2026年9月一般質問:大綱②生きる力を育む遊び、学びについて

9月議会の一般質問が終わりました。

1時間の質問持ち時間のなかで、一問一答方式を選び、毎回質問に臨んでいます。
一問一答の再質問前、1回目の質問と市の答弁を以下に書き出します。

※再質問部分については、任期中は市の公式HPの動画からご覧頂けます。
次回議会の時期に市の会議録にアップされます。
https://smart.discussvision.net/smart/tenant/akishima/WebView/rd/speech.html?council_id=59&schedule_id=2&playlist_id=1&speaker_id=29&target_year=2026

【林質問】

大綱2 生きる力を育む遊び、学びについて
細目1 遊びについて

18歳未満の全ての子どもたちの基本的人権尊重の促進を目的とする国連「子どもの権利条約」では、第31条で遊ぶ権利を定めていますが、‟忘れられた条文“と言われる時期がありました。これを懸念した国際NGO「子どもの遊ぶ権利のための国際協会」略してIPAなどの働きかけにより、子どもの権利委員会から遊ぶ権利に関する公式の解説である、一般的意見17号が公表されています。このなかで課題として、遊びが、本質的価値がまったくない、取るに足らないまたは非生産的な活動ととらえられていること、おとなは、子どもたちの遊びを支援し、かつ遊びの精神に満ちたやり方で子どもたちと交流する自信、スキルや理解を欠くことが多いことなど挙げられています。しかしながら、遊びは、子どもたちの健康とウェルビーイングにとって本質的に重要であり、創造性、想像力、自信、自己効力感ならびに身体的、社会的、認知的および情緒的な力およびスキルを促進し、学習のすべての側面に資するものであり、交渉し、情緒的バランスを回復し、紛争を解決し、かつ物事を決める能力を促進するとしています。

一方、一般社団法人TOKYO PLAYがこの7月に発表した政策提言、「遊びのマニフェスト2026」によれば、放課後に友達と遊ぶ頻度が週1回以下の小学生は約7割と示される状況です。先日同法人代表で、IPA日本支部の運営委員もつとめる嶋村仁志さんのおはなしを伺う機会がありましたが、小中高生の自殺者数は2年連続で最多を更新し、13歳の29.7%が、「自分は役に立たないと強く感じる」という自己認識を持つとの子ども家庭庁の調査結果があり、運動能力や視力の低下に骨折の増加など、子どもたちのこころ、身体、人間関係が危機的状況です。遊びが失われると、やりたいことがみつからない、挑戦が怖い、評価への不安、人間関係の経験不足、けがをしやすい等々、その代償が大きい一方、遊びは主体的な営みであり、その意欲、集中力、想像力や探究心は学びの原点ともいえ、人生で必要な身体的・精神的・社会的ウェルビーイングを支える土台であるそうです。保護者を取り巻く文化や子どもに冷たい社会環境へのアプローチもしながら、政策面に遊ぶ権利の視点を加えることが、他の子ども政策にもよい影響を与えるとのおはなしはごもっともであり、私たちは、子どもたちが生きる力を育む上で欠かせない遊ぶ権利を確実に保障すべきと申し上げ、伺います。
遊びはなぜ必要なのか、その意義や保障するための具体的施策について、子ども計画にも含め部署連携して取り組むか、市の見解をお答えください。

細目2 学びについて
約10年に1度の学習指導要領改定の議論が大詰めを迎える先月、文部科学省初等中等教育局教育課程課や教育課程企画室など文科省ご関係者、元文部科学副大臣である鈴木寛 東京大学公共政策大学院教授他、識者の方々の講演を伺う機会がありました。また8月31日には中央教育審議会初等中等教育分科会 教育課程部会教育課程企画特別部会における、「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ素案」についての議論を傍聴しました。これらをもとに、生きる力を育む学びについて伺います。

生成AI等の技術革新の急速な進展、人口減少・少子高齢化の進行、国際情勢の不安定化など、将来予測が困難な時代では、生涯にわたり主体的に学び続け、「自らの人生を舵取りする力」が注目されており、この力を育むため、苦手の克服よりも、それぞれの好きを育み、得意を伸ばしながら、探究を深める方向性が示されました。探究は、好奇心・意欲・情熱、感動・共感する心、五感に紐付いた高度技能、答えのないコミュニケーションなどAIにはない人間ならではの強みと親和性があるともされています。
また、「SNSを介した偽・誤情報の拡散や価値観の偏りの助長、AIが人間の認知や意思決定に与える影響の拡大などが民主主義社会の分断を招きかねない課題の顕在化」との問題意識から、情報教育を拡充するとともに、こども基本法第3条の意見表明の機会や多様な社会的活動への参画機会の確保の点からも当事者意識を持って自分の意見を形成しつつ、異なる価値観を持つ多様な他者の主張や感情を受け止め、対話と合意を重ね、問題を発見・解決できる、「民主的で持続可能な社会の創り手」の育成が重要とも示されました。

さらに、これらの実現を教育関係者だけに委ねるのではなく、「社会に開かれた教育課程」という言葉とともに、地域との連携・協働が不可欠とされていますが、自分の学びが実社会とどう関わるのか実感をもて生きた学びになること、地域を巻き込むことで持続可能になることが期待されます。また、学習指導要領改訂後は、子どもたち、保護者、地域住民等にも分かりやすく周知をし、社会全体に趣旨の浸透を図ることも、極めて重要な条件整備とされており、中教審の議論のなかでも、何人かの委員がコミュニティ・スクールの重要性、保護者や地域に対する目標や努力の共有に力をいれる必要性、地域にしっかり理解してもらい地域もともに学ぶなどの意見をだしていました。

さて、7月にこの方向性に合致した取り組みを行う小学校2校を伺いました。ひとつは全国の公立小学校ではじめて国際バカロレア教育を導入し、年間何十件もの視察を受け入れる高知県香美市立大宮小学校です。子どもたちが学びの主体者であり、国際的な視野を持ちつつも実践にあたっては地域学校協働活動のスキームを用いて大人たちと知恵をよせあい、地域全体で探究を深めている様子が示唆に富んでいました。

もうひとつは、校内にあるプレーパークが全国的に注目される昭島市立光華小学校です。OECDも必要と位置づける社会を変革する力、agencyの育成を最上位目標に掲げており、それを実現するいち手段として地域の力も借りながら整備したプレーパークが、遊ぶ権利の保障の点から注目を集めており、さきほど紹介の「遊びのマニフェスト」においても事例紹介されています。同校はほかにも、教科横断型学習、自由進度学習、プロジェクト型学習や、子どもたちが自ら企画を考え運営を担う特別活動の学校行事など、agency実現にむけ、多方面から施行錯誤していました。両校ともに、教育像、目標実現に向けたご苦労や子どもたちの変容まで、解像度あげ理解でき、その挑戦や覚悟に感銘も受け「学校を応援したい」と思えた視察時間となり、事例共有いただく大切さを実感しました。

学校教育が進むべき方向はみえており、現場ではすでに果敢な取り組みがされています。市においては、目指す学びの姿の共有を通じて、みなで認識をアップデートする機会としながら、地域もともに取り組めるようするべきと考え、伺います。

令和6年3月議会で市に同趣旨の質問をした際に、今後周知の方法を考えていくとのご答弁でしたが、子ども、学校、保護者・地域とどう共有をはかられているかお答えください。また、本年度の「教育施策推進の基本的な考え方」で現行の学習指導要領に言及されていますが、そもそもどのような力を育むことを重視しているか、実現にあたっての課題とともにお答えください。

さて、子どもたちの認知特性、理解度や学力は様々ですが、国は探究的な学びですべての子どもたちを包摂し、「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」することを目指しており、先生の働き方改革も両立しながら実現するため、総コマ数は減らさないものの各校の判断で最大約15%減らせる「余白」の時間での柔軟な教育課程の編成・実施を可能とする「調整授業時数制度」の創設が検討されています。

教育課程の柔軟化に取り組む研究開発学校やサキドリ研究校が全国で400校あり、実践の創出・蓄積が進みます。国では、先行的研究の追加募集を行い、令和9年度は実施校を大幅に増加予定です。また、令和12年度以降の全面実施を待たず、令和10年度からの先行実施期間では、現行の標準授業時数を基礎としながら同制度を活用可能とする予定です。文科省ご関係者は、何のためにこの仕組みを使うのかを常に念頭におき、繋がりながら、学びをどうするか、熟慮し議論していくことが重要であり、未来にも繋がっていくとはなされています。先日、埼玉県戸田市の「教育・学びの未来を創造するプラットフォーム」が研究開発学校の実践紹介・議論の場を設けており参加したところ、非常に有意義でした。そこで伺います。

令和6年3月議会で年間85時間弾力運用について質問した際に「先行事例の取組やその効果も調査し、各学校の実情に応じた個別最適な学びと協働的な学びの視点を踏まえた時間の活用をし、多様な子どもたちの学びの充実につながるよう、創意工夫してまいりたい」とのご答弁がありましたが、研究開発学校やサキドリ研究校の事例をどう収集・検証し、今後の制度実施に備えたり、現在ある課題解決や制度設計に役立ているかお答えください。

【子ども家庭部長】
ご質問の2点目、生きる力を育む遊び、学びについてのうち、遊びについてお答えします。
子どもにとって遊びは、単なる余暇活動ではなく、主体性や創造力、問題解決能力を培い、友達との関わりから社会性を育むなど、子どもの心身の健やかな成長や発達にとって大変重要な役割を果たしており、我々大人も遊びの本質について理解を深め、子どもの遊びの機会を確保することが重要であると認識しております。
しかしながら、近年、子どもたちを取り巻く環境は少子化や核家族化の進行に加え、デジタルメディアの普及や地域コミュニティの希薄化などにより大きく変化し、子どもが自由に集い、試行錯誤しながら遊ぶ時間や場所、多様な世代との交流の機会などが減少しているのが現状であります。
本市では、子ども・子育て支援事業計画において「安全・安心な子どもの居場所や遊び場の確保・充実」についてのニーズが高く、課題として示されたことから、昨年度より市立会館を利用した出張児童センターを実施し、本年度はさらに実施回数を拡充するなど、子どもの遊びの機会を確保する事業を推進しております。併せて、遊びの本質をとらえた自由遊びの場の提供についても、既存の公共施設や公園、学校などの地域資源の活用を含め、関係部署と連携を図りながら検討してまいりたいと考えております。
ご質問の「具体的な施策をこども計画にも含め、部署連携で取り組みを行うか」につきましては、現在実施しているニーズ調査や子どもたちの意見聴取等を踏まえ、また、審議会にもお諮りしながら、検討してまいります。

【指導担当部長】
続きまして、学びについてお答えいたします。
はじめに、子ども、学校、保護者、地域との目指す姿の共有についてであります。
市が重視する教育像につきましては、教育施策推進の基本的考え方や昭島市教育振興基本計画において示しており、その教育像は、各学校の教育課程や学校経営方針等により具体的な取組として位置付けられております。
児童・生徒、保護者、地域の皆様に対しましては、市や学校の公式ホームページ、教育・青少年だよりエールや学校だより、保護者会など、様々な媒体を活用し、機会を捉え周知に努めております。
次に、学習指導要領の3つの願いに即して、学校教育がどのような力を育むことを重視しているかについてであります。
現行の学習指導要領では、生きて働く知識・技能の習得、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性等の涵養を目指し、資質・能力の育成に努めることとしております。
本市におきましても、これらの資質・能力を重視し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を推進する等、昭島市教育振興基本計画に基づく、各種施策の着実な推進に努めております。
こうした中、次期学習指導要領の改訂に向けた国の審議においては、AIが発展し、社会に浸透しつつある中、学習指導要領が目指す資質・能力について、「深い学び」により促進することが喫緊の課題であると示されております。
このため、教員が、各教科等での「深い学び」のイメージを掴み取り、授業づくりに生かしていくことを通じて、「主体的・対話的で深い学び」の実装を図ることが一層重要であると捉えております。
次に、国の研究開発学校やサキドリ研究校の事例収集や検証、今後の制度実施に備えることについてであります。
国においては、調整授業時数制度について、令和10年度から先行実施を開始し、令和13年度までに段階的に実施する予定としております。
教育委員会といたしましては、令和10年度からの先行実施に向け、引き続き、研究開発学校やサキドリ研究校の実践事例をはじめ、市内小中学校の好事例を検証するとともに、各校が必要な範囲を見極めて活用できるよう課題を整理する中で、調整授業時数制度の効果的な実施に向けた検討を進めてまいります。