2023年12月議会質問(子どもの権利を踏まえた子ども・若者施策の推進、GLP昭島プロジェクトについて)

12月議会の一般質問が終わりました。
1時間の質問持ち時間のなかで、一問一答方式を選び、毎回質問に臨んでいます。
一問一答の再質問前、1回目の質問と市の答弁を以下に書き出します。

再質問については、任期中は市の公式HPからご覧頂けます。
https://smart.discussvision.net/smart/tenant/akishima/WebView/rd/speech.html?council_id=47&schedule_id=2&playlist_id=5&speaker_id=29&target_year=2023

【林質問】
冒頭、2017年当時中学1年生の生徒の自死について一言述べさせて頂きます。昨日昭島市いじめ問題調査委員会調査報告書を読ませて頂きましたが、子どもの権利を守れなかった最たる状況であり、非常に胸が苦しくなりました。これで終わりではなく、今後決してこのようなことがないよう対応を図っていかなければならないと申し上げます。それでは、ただいま議長の御指名を受けましたので、通告に従い、大綱2問の一般質問を始めさせていただきます。

大綱1 子どもの権利を踏まえた子ども・若者施策の推進について

細目1 子ども・若者施策を統括する組織について

世界人権宣言第1条では、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利において平等である」ことを謳っています。これを起点に、子どもが成長途上にあることへの保護や配慮の観点から「生きる権利」、「育つ権利」、「守られる権利」を定めつつ、権利を持つ主体へと子ども観を転換する「参加する権利」を位置づけた画期的な子どもの権利条約が国連総会において採択され、日本も批准しました。しかし、批准国では条約は法律より優位するにも関わらず、子どもは依然として弱い立場にあります。

直近では、新型コロナウイルスパンデミックにおいて子どもたちの尊厳と権利が奪われる事態に対し日本を含む169の国・地域の政府が賛同し「子どもたちを守る」共同声明を発しました。しかし、例えば、一律的な感染症対策ひとつとっても、子どもの遊ぶ内容や体力、対人コミュニケーション、メンタルヘルスなどへの影響が報告されています。国においては、国立成育医療研究センターによる親子の生活と健康への影響の実態調査の結果、小中高生の中等度以上の抑うつ傾向が 2020 年は 6%、2021 年は 11%、2022 年は 13%であり、今後も注意が必要と指摘しています。いじめ、不登校、自殺、児童虐待などの数字も非常に深刻な状況に対し、国はこども基本法に則り子どもの意見聴取と参加を促進しています。大人は子どもの声を聴きながら最善の利益と幸福を保障することに真正面から向き合わなければなりません。

昭島市においては、子ども・若者未来対策推進計画を策定し、子どもの権利や、子ども・若者の社会参加、参画機会の充実を掲げましたが、計画策定前のアンケート調査結果では、自分が役に立たないと感じる子ども・若者は6割を超えています。子ども・若者施策を統括する部署を中心に、全ての部署でこの現状を変える方策を講じるべきです。一方、先日、市内小学校の研究発表・学校公開に足を運んだ際の学びの姿に驚きました。子どもは元々有能な存在であると学校関係者が共通認識をもった上で、子どもの意見に耳を傾け、合意形成・自己決定を重視していたためです。例えば、ドイツミュンヘンを発祥とする「子どものまち」づくりのなかでは、役所、ハローワーク、銀行、創意工夫に富んだお店等々創り上げた上で、市長選をしたり仕事をして給与を得たりと一人ひとりがまちの主役・主権者になっていました。その表情は非常に活き活きとしており、自己有用感に満たされた状態であったと捉えています。子どもの持つ力と、子ども視点にたちその声に耳を傾け力を引き出す大人の存在双方に感動し、大きな希望を持ちました。 そこで質問です。

一点目、2年前の定例会でも述べましたが、学校限らずあらゆる場面で子ども・若者が意見表明をし、合意形成をする、さらには施策等に反映する、反映できなければフィードバックされる経験は、自己有用感・幸福感を高め、参加する権利を保障しながら主権者を育てる点からも、さらにはまちに活力を与えてくれる点からも重要です。このような取り組みをする施策をお答えください。また、その際には子どもの権利を理解した上でファシリテートする必要がありますが、状況をお答えください。

二点目、市の子ども・若者未来対策推進計画の対象は、12~30歳未満、施策によっては40歳未満ですが、義務教育終了以降は支援の狭間に陥りやすい状況になります。若者については、子ども期から若者期へ引き継ぐ課題、若者期特有の課題双方ありますが、いまある若者施策、相談先、若者への周知法をお答えください。

細目2 ヤングケアラー・若者ケアラー支援策について

ヤングケアラーとは、高齢化、核家族化、専業主婦世帯の減少、ひとり親世帯の増加など家族のあり方が多様化しケアを担う大人が減少した結果、子どもに負担が集中し、本来大人が担うようなケア責任を引き受けている18歳未満の子どもを示します。主に、障害や病気のある親や高齢の祖父母、きょうだいや他の親族に対し、家事や世話、介護、感情面のサポートなどを日常的に行い、学業や友人関係などに影響が出ることもあります。また、18歳からおおむね30歳代の若者ケアラーは、ケア責任がより重くなったり、就労等若者ならではの問題もあり、将来の可能性を狭めないよう切れ目ない支援を行う必要があります。

2020から21年度に国でヤングケアラーの実態に関する調査研究を行い、調査対象の小学生の約15人に1人、中学生の約17人に1人、全日制高校生の約24人に1人、大学生の約16人に1人の割合でケアラーがいることが分かりました。また、平日1日あたりのケアに費やす平均時間は、小学生2.9時間、中学生4時間、全日制高校生3.8時間。平均7時間以上を費やすケアラーも1割前後おり、自分の時間を取ることができない、友達と遊べず、宿題や勉強をする時間、寝る時間すら削らなければならないとの回答が多い結果でした。

子ども期を自分らしく過ごせず、学習の保障がされず、心身の健康保持や発達への影響、さらには進学・就職などその後の人生にも影響が及ぶなど子どもの権利が侵害されている状況には早急に対応すべきです。そこで質問です。

一点目、本年の子ども育成課、健康課、社会福祉協議会によるヤングケアラー支援連続講座開催を評価しています。一方、日常的に子どもと接し発見から支援に繋げる拠点となる学校教育、ケアラーの状況を現場把握できる地域包括支援センターなど介護福祉・障害福祉関係者はいませんでした。ヤングケアラー支援は多機関・多職種連携が必要と国も示しており、今後の連携についてお答えください。

二点目、講座終了後の市民参加の会議設定も評価していますが、市民の主体性を大切にしつつ、まず市のビジョンも一定程度あってしかるべきです。2022年度から3年間は、早期発見・把握、相談支援などの支援策の推進、社会的認知度の向上等について、国が集中取り組み期間としており、自治体を支援する予算もあります。着手予定の施策があればお答えください。

【市長答弁】

子どもは国の宝であり、昭島の宝であります。子どもが夢や希望を持ちながら、安心して健やかに成長する、そういう社会にしていくことが大変重要であります。

子どもには、社会の中で生きていくための知恵や自立する力が充分に育っていない「保護の対象者」という一面があり、そのため相応のサポートが保護者や社会に求められ実施されるのは当然であります。一方で、意思と人格を備えた「権利の主体者」でもあり、子どもが自らの意思で人生を歩むこと、自分自身の権利を行使することも当然のことであります。「自分の考えを述べ、意見を言う」といった行為は、人が生きていく上で欠かすことのできない、人間の尊厳に関わる大切な権利の1つであります。

意思と人格を備えた「権利の主体者」として行われる子どもの意見の表明については、保護者や先生を始め周囲の大人たちがしっかりと受け止める必要があります。特に子ども自身を取り巻く環境づくりや子どもの将来に関わる選択が行われる際には、子どもを当事者としてその意思をしっかりと踏まえることが、子どもの権利を保障することになるとともに、まちづくりにおいて最も基本的なことがらの1つと考えるものであります。

本年4月に施行された「こども基本法」では、「すべての子どもについて、その年齢と発達に応じて、自己に係るすべての事項に関して、意見を表明する機会と多様な社会的活動に参画する機会が確保されること」が基本理念の一つに位置付けられ、「こどもまん中社会」の実現に向けた取組がスタートしたところであります。

本市におきましても、本年5月に開催した「子ども・若者未来対策推進計画ワークショップ」において、子どもの権利と併せ各種施策や計画の理解を深めるとともに、その効果的な周知の方法について、参加された小中学生からアイデアや忌憚のないご意見をいただいたところであります。

今後につきましても、子ども・若者に関わる幅広い施策において、多様な子ども・若者がそれぞれの状況や特性に応じて意見を表明することができるように、そしてその意見が尊重されるように、子どもの最善の利益を実現する観点で検討し様々な手法や機会を組み合わせて実施してまいります。

【子ども家庭部答弁】

ご質問の1点目、子どもの権利を踏まえた子ども・若者施策の推進について、ご答弁申し上げます。

初めに、子ども・若者施策を統括する組織について、であります。

子ども達が自分たちに関する事柄について意見を表明し、行政や地域、周りの大人たちがその声に真摯に耳を傾け、誠実に対応する、こうした取組の積み重ねが子どもたちの自己肯定感を育み、社会的自立につながっていくものと認識しております。

現在、本市では、青少年フェスティバルやはたちのつどい、児童センターの運営等、子ども・若者が主体的に関わる様々な施策やイベントなどにおいて、実行委員や運営委員として、自らの意見を述べ、社会性を身に付けるとともに、主体的に行動するための力の育成に努めているところであります。

国において本年4月に施行された「子ども基本法」におきましては「すべての子どもについて、その年齢と発達に応じて、自己に係るすべての事項に関して、意見を表明する機会と多様な社会的活動に参画する機会が確保されること」が基本理念の一つとして位置付けられております。

本市の「子ども・若者未来対策推進計画」におきましても、社会体験や社会参加、意見の表明、仲間との交流や協働できる取組を推進することとしております。取組の推進に際しましては、個々の施策の目的や子どもの年齢、特性等に応じ、様々な手法を重層的に組み合わせ、多様な声を聴く機会を確保していきたいと考えており、今年度におきましても子ども・若者未来対策推進計画ワークショップなど取組んできております。職員研修等につきましては、今後当該計画の検証や評価を行っていくことに合わせ、必要に応じ、また機を捉え様々な形で実施するよう検討してまいります。

若者につきましては、基本的には18歳から30歳未満としております。若者だけに限定しておりませんが、意見表明にかかる施策といたしましては、「創造的な未来を切り拓く子ども・若者の応援」の中で「社会参加、参画機会の充実」や「子ども・若者の成長を支える社会環境の整備と担い手の支援」の中で「地域における多様な担い手の育成と支援」となります。若者の相談先につきましては、その要因は福祉、医療、雇用、矯正・更生保護、青少年健全育成など多分野にわたるため、多様性等を鑑み本人や家族の状況に応じた個別の相談・支援が必要であると考えます。支援等を要する若者が必要な情報、相談機関へ的確につながるよう、総合的なものとしては東京都若者総合相談センターなどの周知を図りつつ、本市における若者なんでも相談等を踏まえ相談体制の検討や各関連部署・機関とこれまで以上の連携・協力・協働に努めてまいりたいと考えております。

次に、ヤングケアラー・若者ケアラー施策について、であります。

ヤングケアラーは、一般的に本来大人が担うとされている家事や家族の世話などを日常的に担っている子どもとされております。家庭内のデリケートな問題であること、さらには本人や家族に自覚がないといった理由などから、支援が必要であったとしても表面化しにくい構造であります。そのため、ヤングケアラーを早期発見し必要な支援につなぐために、その実態を把握するとともに、地域に対してもヤングケアラーの概念を周知、啓発をすることが重要であると考えております。

この考えのもと、先般のヤングケアラー支援講座につきましては、市民を対象として広く周知を図り、地域住民の理解を深め、早期発見につなげることを目的として、開催をしたところでございます。

また、表面化しにくく、潜在している可能性のあるヤングケアラーを必要な支援につなげるため、教育委員会、福祉部署との連携は当然重要であると考えております。各部署や機関等においてもそれぞれの視点から取り組みは行っているところでありますが、今後一層、要保護児童対策地域協議会の活用など様々な機会を捉え、連携を図ってまいりたいと考えております。

国におきましては、令和4年度からの3年間をヤングケアラー認知度向上の「集中取組期間」とし、広報や啓発イベントの開催等を通じて、中高生の認知度5割を目指すとしており、本市におきましても、教育・青少年だより「エール」へ掲載するなど、啓発に努めてまいりました。今後につきましても、様々な媒体を活用し、あらゆる機会を捉えながら、周知啓発に努めるとともに、学校や福祉、医療機関など、関係する部署や機関における問題把握意識を高め、そのうえで連携を図り、その家族と子どもたちの気持ちや意向を尊重し、寄り添いながら、柔軟で円滑な支援ができるよう、努めてまいりたいと考えております。

【林質問】

大綱2 GLP昭島プロジェクトについて

細目1 諸課題について

11月17・18日開催の事業者による交通説明会に参加しましたが、渋滞、ピーク時間帯、ルート設定とドライバーのルート厳守、道路強度、排気ガス対策等々、市民からの様々な懸念が続出していました。特に1日当たりの発生交通量が片道5,800台と昨年2月から変更ない姿勢は、ここにいたるまでの数多くの市民の懸念を一切無視しており市民協働のまちづくりからかけ離れていること、次にその発生交通量でも事業者は「道路はつまらない」とする根拠となる調査が信用できない、シミュレーション説明を理解できないと市民から多くのお声を頂く状態であること、次に市議会が全会一致で採択した陳情で示される、市の意見書・要請書内容に対応しきれていないことはじめ、大きな課題が残ります。そこで質問です。

説明内容について市の捉え方をお答えください。また、課題に対し、どのように対応をはかるかお答えください。

以上、趣旨をお酌み取りいただき、明確な御答弁をお願いいたします。
【都市計画部答弁】

御質問の2点目、GLP昭島プロジェクトについて御答弁申し上げます。

昨年11月には、GLP昭島プロジェクトを計画している事業者である昭島特定目的会社及びその設立法人である日本GLP株式会社に対し、まちづくりや環境、道路・交通などに関する要請を行い、協議を重ねてまいりました。

本市のまちづくりについて、御理解を求める中、事業者により本年8月に開催されました計画概要説明会では、建物を集約し、まとまった緑空間等を設ける計画が示されたところですが、その際に、交通に関しては、説明できる段階にないため別途説明会を開催するとしておりました。

そうしたことから、本年11月17日及び18日に交通に特化した説明会が開催されたところでありますが、市民の皆様からは、不安や心配を感じられる発言が多くあったと認識しております。本市としても、引き続き協議が必要な事項であると捉えており、昨年11月の要請先と同じ企業に対しまして、交通課題等に係る考えについての照会を、昭島市長名により11月24日付けで行ったところでございます。

また、状況を不安に感じられる市民の方がいらっしゃることから、本市の取組の一端を御承知いただくために、本照会文はホームページに掲載いたし、また、今後、開発事業者の回答を受け取りましたら、あわせて掲載をしてまいります。