきましては、先行自治体などの取り組み状況を確認しながら、調査・研究をしてまいります。

 

【答弁者:学校教育部長】

ご質問の2点目「LGBTQ/SOGIへの支援をすすめよう」のうち、1点目の「職員、教職員向けガイドライン制定、研修について」ご答弁申し上げます。

学校教育における LGBTQ/SOGIの対応については、教職員が偏見等をなくし理解を深めることが大切であります。教育委員会では、平成29年度に、各小・中学校の人権教育推進担当教員が参加する人権教育研修会において、当事者を講師としてお招きし、 LGBTQ/SOGIについて体験談をお聞きしたり、意見交換をしたりして理解を深めました。また、各小・中学校では、東京都教育委員会が全教員に配布している「人権教育プログラム」等を活用した研修を実施しております。

実際の児童・生徒への対応につきましては、文部科学省から平成27年4月30日に通知された「性同一障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施について」に基づき、当事者である児童・生徒が自分らしさを発揮でき、生き生きと学校生活が送れるように保護者や関係機関と連携を図りながら適切な支援を進めるよう周知しております。

 

 

細目2宣言や条例制定についての考えはないのでしょうか、お聞かせください。

 

【答弁者:政策担当部長】

ご質問の2点目、LGBTQ/SOGIへの支援をすすめようのうち、2点目の性の多様性を尊重する社会へ向けた取り組みについて、ご答弁申し上げます。

昨今では、性的マイノリティは、社会において徐々に理解が広がりつつありますが、一方で、LGBTやSOGIなどを理解していないがゆえに、興味本位や偏見の目で見てしまう方も多く、これが差別につながり、社会生活の様々な面で、人権にかかわる問題も発生しているものと認識しております。

 

性の多様性につきましては、さまざまな考え方があると存じますが、そうしたことから人権侵害につながることは決して許されるべきものではなく、正しい知識の普及、また偏見や差別の解消を目指した啓発がまずもって重要なことであると考えております。

ご質問の宣言や条例制定についてでありますが、都内においては、武蔵野市におけるレインボーむさしの宣言、国立市や多摩市における男女共同参画に内包した性の多様性に関する条例、また、港区ではパートナー制度を規定した条例制定に向け取組が進められていることは承知しており、社会から孤立している可能性のある性的マイノリティを自治体として理解し支えるための制度であると理解しております。

本市といたしましては、令和3年度からの次期男女共同参画プランの策定過程において、国や東京都はもとより、他自治体の取組状況に注視をいたし、社会状況の変化も捉える中で、人権尊重の視点をもって、研究してまいりたいと考えております。