2021年3月議会林まい子一般質問概要 ①望まない妊娠に対する施策とにんしんSOS事業について

◆林まい子 ただいま議長の指名を受けましたので、通告に従い一般質問を始めさせていただきます。
大綱1 女性の生きやすいまちづくりについて問う
国連サミットで、「誰一人取り残さない」ことを誓い採択された、持続可能な開発目標、SDGsに掲げられるゴールでは、ジェンダーの平等が定められています。しかし、国連は、「女性と女児は依然として、世界各地で差別と暴力に苦しんでいる」としており、性差を強調しなければならないのが残念ですが、女性であることで社会的経済的に弱い立場においやられる現状があります。
とくに緊急時にはまず弱者が困難な状況になる社会であること昨年から実感をするなかで、自ら命を絶つ女性や女子高生増加の報道には、大変な衝撃を受けました。
昨年7月~10月、第2波での自殺数は女性が37%増で男性の約5倍。家庭内での時間が増えた母親に過度な負担がかかったことも一因とみられています。
また、昨年自殺をした小中高生は過去最多で、特に女子高生が前年比約2倍以上。最多の動機はうつ病と把握されています。
加えて、内閣府によると、昨年4月~12月のDV相談件数は、前年同期比の約1.5倍増。NPO法人全国女性フィルターネットが先月だした「性的DV・パートナーからの性暴力についての声明」からは事態の深刻さも伺えます。

なぜ一人の人間として大切にされることなく、暴力を受けなければならないのか。
また、最終的に自ら生きることを辞める選択をした過程はどのようなものであり、生前周囲にSOSを出せまた受け止めてもらえたのか。これまで以上に力を入れて、予防措置を講じてゆかねばなりません。

一方、性暴力に抗議するフラワーデモが全国に拡がり、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の発言が国内外からの批判を招いたように、女性の人権意識は着実に変化しています。性別問わず生きやすい社会となるよう、私たちからもできる限りの後押しを、いまするべきです。

今回質問では、産後1年の死因で自殺が多い産婦の支援、またコロナ禍で相談件数が増加する若年層の望まない妊娠に焦点をあてます。

細目1 望まない妊娠に対する施策とにんしんSOS事業について
女性が妊娠含め人生を自己決定できるよう普及啓発をするNPO法人ピルコン代表のお話を伺う機会がありましたが、昨年の休校を境に、10代による妊娠の不安や避妊など月あたり相談件数が約2倍増と連絡が連日きて、他団体の妊娠相談事業についても、中高生はじめ10代の相談数が大幅に増加したそうです。望まない妊娠は、人工妊娠中絶、虐待死に繋がる可能性が高まります。また、若年である程、本人が抱えきれない苦悩の大きさであるはずです。この事態に対して、どう向きあうか、質問をさせて頂きます。
一点目、望まない妊娠に対する市の施策を教えて下さい。

【答弁 市長】妊娠、出産、子育てを家庭のみに任せるのではなく、生活している地域で、包括的な支援を図り、孤立化を防止することが大変重要であると認識をいたしております。こうした取組の中核を担う施設として整備したのが、子育て世代包括支援センターであります。
子どもたちが、親への信頼を実感し安心して暮らしていけることは、心身の健全な成長を育み、成人後の健康リスクの軽減にもつながります。
子育て世代包括支援センターは、利用者の目線で、継続的な支援に取り組み、子育て家族との信頼関係を築き上げていきます。また、包括的な支援を通じて、妊産婦や乳幼児、また、その家族の生活の質を改善し、良好な生育環境の実現と維持を図っていきます。
近年は核家族化が進展し、自分の親族から距離的に離れたところで妊娠や出産をすることは、まれなことではありません。引き続き、子育て世代包括支援センターを中心として、産前産後における支援策の充実と強化を図り、子育てがしやすいまち昭島の実現に努めてまいります。

【答弁 保健福祉部長】ご質問の1点目、女性の生きやすいまちづくりについてご答弁申し上げます。
はじめに、細目1の望まない妊娠に対する施策とにんしんSOS事業についてのうち、望まない妊娠に対する施策についてであります。
若年層における妊娠が増加しており、また、これに連動するかのように20歳未満の人工妊娠中絶も増加傾向を示しております。本市では、妊娠SOS相談事業を実施し、望まない妊娠に対する支援に努めておりますが、例年、10代の妊婦から出産に関わる心と体、生活など多岐にわたる相談を受けております。こうした支援を行う中では、予期せぬ妊娠に困惑しながらも、子どもの誕生を喜ぶ姿がある一方で、産み育てることができないことから、やむをえず中絶を行い、心と体に深い傷を負われる方もいらっしゃいます。
望まない妊娠に対する支援策につきましては、相談支援を中心として、妊娠に悩む人の立場を踏まえ、気持ちに寄り添った対応に努めております。

 

◆林まい子 二点目、にんしんSOS事業の市民への周知、また、日本の性的同意年齢は13歳であるところ生徒への同事業の周知について教えて下さい。

【答弁 保健福祉部長】こうした相談窓口の市民への周知についてであります。
周知につきましては、ホームページの活用を図るとともに、にんしんSOSの連絡先を記載したカードを公共施設へ設置するとともに、市内の一部薬局等において、妊娠検査薬の売り場近くに相談窓口を記載したカードの設置をお願いするなど、手に取りやすい身近な場所で、情報に触れることができるように努めているところであります。また、LINEやチャット、電話相談などの連絡先を掲載したリーフレットを、学校を通じて児童、生徒に配布しております。

【答弁 学校教育部長】1点目の望まない妊娠に対する施策とにんしんSOS事業について御答弁申し上げます。
生徒への妊娠SOSの周知についてでありますが、心と体の相談を含め、困ったとき全般の相談先を掲載した一覧を、夏季・冬季・春季休業前の年3回、更に必要に応じて全児童・生徒に配布して周知を図っております。
その一覧には、電話・メール・LINE等で相談に応じてくれる相談先を掲載しております。
これに加え、今年度からは、女性の様々な悩みに、女性カウンセラーが秘密を厳守し無料で相談に応じる「ひとりで悩んでいませんか?」の相談窓口カードを、小学校では高学年の児童、中学校では全生徒に向けプライバシーが守られ、手に取りやすい場所に配置し、相談先の周知を図っております。

◆林まい子 三点目、利用する年代や主な相談内容と、コロナ禍での相談件数の動向を教えて下さい。

【答弁 保健福祉部長】次に、妊娠相談を利用する年代や主な相談内容、コロナ禍での相談件数の動向についてであります。
令和2年度には、10代、30代、40代の妊婦から相談を受けております。相談内容といたしましては、外国人妊婦の出産に関することや、出産費用など経済的な悩み、また、妊娠を親に相談できないことなどが、主なものとなっております。コロナ禍による相談件数への影響は、あまり見られておりませんが、コロナ禍における妊娠についての相談はございました。

 

◆林まい子 細目2 産前産後支援の更なる充実について 
核家族化が進んでいます。また、毎日の生活をまわすのに精一杯で地域で繋がりを持つ物理的心理的余裕がなく孤立化し、総じて親子間でストレスフルな関係となりやすい社会状況であることは、身近に親がいない私自身も特に産前産後の時期に体験をしました。厚生労働省研究班によると、産後1年までの妊産婦の死因は自殺が最も多くその原因を産後鬱とみていますが、本来喜びも多いはずの育児スタート後に自殺まで発生する状況に届く施策が必須です。
新型コロナウイルス感染対策は、育児不安・孤立化に拍車をかけ、妊産婦いずれも約3倍増の3割程度「うつ」状態であることが判明、調査にあたった横浜市立大学教授は「母親たちを孤立させない取り組みが急務であり、適切な相談窓口の設置や、新生児を抱える母親の目線に立った育児相談の充実が必要」と指摘しました。
市では先駆的に産後ケアに取り組み各種支援もしていますが、ハイリスクの方の支援と併せ、産後鬱と常に隣り合わせにある全ての産婦を妊娠期から包括的に支援し、できる限り健やかに子育てができる環境を一層整えることは、子どもへの支援にも直結します。
そこで質問です。
一点目、コロナ禍での産後ケアの利用動向や、利用者アンケートをとるなかで判明した課題を教えてください。

【答弁 保健福祉部長】次に、細目2の産前産後支援の更なる充実についてであります。
はじめに、コロナ禍における産後ケアの利用動向についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の具体的な影響については把握をいたしておりません。しかしながら、感染症の発生初期は、利用が減少した時期もありましたが、全体を通じましては、ご利用への影響はあまり生じていないものと認識をいたしております。

次に、産後ケアに関するアンケートの結果についてであります。
アンケートでは、産後、身近に育児の支援がないことや育児の方法が分からないとのご意見をいただいており、必要に応じ個別の支援につなげております。また、授乳に関わる支援を要するご家庭が増えていることもうかがえます。全体といたしましては、個別の支援に関するニーズは大きなものがあり、速やかな支援が行えるよう、受け入れ施設の拡充なども検討する必要があると受け止めております。

 

◆林まい子 二点目、母子手帳交付時の面談から出産までのあいだ、妊婦の状況を把握し、相談しやすい関係性をつくれるようすべての妊婦に対しどのような接点を持っていますか。また、現在妊産婦の3割程度が「産後鬱」の可能性があるところ、筑波大学の調査によるとうち約3分の2が、自分の状態を認識できていないそうです。ささいな変化にも早く気づけるよう、すべての妊産婦に対してできるだけ同じ保健師や助産師など専門家の担当制を導入できませんか

【答弁 保健福祉部長】次に、相談支援時における妊婦との関係性の構築についてであります。
保健師にとりましては、関係性の構築は支援の第一歩であり、また、そうしたことの専門職でもあります。特段の課題が生じることなく、良好な関係性が構築できているものと認識をいたしております。また、同一の助産師や保健師による支援の実施についてでありますが、妊娠届出時の面談において、妊婦の様々な状況や、支援者の有無などを聞き取り、一人ひとりに応じた支援プランを作成しております。それに基づき、地区担当保健師などが支援を行っており、基本的には、関係性が構築された担当が支援を担う環境は整っているものと考えております。

◆林まい子
三点目、妊婦から切れ目ないサポートをする子育て世代包括支援センターの設置を評価しています。産前からさらに気軽に相談ができるような工夫や積極的な周知について考えを教えて下さい。

【答弁 保健福祉部長】次に、子育て世代包括支援センターにおける相談の工夫や周知についてであります。
子育て世代包括支援センターは、産前から産後まで、気軽に相談ができる場所であることが基本となります。ソフト面につきましては、様々な工夫を続けておりますが、相談場所としてのハード面につきましては、施設が手狭なことなどもあり、いくつかの課題も抱えております。早期の解決が難しい課題ではありますが、相談者のニーズに応えることができますよう、計画的な取組に努めてまいります。また、気軽に相談できる場所であることは、積極的に周知していきたいと考えており、これまでの取組に加えどのようなことが可能となるのか検討を進めてまいります。

 

◆林まい子 細目3 妊娠期から子育て期の講座について
先日、市民の方より、「昨年マタニティクラスが開催されず、周りに知り合いがいないまま出産となりいまにいたる」との声を頂きました。厚生労働省の昨年の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」によると心中以外の虐待死事例では、地域社会との接触について「ほとんど無い」回答が最も多い状況でした。講座は実施内容についての見識を深めるとともに、子育て世帯を繋ぐ役割も果たし、その後の育児を支えあうセーフティネットになり得る可能性もあります。
コロナ禍で身近な親族にさえ助けを求めにくい状況が当面続くと予測しますが、母親を支えるキーパーソンが、もっとも身近にいるパートナーです。しかし、父親もまた産後鬱を発症することがあり支援の必要が指摘されています。夫婦双方にとってよりよい家事育児分担を考える機会を持つことへのニーズは、先日立川市でママパパの子育て応援をしている団体の企画に参加をした際の参加率や意見交換の様子からも実感したところです。そこで質問です。
一点目、コロナ禍で妊娠期から子育て期の各種講座で開催できなかったものがある場合、今後緊急時でもオンライン実施をする予定はありますか

【答弁 保健福祉部長】次に、細目3の妊娠期から子育て期の講座についてであります。
はじめに、オンラインの活用についてでありますが、感染症の発生状況に合わせ、子育て講座の一部を中止いたしましたが、フレッシュパパママ学級や母親学級は、感染症対策を徹底しながら開催したところであります。こうした講座をオンラインで実施することについては、コロナ禍の時期ということだけではなく、課題の一つである父親の参加などにもつながり、有益な取組であると認識をいたしております。オンラインの活用につきましては、通信環境を整えることや、講座内容を構成するなど、一定の準備が必要となります。また、乳児と保護者の体の接触が伴うメニューにおいては講師の指導が正しく届きにくいことや、参加している保護者間のコミュニケーションが図れないことなど、いくつかの課題もございます。保護者のニーズなども踏まえながら、どのような取組が効果的となり、また可能となるのか検討をいたしてまいります。

◆林まい子 二点目、フレッシュパパママ教室について、今後、パートナーのできる限り対等な育児参加を促す内容へ充実をはかるか考えを確認させて下さい。あわせて、産後の気分の下がり方がわからなかった、産後の生活やサービスを事前にもっと把握しておきたかったとの声も聞きます。他の講座の実施機会も捉えて、産後女性の心身の変化やリプロダクティブ・ヘルス/ライツ (性と生殖に関する権利)の概念、市の各種支援について、両親にむけて更に周知啓発できるか教えて下さい。またリプロヘルスに特化した講座実施の考えがあるかも教えてください。

【答弁 保健福祉部長】次に、父親が育児へ参加できる講座の充実についてであります。
オンライン講座についての検討を進めるとともに、引き続き、講座に参加しやすい曜日や時間の設定をはじめ、父親同士の交流の場の提供など、父親となる日を安心して心待ちにできるような講座の開催に努めてまいります。
次に、産後女性の心身の変化についてであります。
こうした変化に関しましては、各種の講座におきましても、若干触れておりますが、産前にこうした変化を知ることができる機会の充実についても検討いたしてまいります。
次に、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについてであります。
現行の男女共同参画プランに基づき、情報誌「Hi,あきしま」へ掲載するなど、啓発や情報提供に努めており、次期プランにおきましても、認識の高まり、意識の浸透が図れるよう取り組んでまいる考えです。
ご質問の各種講座を活用しての周知・啓発につきましては、今後、各々のプログラムの中において、どういった対応が図れるのか検討してまいりますが、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに特化した講座の開催は、現時点において予定しておりません。いずれにいたしましても、男女が共に高い関心を持ち、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて正しい知識が得られるよう、更なる情報提供と啓発に努めてまいります。
次に、市のサービスに関する情報提供についてであります。
ご指摘の各種講座の活用も含め、様々な機会を捉え、妊娠前から出産後の子育て世代に、正しい情報が時期を捉え、的確に提供できるように努めてまいります。

以下再質問概要ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

①望まない妊娠に対する施策とにんしんSOS事業について昭島市では、望まない妊娠に対する施策としてにんしんSOS事業を実施していますが、望まない妊娠をもとからたつ施策が不明瞭であったので確認したところ、保健福祉部からは「性教育をしっかりとやってゆきたい。若年層へは学校との連携が必要で必要なことをきちんと考えてゆきたい。」との答弁。にんしんSOS事業の周知については、学校現場であわせて周知をすることを求めました。内容が学習指導要領の内容と逸脱していなければ学校現場でも周知とのこと。日本では性的同意が13歳。保健福祉部は学校教育部と連携をし、適切な情報提供と、相談してよいということを伝える必要性があると答弁。関係部署がしっかり連携をし対策することは市の責務と考える。相談時間の延長やLINEの活用を提案した。

②産前産後支援の更なる充実について子育て世代包括支援センターの認知度をあげること、相談体制、助産師、保健師の担当制、相談場所をサロンや既存の民間の子育て施設など地域資源と連携して増やすことを提案。構築された関係性を確実な支援につながることが必要だ。

③妊娠期から子育て期の講座について オンラインの実施可能性を確認した。コロナ禍の時期ということだけでなく、課題の一つである父親の育児参加にも繋がり有益な取り組みと認識をしているが、いくつかの課題もある。フレッシュパパママ教室について、今後、パートナーの育児参加を促す内容へ充実をはかるか確認をしましたが、講座に参加しやすい曜日や時間の設定をはじめ、父親同士の交流の場の提供など、父親となる日を安心して心待ちにできるような講座の開催に努めるとの答弁でした。産後女性の心身の変化については、産前にこうした変化を知ることができる機会の充実についても検討してゆくと答弁した。リプロダクティブ・ヘルス/ライツ (性と生殖に関する権利)の概念、市の各種支援について、両親にむけて更に周知啓発できるかも確認した。